第01話 プロローグ
目を覚ますと、おれは知らない部屋に横たわっていた。身体中が痛む。……けれど死んではいない。生きている。……おかしいな。最後の『融合身体強化』はおれが死ぬ代わりに発動したものだ。……なのに生きている。
「あ! 目が覚めたのね!!」
「……??」
そう声がして扉の方を見ると、そこには1人の少女が居た。年はおれと同じか少し上くらいだろう。……知らない子だ。…………なんとなくセリアに似ているか。
「びっくりしたわよ。知らない子が血を流しながら家の前に倒れてるんだから。調子はどう?」
「……結構元気だ」
「そう? なら良かったわ」
「ちょ、ちょっと。聞きたいことがあるんだけど……」
「なぁに?」
おれは少女に気になることを聞いた。……頭が痛くなった。いや、物理的にではない。頭が痛くなるようなぶっ飛んだ状況だった。ここは魔暦180年の南大陸、つまりいずれ魔界になる地だ。さっきまでは2056年だった。……過去だ。ちょうど、おれがじいちゃんに封印された時代に飛ばされている。
“アンタもおれも、この時代に生きているべきではない”
最後、おれは魔神にそう言った。……あれが死ぬ代わりの条約になっちまったのか……? となると人魔大戦が始まるのは……約2000年後だよな。
おれが変に動いて歴史が変わるのもマズイだろうし……。おれの家に帰るか。未来の……っていうかさっきまでのおれが魔神を倒すまでは山の中で静かに暮らしておこう。
魔神を倒したら……再びセリアに会いに行こう。
「あぁ……おれはこれから西大陸に帰ろうと思うんだけどよ……」
「西大陸? 遠いわね。……私も連れてってよ。最近この大陸に魔族が出たって話だし……。君、戦えるんでしょ? 私、世界中を見てみたいなって思ってたから、これを機にさ!」
彼女は元気にそう言った。……乗り気だな。まぁ魔族に狙われたら殺されてしまうだろうから当然と言えば当然か。
「おれはエスト。ネフィル=エストだ。君の名前は?」
「アールミアよ」
そうしておれとアールミアは西大陸のプリセリドに向かった。プリセリドに着いたら、おれは彼女を街に置いて、近くのポラスリ山にあった家に住んだ。久しぶりだった。久しぶりに、じいちゃんと過ごした家に帰ってきた。
後から聞いた話だと、アールミアはおれと別れた後、バルザートという青年と結婚したらしい。
それから約2000年もの間、おれは時折り街に下りながらも、山の中で暮らしていた。そしておれは人魔大戦が終結していたと知り、山を、街を出た。
日差しの強い日であった。みんなが待って……はいないだろうけれど、会いに行かなくては。おれが生きているのだと、知らせるために。おれは2000年ぶりに旅を始めた。
『神話の英雄譚/神々の楽園』プロローグを読んでいただきありがとうございます!
本作は『神話の英雄譚』の続編となるため、前作をご覧になりたい方はぜひこちらから!
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