第04話 投獄
「おっちゃん、これいくら?」
街を歩いているとたくさんの露店が並んであった。その中に色んな小物が売ってある店がある。面白いというか、興味深いというか……。
「お、こりゃ若い兄ちゃんが来たか。それは……金貨5枚だな」
「高ッ……ご……5枚……?」
こんなちっちゃなものに50,000Gもするのか……。いや、小さいから加工料とかが掛かるのかな。50,000かぁ……いや、その程度を惜しむべきじゃないよな。
「……そんなもん欲しがるってことは………兄ちゃん、もしかして“そういう”ことか? お洒落って訳じゃなさそうだもんな」
「まぁ……そういうことだな」
「兄ちゃん若いし……応援っつーことでまけてやるよ。金貨3枚でどうだ?」
「え!! いいのか!?……いや……でもちゃんと払うよ。これにお金を惜しむのはどうかと思うからな」
「はっはっ! そうか! いや、良い心掛けじゃねぇか。じゃあ50,000貰うからこれも持ってけ」
そう言っておっちゃんは洒落たアクセサリーをくれた。何の魔法的効果もないけれど、綺麗なものだった。
「いいのか? ありがとう」
「毎度ありッ!」
おっちゃんに金貨を渡しておれは再び進みだした。おっちゃんは手をひらひらと振って見送ってくれている。……ちくしょう。カッコいい野郎だぜ。おれも手を振って宿に向かう。
宿は高くもなく、低くもないところにした。寝る場所に無駄に金を掛ける必要もないからな。それはそうとケチるほどでもない。ベッドの寝心地が悪くなければ……まぁ……ここのベッドはあんまり良くないな。フカフカしていれば良かったんだが……まぁいいか。
細かいことは気にしなくったっていい。たった一晩の問題だから。おれはベッドに入って夜を越した。
***
相変わらずおれは昼に起きた……ということもなく早朝に起きた。というのも、外に人の気配がしたからだ。何人もの人が、宿の外で構えているようだった。
……おれに用じゃなければいいんだが……。おれは朝から少々不快になりながら宿を出た。すると目の前には集団のリーダーのような男と、その横にいつか見た男が立っていた。
「ッ! ボス! アイツです!」
「昨日のクマさんじゃねぇか。名前は確か……ウー……なんとかだったな」
「ウーラリードだ!」
そうそう。ウーラリードだ。昨日勝手に金を抜いたことを怒ってんのか? ……いや、そんな感じでもねぇよな。……で、ウー……アイツが“ボス”って呼んでるってことはあの男が……。
「アンタがパーセンダか?」
「パルセンダだ。聞いたところによると昨日、彼が世話になったそうじゃないの」
「え……? いやいや、そんなことないよ……ありませんよ」
「いやね、ウチの者がやられておきながら無視するのもいかんでしょ? だからウチで話だけでも聞かせてもらうと……手荒な真似はせんからさ」
パ……パーセンダ? は奇妙な笑みを浮かべながらそう言った。なんか……ウーもそうだったけど嫌な雰囲気だな。……でも面倒ごとはもっと嫌だしな……。
「ウチってどこだ? おれ今旅の途中なんだけど」
「ユーグラってとこさ。なんて言ったらいいかね……中央大陸の東端の街だ。君がどこを目指してるのかは知らんけどさ」
「行く。連れてってくれ」
おれは食い気味にそう答えた。東側ならちょうど進行方向と同じだ。そこまで運んでいってくれるならなんの文句もない。少なくとも今は大人しく従っておいた方が得だ。
「そうか。思ったより従順で助かるよ。ま、念のため拘束はさせてもらうよ」
「お?」
パーセンダがそう言うと、彼の手元から鎖が出てきておれの両腕を縛った。頑丈そうだな。
推測ではあるが、恐らくは魔力を封じる能力だろう。おれにはこういう類いの力は効かないんだが……今はこのままでいいか。そしてウーが空中に手をかざすと、不思議な門が出てきた。それをくぐると、いつの間にかおれは建物の中にいる。
「驚いたか? ウーラリードの能力はマーキングした場所にいつでも空間を繋げられるってもんなのさ。便利だろ?」
「空間魔法系か。珍しいな」
「で、話なんだけど……」
「えッ……?」
おれは牢の中に放り投げられ、パーセンダは鉄格子の前に堂々と腰を下ろした。話……を聞かれる雰囲気じゃないな。手の鎖を解く気配もない。
「やっぱね、ウチにも面子ってもんがあるんよ。だから君が二度とウチに逆らわんようしっかり躾けんとな」
「えー……やだよ」
「ま、僕は忙しいから他の人に頼むから。そうそう、気づいてると思うけど、この牢は魔障石でできてるから出よう思っても無駄だかんね。じゃ」
そう言ってパーセンダはどこかに行ってしまった。……ていうかおれには関係ないけど魔障石でできてんのか。魔障石って獄境にある石だったから……魔族との交易がちゃんと出来てんだな。なんか安心した。
「兄ちゃんは……俺らと話をしような……」
「……」
簡単に捕まっちまったのはおれの失態として……さて、どうやって脱出しようか。




