序章
僕は今、生きている
どこにいるのかも、生きているかもわからない真っ暗闇の中。僕は思っている。僕は今、生きていると。しかし、なぜそうなったかがわからない。いつの間にか僕、未来高校の一年生、水無和也は暗闇の底に落ちていった。
「ザッ」「ザッ」「ザッ」
どこからか、たくさんの足音が鳴った。
なんだろう
体を起こし周りを確認する。目の前には青い空。たくさんの木々。色とりどりの花畑。初めて見る景色。ここはどこだろうと思い、起き上がった。見渡すと、少し向こうにたくさん人がいた。着物やスーツなど、様々な服を着ている。ずっと見ていると引き込まれそうで、少し恐怖を覚えた。
その人たちの中に一人だけ見覚えのある人がいた。僕の幼馴染だ。即座におかしいと気づいてしまった。
だって、幼馴染は、幼馴染は、、、
五年前に死んだのだから
幼馴染は、橋本みのりという名前の女の子だ。僕とみのりとは保育園から一緒だった。保育園が通う予定の小学校からかなり遠いこともあって、小学校にはみのり以外知っている人がいなかった。だからなのか、小1の時はみのりとしか話さなかった記憶がある。
みのりが亡くなったのは僕が小学5年生のころだ。2人で遊んだ帰りに事故で亡くなった。あんなに早く死ぬと思っていなかった。もっとずっと一緒に遊べると思っていた。一緒に帰っていたら死ななかったかもしれないのにと、あれから長い間ずっと後悔してた。
その後悔がやっと、、やっと薄まってきたところなのに、
「`なんでっ、。なんで思い出させるんだよ!」
自分でも気づかぬうちに大きな声が、大粒の涙が出ていた。 一気に後悔が押し寄せてくる。次の瞬間、みのりも人も何もかも消え、また暗闇のどん底へ落ちていった。




