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神話使いの住む世界  作者: 高居望
第1章
6/9

特訓とドッキュン(後編)

 今回は、前話の「特訓とドッキュン(前編)」とセットになっております。

 よかったら前話もどうぞ。

 生徒会長、園崎印そのざきしるしの特訓。こんな貴重な体験はなかなかあるもんじゃないぞ。

 俺たち三人は先輩につれられて、グラウンドの片隅へ。

「なるほどね。君たちの序列、学年順位は把握した。まず、率直な意見を言わせてもらうと、カットを使ってなさ過ぎる。これは一年生の最初の時期にありがちなことだが、これを使いこなせないと”大戦”では手も足も出ないぞ。まぁ、それは急にできるものでもないから、今回は別の練習だ。まずは私にファイアを当てる練習からだ。私もファイア、スロウ、ファスト、カットしか使わないから」

 それから先輩は何か神話を発動。

セパレート(ぶんれつ)

 そういうと、先輩が4人に。突然の光景に目を見張る。

「セパレートで私の力は分散しているから、一人ひとりの実力は本来の一割ってところだ。それでは、3人分かれて練習だ。分身はファイアがあたれば消えるようになっている。それぞれにあたえる課題をクリアしないと当たることはないがな」

「でも先輩、さすがに一割じゃきついんじゃ・・・俺と礼はともかく、愛は学年一位だし・・・」

 俺は一応聞いてみる。

「いや、心配には及ばないよ。私の目的は君たちを倒すことではなくて、あくまで課題をクリアさせるだけなのだから」

 本当に大丈夫なのだろうか?いや大丈夫なのだろう。第一、俺が先輩を心配するなんて百年早いのかもしれないな。

「わかりました、お願いします」

俺たち三人はそういってそれぞれ先輩と移動していく。


 まずは礼から。

「礼君よろしく。おそらく君はエフェクターなのだろうが、基礎はできないとな」

 何か聞きなれないフレーズが入っていたような・・・

「エフェクターってなんですの?」

「エフェクターというのは精神介入タイプのことだが・・・いや、今はまだ気にしなくていい。それより特訓始めるぞ」

「・・・?はぁ・・」

 いまいち分かりませんが、ここは言うことを聞いておいたほうが賢明ですわね。

「君の課題は、神話の同時撃ちだ。君はそれで眺君に負けたようだが、同時撃ちができるかできないかで、実力はまるきり変わってくる」

「同時撃ち、練習はしているのですがどうもうまくいかなくて・・」

「私を消すには同時撃ちが必須だ。実践ならではの感覚で習得してみなさい」

「わかりましたわ」

 私の特訓が遅れて御二方を待たせるようなことがあってはなりませんわ。気を引き締めて、がんばりますわ。


 次は俺。

「君は格闘主体で物理系神話を使っていくアタッカーのようだね」

「そうなんですか?」

 分類とか、いまいちよく分からないが、先輩が言うならそうなのだろう。

「アタッカーがまず身に付けるべきことは、手を使わずに(、、、、、、)神話を発動すること。実践では両手は格闘のためのものであって、神話をつかうためじゃないからな」

 なんか、難しそうだな。でもできないとは思わない、なぜかできる気がする。

「今日は耐えず私に攻撃しながら、神話を発動してみなさいでは開始だ」

「はい、お願いします!」


 そして、最後に愛。

「君は神話を器用に使って相手を倒す、マジシャンのようだね。正直、現在の君は下手な二年生より上だ。よって君には二年生のマジシャンが習得する技術、ノータイム(えいしょうはき)について教えよう。ノータイムは本来の力の三割程度しか出ないが、今の君ならもう使いこなせるよ」

「はい・・」

 ノータイムってたしか先生がやっていたけど、私にできるかな・・

「それと君はもっと自信を持つべきだな。眺君も自信のある女性のほうが好きだろう」

 とたんに顔が熱くなった。眺君が・・・やっぱり自信がある娘が好きなのかな・・

「はは、冗談だよ。それでは特訓を始めよう。今回は私はカットしか使わないから。当然ノータイム以外はまずあたらないよ」

「はいっ!」

 自信、持たなきゃ。がんばろう!


 そして2時間後、全員が先輩の分身を倒してきた。倒した順番は、俺、愛、礼だった。

「よし、全員合格。正直、今日一日でできるとは思ってなかったが。最後に愛君、私と練習試合をするか」

 愛が指名された。俺も愛が先輩にどの程度通用するのか見てみたい。

「お、お願いします」

「うむ」

 そして先輩と愛の戦いが始まった。

 まず最初に仕掛けたのは愛。一言もなしにファイアが現れる。ノータイムか、今日の特訓の成果だろう。しかしファイアは先輩のすぐ近くで消える。

「筋はいい。今日教えたことと矛盾するが、呪文詠唱の強さを教えてあげよう。ファイア!」

 先輩の発動したファイアは速度が異常だ。ファストも併用しているのか。

「君も眺君との試合でファイアとファストを併用したようだが、片方をノータイムにすることで相手の可能な反撃もだいぶ変わってくる」

 たしかに、普通のファイアだと思っていたものが以上なスピードで飛んできたら驚くだろう。愛もカットを使えず、体でよける。その隙を先輩は見逃すはずがない。

 先輩は高速移動をして(自身にファストを使ったのだろう)一気に間合いをつめる。そして、

「ファイア」

 といって愛に向かって発動。愛もそれを予想していたらしく防御姿勢をとる。

 だが・・・ファイアは発動されなかった。発動失敗か?

 愛も疑問に思ったようだが、とりあえず間合いを広げるために後ろに後退する。そして・・愛は突然足を滑らせた。

「えっ?」

「これで決まりだ、ファイア」

 こうして愛は先輩に敗北した。

「最後に足を滑らせたのは、偶然ではない。私は”ファイア”と言ったが、実際に発動させたのは”スロウ”だったのだよ。それに気づかなかった君は勢いあまって転倒した。それだけのことさ」

 上には上がいるものだな。学年一位をこうもあっさり倒してしまうとは。

 俺たちは苦笑いを浮かべるほかなかった。

 

 こんにちは。高居望です。

 特訓とドッキュンなんとか終わりました。

 バトルシーンはやはり難しいですね。

 次回は「トップと見学」予定です。

 最後まで読んでくださった方、ありがとうございました^^

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