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神話の英雄譚/神々の楽園  作者: わらびもち
第四章 新勢力
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第21話 根源

 世界は三つある。神の住まう“天界”、人族や獣、植物など最も多くの生物の住まう“現世”、魔族の住まう“獄境”。


 さらに、天界は大きく分けて三つ、細かく分けて五つの領域が存在する。創造神の支配し、一般に天界と呼ばれている“天域”、破壊神の支配する“滅域”、そしてその二つを分断する何も存在しない空間、“断域”。天域の低次元には善なる死者の流れる“極楽”、滅域の低次元には魔の死者が流れる“地獄”が広がっている。


***


 おれは想像を絶するほど綺麗な世界に来ていた。太陽より輝く花畑、空より透き通っている川。果てしなく広がる大地の中に、明らかな人工物があった。


 丸いテーブルと椅子、そして……ティーポット? 綺麗っちゃ綺麗だが、息を飲む景色の中だとただのテーブルだ。しかし、そんなものでもなぜかおれは惹かれていた。いや、誘惑されていた。


 違和感には気づきつつも、どこからも敵意は感じないのでそのまま向かった。そして席に着くや否や、向かいの席に人が現れる。そいつもまた異様に美しい女性だった。


 ここの風景にも負けない姿を持った……人間ではない。けれど、何かおれに近しい気配を感じた。


「エストですね。久しぶりです。……と言っても君は覚えてないでしょうが」


「? おう。おれはアンタを知らねぇな。何者だ? ここは何だ?」


「ここは天界の天域です。そして私はあなた方が創造神と呼ぶ者よ」


「へぇー……へっ!? 神様!? ばあちゃんってこと?」


 あ、いや。創造神セスフ様をそう呼ぶのは流石に不敬か。今のはナシに……。


「ええ。おばあ様と呼びなさい」


「あ、そう。いいんすか。……で、なんでおれは呼ばれたんで?」


「魔神と接触したでしょう? 彼らについて少し話しておこうかと」


「ああ! 会った会った! なんなんだ? アイツ。魔神ってのはルシフェルだけじゃないのか? ……ないんですか?」


「ふふっ。言葉遣いは気にしなくて構いませんよ。魔神というのは、破壊神から直接力を分け与えられた七人の存在です。そのうち君が倒したルシフェルは二番目の魔神ですね」


「……魔神はなんで今になって動き出したんだ? ヤツらの目的はなんなんだ?」


「理由は2つですね。一つは、ルシフェルは破壊神に背いた魔神ですから。その上、その破壊神にも匹敵する存在になってしまったのでそう簡単に手を出せなかったのでしょう。この2年はそんなルシフェルを倒した君の存在を確認できなかったから迂闊に動けなかったのです」

「そして、もう一つ。彼らの目的は破壊神を現世に顕現させること。そのために現世に破壊神の力、つまり魔神の力を浸透させようとしています。これまではルシフェルの力が強かったのでわざわざ自ら動こうとはしなかったのでしょうね。彼らは破壊神の下にいながら……その……癖の強い方達ですから」


 つまり……うん? うー……ん。現世を支配しようとしてる……って考えでいいのかな?


「ええ。その考えで構いません」


「うおっ! 心読めるのか。……でも力が浸透するってんなら、ばあ様は現世に来れるんじゃねぇのか?」


「私の力は強大過ぎますから。……それで、エスト、君には魔神の対応をお願いしたいのです。彼らに敵うのは君を含め一部しかいないでしょうから」


「まぁ……どのみち衝突はしそうだから構わないけど……魔神だけ倒しても破壊神もどうにかしないとダメなんじゃねぇのか?」


「そちらは私がどうにかしますから、ご安心ください」


「そうか。………せっかくの機会だ、これは何も関係ない疑問なんだけどさ。ばあ様は全ての創造主なんだろ? じゃあアンタを創ったのはなんなんだ? おれは何者で……おれは何から創られたんだ?」


「私と君の起源ルーツですか……。まず、私は根源ルートと呼ばれる概念から生まれました。それが形あるものなのか、認識することができるものなのかすら、私にも分かりません。ただ、私や君達のように神の血を持つ者は根源ルートから溢れ出る力によって、親を媒介に生み出されます」

「そして、世界中のあらゆるものは、追及していけば根源ルートに辿り着きます。生物も無生物も、神も世界も法則も。全ての始まりにして、全ての限界、そういうものから私は誕生しました。君もその根源ルートの子となりますね」


 あぁ……なんか難しいな。つまり……おれはルシフェルから生まれたっていうよりは、ルシフェルを媒介にその根源ルートから生まれたってことか。そしてルシフェルはばあ様を媒介に根源ルートから生まれた。ばあ様や破壊神だけは根源ルートから直接生まれたと。


 じゃあ別に神を創ったさらに上位の神が存在するって訳でもないんだな。……おっと、意識が遠くなってきたな。そろそろ現世に戻るってことだろうか。


「じゃあばあ様、また」


「ええ、機会があればまた呼びます」

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