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神話の英雄譚/神々の楽園  作者: わらびもち
第一章 再会の旅路
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第03話 怒られるよな

「おれが聞くのも変な話だけどよ……おっさんってやっぱ人生経験豊富だよな?」


「? そりゃあそうだな」


 おれはおっさんの作った飯を食べながら尋ねた。世界中を探してもおれより長生きしてるヤツなんてそうそういないだろうから……まぁおっさんはそんなこと知らないだろうが。


「いやぁ……“例えば”の話だけどよ……。例えば大切な人を2年間放ったらかしたとして……怒られない可能性ってのはどれくらいだと思う……?」


「んん? 何だ、兄ちゃん。もしかして彼女かなんかをどっかに置いてけぼりにしてんのか?」


「いや、理由ワケはあるんだよ? ……流石に悪いとは思ってるんだけどさ」


「……まぁ……相手が兄ちゃんのことをどう思ってるのか知らんから難しいが……。“大切な人”なら間違いなく怒られるだろうな。……殺されなきゃ上々じゃないか?」


「やっぱそうだよなー……。寝るわ」


「お、おう。急だな」


 おれはそう言って荷車に乗り込んだ。……まぁ…やっぱりセリアは怒ってるだろうな。だから早く会いに行かないと……。結局(グリセラ)大陸を経由するのが一番早いからラライアでアールデント様の墓参りして……リンシャさんに会ったらすぐに魔界に行こう。


 ……飛んで行ったら流石に目立つよな……。……酔うだろうけどちゃんと船に乗るか。色々と考えている間におれは夢の中に落ちていた。


「おい、兄ちゃん。起きな! 街に着いたぞ!」


「……ん? ……あぁ、もう朝か……」


「昼だよ。馬車も揺れてただろうに……起きなかったのか?」


 おれはおっさんに呼ばれて目を覚ました。……朝に弱いのは変わってないんだ。たとえ寝床が揺れていようと起きることはない。……自信満々に語るようなことではないけれど。


 おれはおっさんに挨拶をして街を軽く散策した。ここは中央センダル大陸の東部にある街、パンドリアだ。あとは100キロほど進めばグリセラ大陸に行ける港がある。だからこの街で一旦休憩だ。……それにしてもこの街は冒険者が多いな。


 ……おれも金があまり無いし、ギルドで素材の換金でもしようか。おれは冒険者の流れを見ながらギルドに向かった。


「ここは冒険者が多いんだね、お姉さん」


 おれは魔物の素材を渡して査定を待っている間、受付係の女の人と話をしていた。周りを見ながら聞いてみる。この街は冒険者で溢れているようだった。しかもそれなりに冒険者のレベルも高い。


「ご存知ないですか? 五法帝いほうていのパルセンダ様がこの辺りを中心に活動しているのですよ。彼のクランに属している方達や加入したい方達がいらっしゃるんです」


 へぇ……今は法帝ほうおうは5人いるのか。セリアとグラと、イリアも現役だったよな。大戦後はデモンゲートが再び法帝ほうおうになったんだっけか。じゃあそれに1人、パルセンダとかいうヤツが加わったんだな。


「……どんなヤツなんだ?」


「そうですね……。あまり大きな声では言えませんけど……“良い”方ではありませんね。性格に難ありといった感じです」


「ふーん。それでも法帝ほうおうになれるってことは相当強いってことか。……それかセリア達の前では愛想良くしてたか、だな」


「……セリア?」


「あ、いや。なんでもねぇ」


 でも新しい法帝ほうおうはちょっと気になるな。セリアに会ったらもう少し話を聞いてみようか。……せっかくならおれも法帝ほうおうに立候補しようかな。カッコいいし。


「おい! 兄ちゃんオメェ……今ウチのボスのこと悪く言ったろ。」


 声がして振り向くと、そこにはまさに巨漢と言える大きな男が入ってきていた。……身長3メートルもありそうな熊みたいなヤツだ。山に住んでいても違和感ないな。


「……お姉さん、あの人誰?」


「……あちらの方はですね……」


「オメェ俺を知らねえのか!? 俺はパルセンダ様が右腕、Sランクの冒険者、ウーラリードだ」


「そうか。いや、悪かったよ。 別に悪く言うつもりは無かったんだ」


「ウチのボスもよく言うんだがな……。面子ってのがあるんだよ。馬鹿にされたのに放ったらかす訳ねぇだろ……!!」


「!!? ウーラリード様ッ!!」


 そう言って岩のような巨大な拳を振り下ろしてきた。随分と短気な男だな。……なんかムカつくヤツだ。……いや、もしかしたら機嫌が悪かっただけなのかも知れない。とはいえ避けたら受付の姉さんが危ないから……仕方ないよな。うん。仕方ない。


「ッ!? ぐはッ……!」


「!!?」


 おれはウーラリードの拳を捻って体を床に打ちつけた。体は床にめり込んで……床が壊れちまったな。……意識は失ってるな。


「ホント悪かったから……許してくれな」


 おれは白目をむいているウーラリードにそう話しかけながら彼の懐を探った。……お、あったあった。


「お姉さん、これ。床の弁償ね」


「あ……は、はい……」


 おれはウーラリードの金を受付に渡した。そして素材を換金した金を受け取ってギルドを後にした。……騒ぎになると嫌だからちょっと離れたところの宿に泊まるか。そう思っておれは街の東の方に歩きだした。

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