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神話の英雄譚/神々の楽園  作者: わらびもち
第三章 旅行
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第17話 知らせ

「……流れ星ってあんまり見ないわよね。お星様はこんなに広がってるのに」


「そりゃあ高いとこにいる星がわざわざ降ってはこないだろ」


「それは関係ないと思うわよ」


 おれ達は寝転がりながら星空を眺めて話していた。空一面に敷き詰められた星々は夜でありながらも、月と共に世界を照らしている。暗くも明るい。


 街から離れていることもあり、なかなかに居心地のいいものだった。でもずっと外にいるのはそれなりに疲れるからな。寝るときはちゃんとベッドに入った方がいい。


「そろそろ宿に戻るか?」


「うーーん……。そうね。明日も早いし、帰ろ」


「明日も朝からか……頑張ろ」


 いつまで経っても朝には弱いからな。魔族の性なのか、そんなものは関係なくただ苦手なだけなのか。分からないけど……まぁ起こしてくれないと自分では起きられない自信がある。


 おれ達は宿に帰って、夕飯を食べてから眠りについた。


***


「エースト! 起ーきて!!」


「ゔー……ん。ん? ちょっと早くないすか?」


 セリアに身体を揺らされておれは目を覚ました。もう朝か、そう思って目を開いてみると、部屋は思ったより暗い。……というか世界がまだ暗い。まだ早朝だな。


「たまにはいいでしょ? いっつも遅いんだから、今日ぐらいは早くから私に付き合ってよ。」


「うぅ……そう言われると言い返せねぇ……」


 セリアに腕を引っ張られながらおれは身体を起こした。そして軽く身支度を整えて宿を出る。軽く冷たい空気が肌を刺激した。夜とはまた違った爽やかな空気だ。


 そんな空気を、リルが駆け抜けていく。冷たい風にセリアは綺麗な金髪を靡かせ、リルも毛を振るわせていた。まだ目覚めきっていないおれは、何も考えずに目を薄っすらと開きながらそんなセリア達を見つめていた。


「…………元気だな、リル。ちょっと速くないか?」


「確かに……。昨日はしっかり休んだから元気なのかな?」


「ワオン!!」


 リルはこれまでよりもずっと速く駆けている。体力が有り余ってるのだろうな。羨ましいもんだ。


 2回ほど夜を越え、ただひたすらに走り続けてハーラン大陸に上陸した。更に西に2時間走り、ハルノトに到着した。


「……変わった服……着物だったか? 着てるヤツが多いな」


ハーラン大陸はサムライが多いからね。他じゃあまり見ないから珍しいでしょ?」


 街は屋根の低い古風な家が多かった。そんな中、ギルドは高いレンガ造りだから遠くからでも見つけやすい。何よりバンリューの異常なまでの濃い魔力をビンビンと感じる。おれとセリアはその魔力の元へと歩いて行った。


 ギルドの大門を開くと、杖をついた男が待ち構えていた。久しく見た顔だ。引退しても変わらぬ威圧感だな。


「待っていた……ついて来い」


「え……お、おう」


 まるで知っていたかのように、バンリューは淡々と話しておれとセリアを部屋へと案内した。セリアと顔を会わせてみるも、彼女もまた不可解そうな顔をしている。部屋に着き席につくとバンリューは口を開いた。


「……久しぶりだな……エスト。生きていたとは驚いたぞ……」


「あの……驚いてんならもっとこう……無いの?」


創造神セスフ様から啓示を貰っていてな……。お前が生きていることは分かっていた。……そこにセリアが来たとなると……お前もいるだろうとな」


「そうか。まぁ……ならいいよ」


 感動の再会って感じにはならなかったな。……バンリューと会ってもそんなことにはならないとは分かっていたけど……思ったよりもあっさりしていた。


「お前……強くはなっているようだが……身体の方はどうなんだ?」


「心臓も筋肉もズタズタだから長くは暴れられないって感じかな」


「そうか……。だがしっかり鍛えておけ……。何があるかは分からんからな」


 まぁ……そりゃそうだな。でもそんなに焦る必要もないだろう。今の力なら大抵のことになら対応できる。とりあえずは力を出せる時間を延ばしていくべきだ。


「ところでアンタ、教官なんてやれてんのか?」


「片っ端からボコボコにしている……」


「あー……なるほど。別に教えてるわけでは無いのね」


 やっぱりバンリューは人には教えられないよな。まぁ実戦が一番だとは思うから強いってだけでも冒険者の教官としては充分か。……充分か……?


「さぁ……話がないなら……俺に構っていないでどこかへ行け。せっかく2人で来たのだろう……?」


「そう……だな。じゃあ、おれに関してはいつでも動けるはずだから、何かあったら呼んでくれな」


「そうね。私よりは自由に動けるでしょうから」


 バンリューに促され、おれ達は部屋を出た。あっさりしてたな。でもまぁそれはそれでアリか。むしろこれくらいスッキリしている方が色々と楽だ。そう軽い気持ちでいた。だからこそ、その声が異様に大きく聞こえたのだ。


“ズーザミア王国がミスロン王国に侵略をしたらしい!”


 ギルドにいた1人の冒険者がそう話していた。

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