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神話の英雄譚/神々の楽園  作者: わらびもち
第五章 計画実行
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第27話 考え

「エスト、出発するわよ!!」


「おう。グラ、デム、留守頼むぞ」


「私もエスト様にご同行したいというのに……非常に残念でございます」


 魔神達との交渉を終えて数日後、おれは国や組織の代表が集まる大世会議に行くために準備を整えていた。


 大世会議は聖都・ヘルダルムで行われるそうだ。向かうのはセリアとおれ、そして護衛が数人。その間、万が一のときのための国の守備はグラとデム、そして牢獄から解放したジルアードとパルセンダに任せる。


「お前ら、変な気を起こしたら今度は首を刎ねるからな。くれぐれも気をつけろよ」


「肝に銘じておきます。ご安心してくださいな」


 どうも胡散臭いけれど、まぁ心配する必要はないか。何かが起こったとしても何とかなるはずだ。


「にしてもグラ、お前もう腕生えたんだな。トカゲより早ぇんじゃねぇか?」


「“竜帝”、ドラゴンの王じゃからな。そりゃすぐに治るさ。トカゲじゃあないがな」


 流石の生命力だな。ドラゴンってのは相当上位の存在だから当然っちゃ当然だけど……凄いな。


 グラ達に伝えることを伝え、おれとセリアは港へと向かった。この前の旅行はお忍びだったけれど、今回は国の代表として行くわけだから国民達からの視線を感じた。船もかなり豪華で大きなものだし……船か。


「なぁ……これって転移した方が速いし良いんじゃねぇか? ほら、ウーの能力スキルを真似ればズーザミアまでは飛べるし」


「ダメよ。一応こういう道順ルートで行くって伝えてあるんだから。その道中には私はともかく君を見たいって人も多いのよ?」


「うー……ん……。有名ってのも考えもんだな。仕方ないか」


「まぁでも無理はしないでね。気持ち悪くなる前に寝てていいから」


「うん。そうするよ」


 そう言っておれ達は船へと乗り込んだ。なかなか大きく豪華な船だし揺れも小さいけれど……身の危険を感じる。こりゃあれだ。酔うやつだ。船が走り出すや否や、おれは速やかに眠りについた。


***


「!」


「思ったより早い再会になったな! 英雄サマよ!!」


「久しぶり……ってほどじゃねぇけど久しぶりだな」


 グリセラ大陸の港に着き、船を降りるとそこにはイリアが堂々と立っていた。何かあったのか……って感じではなさそうだな。


「わざわざこんなとこに来てどうしたんだ?」


「ヘルダルムに行くまで暇だろ? だからせっかくだしお前らに会いに来たんだよ。何だ? 迷惑か?」


「いや、迷惑じゃねぇよ。一緒に行こう」


 イリアはなかなか……面倒というか勝手な性格ではあるけど面白いヤツだからな。一緒に行ってもおれやセリア以上には騒ぎも起こさないだろうし問題ない。


 イリアと合流し、街の視線を集めながらおれ達はヘルダルムへと向かった。街を出ればリルに乗っていけばいいから割とすぐにヘルダルムに到着するはずだ。あー……でもあれか。護衛含めて引っ張るとちょっとリルが疲れるかもな。あんまり急ぎすぎずに行くか。


 おれ達は街の子供達に寄られ、それを対応しながら街を出た。そして何日かリルに頑張ってもらって、ヘルダルムに到着することができた。


「いやぁ〜、大魔王様よ。お噂はかねがね聞いておりました。しかしなるほど、思った以上にお若いですな」


「大魔王様、お近づきの印にこちらをどうぞお納めくださいな」


「はは……いや、ありがとうございますよ。ほんと……」


 国の大臣かなんかか、大会議堂に着くとすぐに大勢のおじさん達が寄ってきた。仲良くなっておこうとかそんな魂胆だろう。まぁ分からないこともないけど………せめて可愛い女子だったら、と思うのはダメだろうか。とはいえ下手に無下にもできないので大人しく応答することにした。


 会議に参加する全員が集まり、しばらくして会議が始まった。


「魔神のことは聞いております。ルシフェルの他に6人いるとかなんとか」


「1人はおれがこの間殺しておいた。だから残りは5人、おれが会えたのは4人だ」


「? ああ、交渉に呼ばれたとか言ってたな。でも魔神っつーのは強ぇんじゃねーのか? ルシフェルはバケモンみてーな奴だったろ。よく倒せたな」


「魔神っつってもみんながみんなアイツほど強いわけじゃない。第七と第五の魔神は侵界クロワールより少し強いくらいだし、第四の魔神についても我界デスバルト程度だ」


「程度とは言っても……それに対抗できる人物はそういませんよ」


「確かに。おれは問題ないとして、最低でも法帝ほうおう程度の力は必要だな。今ミスロンにいるジルアードとおれを含めて……7人だな。だが問題は第三の魔神……“怠惰”のアスタロトと言ったか、アイツは間違いなく2年前の、復活したばかりのルシフェルよりは強い。アイツの相手はおれがしなくてはならない」


「話は分かったが……第一の魔神とは会えてないってことでいいのか?」


「ああ。だが恐らく他の魔神と連携を取って現世に攻めてくることはないだろうな。そもそも魔神本来の目的も無視しているようだから魔神として扱わない方がいいかもしれない。人類の敵として出てくるならそのときに対応すべきだ」

「……で、本題だが。魔神は恐らく一番におれを警戒して来るはずだ。そうなると魔界に攻めてくるか最も遠いハーラン大陸に来るか……」


「それ以外の可能性は?」


「ない……と断言するのは良くないかもしれないが、まずないだろう。何の利点もないからな。さっきも言ったがヤツらの敵になるのは法帝ほうおう以上の力を持っている者だけだ。そういう人間がいない地に攻める理由がない。特におれを潰しに来るだろうから……最初におれを消すか、おれから遠い場所で他のヤツらを消すか、って作戦だと思う」


 その上相手がおれを警戒していると考えれば、まず1人で動くことはないはずだ。少なくとも2人、それか4人で纏まって動くだろう。


 2人ならハーランと魔界に別れるだろうから、こちらも戦力を分散しておく必要がある。そう考えるとなかなか……考えないといけないな。

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