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たべちゃうぞ!
弓使いの冒険者のアロウと、居候のみなしごのシン。
宿の同じ部屋で寝起きするする2人。
いろいろあって絆は深まったけれど、その関係は友人以上、恋人未満……?
「バカだなあ」
天井を仰いでアロウがため息をつく。
「せっかくどこにでも行けるようにしてやったのに、わざわざ戻ってきて俺に捕まるなんて」
「ちがうもん!ボクがつかまったんじゃなくて、アロウが食べられちゃうんだよ」
膝の上にちょこんと乗ったシンが主張する。意味をどこまでわかって言っているのやら。
「ふーん?じゃあ、どこから食べるんだ?」
心持ち顔を寄せる。間近で銀色の瞳が揺れている。
「どこって……その……」
「ん?」
「そっ、その意地悪な口からだよ!」
噛みつくように顔を寄せてきたシンは、目測を誤ったのか横に逸れた。ぺち、と音を立てて顔同士がぶつかる。キスですらない。
シンにはまだ自分から何かをするという度胸はないらしい。
経験もほとんどないのだから、当然と言えば当然か。
アロウはにやけそうになるのを必死にこらえる。
「そこは頬かな」
「ううう……」
しょげているシンのおとがいに手を添えて目線を合わせた。
「で?今度こそ食べてくれるんだよな?」
真っ赤になった狼少年がしどろもどろに何と答えたかは、アロウだけが知る秘密だ。




