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キミはとっておきのごちそう
がたがたと音を立てて扉が開く。
アロウは足で扉を押さえると部屋へ滑り込んだ。
両手は塞がっている。片手に荷物、もう片方は……
「シン、ついたぞ」
肩にもたれたシンに声をかけるが、むにゃむにゃと不明瞭な返事が帰るだけで起きる様子がない。
ため息をついて、抱えたまま二段ベッドへと歩み寄る。
「ほら、布団で寝ろよ」
「うーん……」
梯子の前でもう一度声をかけるが、やはり起きない。
それどころか、いやいやをするようにがっしりアロウの首にしがみついてしまった。
「お前……油断しすぎだろう」
天井を仰ぐが、見慣れた木目が目に入るばかりで、耳元ではすよすよと気持ちよさそうな寝息が響く。
諦めてシンを抱えたまま、下の段の自分のベッドへ潜り込んだ。
支えた腰は細く、こてんと傾いた頭は手のひらに収まりそうだった。
「ねぼすけは狼に食べられちまうんだぞ」
「ううーん……ボクのごはんだよお」
布団に降ろそうとしたシンは、身を捩ってアロウの胸元にしがみついてきた。
それはもはや油断とかそういうレベルではなかった。
「……俺の自制心を食うんじゃない」
「んふふー」
眠っていても油断ならない獣を懐に、アロウは今日も眠れぬ夜を過ごすのだった。




