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狩りの教科書

「あ」

 書かれた文字を、指で一つずつ追いかける。

 一文字、一文字。声に出して。

「い」

 部屋に戻ってきたアロウはちらりと横目で本をなぞるシンを伺った。その先って、もしかして……

「あい、し、て」

「ちょっと待て」

 ひょいと本をつまみ上げる。

「あ゛ーっ、途中なのに!」

「何を読んでるんだ」

 シンはまだ字が覚えたてだ。

 難解な文章は読めず、スラスラ読む練習にと初級知識の書き付けを渡してあった。

「植物とか魔物の特性一覧渡してやったろ、そっちから読めよ」

「仕事の話ばっかりじゃつまんないんだもん!」

 取り返そうとまとわりついてくる小さな手をあしらいながら本の表紙を眺めると、詩集のようだった。

 アロウでも知っている、都市部の知識層の女性に人気の、恋愛ものを得意とする作家の著作だ。

「どこからこんなものを……」

「受付のおねーちゃんが貸してくれた!狙った獲物を落とすにはどうすればいい?って聞いたんだ」

 善意なのか悪意なのか微妙なところだ。

「あとでクレーム入れてやる……!」

 頭痛をこらえながら、アロウは誓ったのだった。

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