運命と覚醒
『よぉ、起きてるか? と言っても寝てるよな』
『運命が始まる・・・駄目だ、俺にはアポロンのような洒落っ気が無い。ま、いいか』
『ちゃんと聞けよ? お前は俺とは縁も因も無い人間だが、一仕事してもらう』
『なぁに簡単だ、悪に染まった魂を死ぬまで浄化するだけだ、楽勝だろう?』
『冥府の力、全ての魂がお前の矛となり鎧になる。それと兜と鉤爪もくれてやるよ、そんで・・・煉獄の火もな』
『そろそろ眼が覚める筈だ、頑張ってくれよ』
『この・・・ハーデースの名の下に、汝を祝福しよう』
バッ!
布団から飛び起きると、そこは自分の部屋だった。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・ハァーーー」
変な夢だった。
途轍もなく不気味で、有り得ないほど現実を感じる夢。
「あーあー、不幸ってか・・・今日から高校生だってのに」
青空は、なによりも忌々しく見えてしまう。
「・・・・朝飯にすっか」
俺の名は黒木勇吾、自分で言うのもアレだけど平凡な男だ。
顔は普通、体格は少し良い、頭も普通・・・・よりチョイ上くらいか?
そんな俺も今日から高校生・・・なんだが、どうも朝の夢が気になっちまう。
中学の通学路とは違う道、俺の新たなる生活の一歩目がこのテンションじゃな・・・
ま、切り替えるしかねぇな!
湿っぽいのは苦手だし、なにより薔薇色の高校生活が待ってんだ!
わっはっはっはっは!
勇吾は表面上は平静を保ちながらも、心中ではぶっちゃけていた。
「勇吾! 待ってよ~」
・・・・嫌な声が聞こえたな。
きっと空耳だ、そうに違いない!
「無視しないでよ!?」
後ろかた華麗なフットワークで回り込んだのは、小柄な少年であった。
少年の名は白崎裕貴、勇吾の幼馴染で女顔の『男』だ。
「ってか、何で居るんだよ。お前の頭じゃ・・・」
「あ、知らなかった? 僕はサッカーの推薦で行くんだ!」
・・・・・はい?
今、何と言った?
推薦? 誰が? 裕貴が? 何処に?
考えるまでも無い、このタイミングでは答えは一つ・・・
「・・・・・風見学園にか!?」
「そうだよ、いやぁ~僕が風見に通えるなんて幸運だね♪」
ああああああああ、終わった・・・・俺の薔薇色が。
風見学園は勉強とスポーツ、どちらかが秀でていれば入学出来るが、基準が都内一の高校なのだが・・・
裕貴はサッカーの神様・・・いや、スポーツの神様に愛されて生まれたような奴だ。
小柄な体を活かして、眼も眩むようなスピードで敵DFを抜いていった。
その分、頭は壊滅的に悪い・・・が、優しくて無邪気な性格が人気を呼び、そりゃーモてる。
何度、コイツをピーーーしてたろうと思ったか。
実際、嫉妬して裕貴を潰そうとする者も多い・・・しかし、何で毎回俺の所に来るんだ!?
俺はむしろ応援するぞ、それどころか手を貸すぞ!?
中学時代はそれでサッカー部でGKやる事になったし、友人も少なかった。
だから、今年からは自由になれると思ったのに・・・
「・・・・・不条理だ」
「?」
首を傾げんな! お前が原因だ!
そんな事を考えてる間に、校門に着いてしまった。
「さぁ、頑張るぞーー!」
「・・・勝手にしてくれ」
ドスッ
長い校長の話を聞き終えると、勇吾は自分の席に座った。
校長の長話は、万国共通だな・・・
裕貴は・・・・女子と仲良さそうに話してやがる!?
しかも・・・金髪の美人だと!??
「あ、勇吾! こっち来てよ!」
お前が来い・・・とは、口が裂けても言えない。
周りの女子が既にハートマークを出してやがる、そんな事言ったら睨まれるだろう。
妬ましい・・・・あいつの女運が妬ましい!
俺とあいつの何が違うんだ!?
・・・・顔と性格か。
「・・・・何だよ」
暗いオーラを出しながら近づく。
「紹介するね、同じクラスの・・・」
「アイリス・グランハルトと申します、初めまして」
「あ、どうも。黒木勇吾と言います」
物腰の柔らかい女だな、胸もデケェ。
「裕貴・・・・さっそくか?」
「? 何の事?」
「いや、無自覚ならいいさ」
本当に気づいてねぇし、周りが見えないのか?
教室の男子の目が・・・殺気を放っている。
今年は関わらない・・・その目標が、早くも崩れそうだ。
ガラッ!
勢いよくドアが開かれる。
「さぁ座れ! 今年一年、お前らの担任になる工藤 苺だ。宜しく!」
現れたのはジャージ姿の体育会系のオーラを放つ・・・見た目が中学生の女性であった。
「(・・・・・はい?)」
おいおい、マジか!?
「私はサッカー部の顧問もしているから、入部希望者は歓迎するぞ? 白崎・・・そして黒木」
災難だな裕貴も、入学早々に眼をつけられるなんて、黒木ってのも・・・え? 俺?
「天城中学のサッカー部3年連続全国大会出場の立役者が、二人も来たんだ。今年は豊作だな!」
あの・・・え? 俺もサッカー部に入るの?
苺は興奮したように頷いている。
「おい、黒木って・・・あいつが!?」
「ああ、それで前の小さいのが白崎だな」
「天城のオセロが、ウチのクラスに!?」
あ~騒ぎ出したよ。
「あの・・・」
ん?
「黒木さんって有名なんですね」
俺の席の右上に座ってるアイリスが話しかけてきた。
「ああ、裕貴が攻めて、俺が守るを繰り返してたら勝ってた」
実際、ほとんどワンサイドゲームだったしな。
だいたい、敵チームが弱かったからな。
どんなにパワーやスピード上げたシュートでも、コースに反応出来れば取れるのによ。
俺は取ってたし。
「勇吾、この後は本入部だって」
裕貴は前、つまりアイリスの隣の席で話しかけてくる。
「おい、確かに本入部は可能だが早すぎるっての。それとサッカーはしない!」
「まぁまぁ、早く行こうって!」
「少しは話を聞きやがれぇぇぇぇーーーーー!?」
気がついたら校庭でサッカーしてたよ!?
何で!? 俺は抵抗したよね!?
そうだ、それで逃げようとしたら・・・後ろから殴られたんだった!
殴ったのは・・・・あ。
「黒木~頭は大丈夫か~?」
「あんたが殴ったんだろうが!?」
勇吾を殴ったのは、担任兼サッカー部顧問の苺だった。
しかも、木刀で・・・・何故、勇吾の頭は割れなかったのだろう?
「手加減したからに決まってるだろ?」
「教え子に凶器を振るうな!? PTAに訴えるぞ!」
「安心しろ、あの連中の弱みは握ってるから」
「いきなり爆弾発言!? ってか、教師のやる事なのか!?」
「学校の教師陣は大抵それくらいの情報やら、特別チームとかにパイプがあるからな。下手な真似は止めとけよ♪」
「誰か助けてぇぇぇ!?」
勇吾の声は無視され、紹介が始まった。
「1年A組、出席番号12番、白崎裕貴です! ポジションはFWです!」
「1年A組、出席番号8番、黒木勇吾です。ポジションは・・・・GKです」
テンションが正反対の二人は、自己紹介をする。
「いや~、それにしても凸凹コンビってのが似合うなぁ~」
裕貴の身長は160、勇吾は183なので、裕貴はより小さく見えてしまう。
「三年が抜けてから、チームはギリギリだが・・・頑張るぞ!」
おおーーーー!
「(テンション高ぇー・・・・ん?)」
勇吾の眼に映ったのは、小さな人影が・・・・木々を飛び越えている映像だった!
「・・・・・は?」
ゴシゴシッ
眼を擦ってもう一度見ると、何も無かった。
「白昼夢・・・・なのか?」
「こら、黒木! 練習を始めるぞ!」
「は、はい!」
何だったんだ、今の・・・
その時は気にしていなかったが、その疑問は少しずつ大きくなっていた。
「・・・・此処ね」
流れるような銀色の髪が、夕日に当たって輝く。
その少女は木の上に立ち、町を見渡していた。
長い銀髪をリボンで纏め、胸には小さなロザリオ。
「もう、お父さんもいい加減なんだから。あたし一人でこの町を守るの?」
その眼は碧眼、奥には強い意志を感じる。
「・・・・聖と魔の狭間、そんな人間がこの町に?」
キンッ!
ロザリオが光り、方向を示す。
「とりあえず、仕事ね。明日から高校生か・・・出来るかなぁ?」
不安な声を出すと、少女は飛び降りる。
「ま、成るようになるでしょ!」
街灯が照らす道を通り、勇吾は帰路に着いていた。
「あの馬鹿・・・面倒な事しやがって」
練習中に裕貴が勝負を挑んでくるのは毎度の事だったが、それをネタに賭けをする顧問と部員たち。
勝負は引き分けだったが、その所為で苺に木刀で殴られた。
「ったく、俺の青春は何処に・・・・ん?」
視線を逸らすと、そこには変わった少女がコンビニでジュースを飲んでいた。
白髪・・・いや、銀色みたいだな。
髪の色も目立つが、顔も一級品だ。
しかし・・・胸は小さいようだ。
「(アイリスはDかE、あの女は・・・・A、もしくはAAだな)」
あまりにも絶壁なので、少し不憫に思ってしまう。
ギロリッ
そんな事を考えていると、少女が血走った眼で勇吾を睨む。
慌てて口笛を吹いて誤魔化す。
少女はジローーッと睨んでいたが、そのまま歩き去る。
「怖い女だな・・・胸は残念だけど」
ゾクリッ
背中に氷柱が刺さったような殺気を感じた!
勇吾は走って家に帰るのを、少女は見ていた。
「あのデカイの、あたしの胸を笑ってたわね・・・!?」
確かに小さいが、自分はまだ成長期。
姉のように大きくなる可能性があるのだ!
きっと、たぶん、なったらいいな?
「はぁ、忘れよう。この反応だと具現化は夜ね、マンションに帰るのも・・・」
少女は考え事をしながら、夜の町に消えていった。
「いい湯だったぜ~」
シャワーを浴びてサッパリした後は、買ってきた弁当を温める。
勇吾の両親は海外旅行中で、1年は帰ってこない。
食事はアレになるが、気侭な生活を送れる。
それに二人の桃色空間を見ずに済むだけで、この1年は楽だろう。
「・・・・って、コーヒーが無くなってんな」
勇吾はカフェイン中毒なのかと疑うくらいに、コーヒーが好きだ。
いつもは豆を挽いて作っているが、どうやら飲みきってしまったようだ。
「仕方ねぇ、コンビニで買ってくっか」
家の車庫に停めてあるバイクに跨り、コーヒーを買いに行く。
風見学園はバイクの免許も許可しており、明日からはバイク通をするつもりだ。
「近道すっかな」
コンビニは公園を通ると近いので、進路を変える。
ブオオオオオオッ
バイクの排気音が心地よい、夜の町を走るのも悪くない。
「・・・・事故は嫌だな」
少しスピードを落とす。
基本的にビビリなので、そこらへんは気をつける。
ドシンッ
「おっと!?」
突然の振動に驚き、バイクを止める。
「・・・・・・・は?」
今日、何度目の疑問だろう?
そして、眼の前にコレは何だ?
「ぶおわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
これは何だ?
この牛のような化け物は何だ?
牛の頭に巨大な人の体を付けた、コレは何だ!?
ズシンッ!
化け物は勇吾を見ると、少しずつ近づいてくる。
逃げろ。
逃げろ逃げろ!
逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろにげろにげろにげろにげろニゲロニゲロニゲロニゲロニゲロ。
「う、あああ」
アクセルを回せ! 急いで逃げろ!?
しかし、体が恐怖で動かない。
ジュルリッ
化け物は舌なめずりをする、眼の前に美味そうな餌があるからだ。
「早く逃げなさい!」
「はっ!?」
鋭い声が聞こえると、勇吾の前に少女が立つ。
その小さな体で、守るかのように。
「・・・・お前は」
「いいから逃げなさい! 普通の人間が勝てる相手じゃないのよ!?」
そんな事は分かってる、本能が叫ぶのだ。
逃げろ、と・・・
「ば、馬鹿言うな!? お前も逃げるんだよ!!」
「安心しなさい、あたしは・・・」
赤いリボンを揺らし、少女は吼える。
「狩人よ!」
ロザリオが光ると、少女の手に拳銃が握られる。
「さぁ、踊りなさい!」
ズガンッ!
拳銃から放たれた弾丸が、化け物の額を撃ち抜く。
ドッスンッ
化け物は尻餅をついて倒れる。
「す、すげえ・・・」
「ふんっ! これくらい当然よ、それはそうと・・・あんた、あたしを笑った男ね!?」
「え、あ・・・ああ!?」
「ああ! じゃ無いわよ! いい? 女性の胸ってのはね」
「・・・・・あ・・・」
「・・・そう、簡単には終わらないわけ」
ズゥゥンッ
化け物は立ち上がり、
「ぶろっぉぉぉっぉぉおおぉおぉ!?」
雄叫びをあげた。
ビリビリビリッ
大気が震える、体が・・・動かない。
明確な死が、眼の前に存在しているのだ。
「・・・・逃げるぞ!」
「え? ちょ、ちょっと!?」
少女を抱え、後ろに座らせる。
ブロロロロロッ!
アクセルを全開にし、化け物から逃げる。
「ちょっと、何してんのよ!」
「何してんのはコッチの台詞だ!? あんな化け物は警察か自衛隊に任せる方が良いんだよ!」
「いいから聞きなさい、アレは普通の人間には見えないわ!」
「はぁ!? 俺は見えてんぞ!」
「偶然、波長が合ってしまったのよ。お願い、あたしは詳しい土地勘が無いの、広くて人気の無い場所まで奴を誘い出して!」
「冗談言うな! あんな化け物相手に・・・」
「聞いて、アレは牛鬼。怨霊が自分たちの存在を忘れ、形作った妖怪よ。今はまだ貴方のような波長の合う人間と、あたしのような特殊な者以外は見えないわ。だけど、後少しすれば完全に具現化してしまう・・・そうなったら、奴は肉体を維持する為に人を喰らう。力を貸して! 勝手な事だって分かってる、だけどお願い・・・ほんの少しだけ勇気を出して」
「・・・・・少し離れた場所に、廃工場がある」
「・・・案内してくれるの?」
「約束しろ、あいつを倒すって!」
「・・・約束するわ」
「よし・・・・おい! 牛野郎!!」
バイクを止め、後ろに振り向く。
「さっさと追って来いよ、それとも足りない頭じゃ何も出来ないか!」
「・・・・ブボッボーーーーッ」
「馬鹿にされた事は分かったみたい・・・」
「上等だコンチクショー! チキン野郎のチキンレースだ!」
そして、長い夜が始まった。
「此処?」
「ああ、この工場は5年前に封鎖されてから、誰も入れないように有刺鉄線で囲まれてる。だから入れないぜ?」
「緊急事態だしね、こうするだけよ!」
ドンッ!
拳銃で鉄線を切る。
「わーお、ヴァイオレンス」
「・・・・もういいわ、貴方は逃げて」
「此処まで来てか? 色々説明してもらうぜ!」
「だから・・・ハァ、仕方ないわね。とりあえず鬼退治といきましょうか!」
「ボオオオオオッ!」
化け物・・・牛鬼は勇吾と少女を見つけると、その丸太のような腕で薙ぎ払う。
「行って!」
「言われなくとも!」
少女はバイクに乗ったまま、拳銃を撃つ。
ドンッ! ドンッ!
「ボワァァァァァァ!」
「効いてねぇじゃねぇか!?」
「嘘・・・如何して、はっ!?」
「あ? 何か分かったのか!?」
「この町には古くから伝承が残ってるのを知ってる?」
「ああ、地理で習った」
「この地は霊地、妖怪にとって豊富なエネルギーが有る土地なの」
「じゃあ・・・」
「たぶん、牛鬼は力を吸ってる」
ブオンッ!
牛鬼は少しずつ間合いを詰めてくる。
「・・・・あ~あ、短かったな~」
「は!? 何の話だ!?」
「ごめんね、巻き込んじゃって・・・でも、何とかするから」
「だから如何やって!?」
「こうやって!」
バッ
少女はバイクから飛び降り、牛鬼の首にしがみ付く。
「このまま・・・魔力を暴走させて・・・」
「おい! 何やってんだ!?」
「早く逃げて! 明日の一面を飾るくらいの破壊力だから!?」
「まさか自爆か!?」
「それしか方法が無いからね、それじゃ・・・」
「軽いんだよ! 簡単に死ぬな!?」
「・・・・死にたくないよ、当然。でもね」
ギンッ!
牛鬼の体を光の帯が何重にも絡みつく。
「あたしの仕事だから・・・」
その顔は誇らしげで、不安を必死に隠していた。
「・・・・よ」
納得出来ない。
「・・・・かよ」
出来る筈が無い!
「・・・せかよ」
礼も言ってない、ありがとうと、そんな簡単な事も言っていない!
「・・せるかよ」
犠牲は嫌いだ、そこまでして何になる?
「死なせるかよ・・・!」
生きて、初めて意味があるんじゃねぇのかよ!
「馬鹿言ってんな! 必ず・・・必ず何とかしてやる!」
「・・・・ごめん」
俺は臆病だ、それでも・・・眼の前で死のうとしてる奴を見捨てられるほど、腐っちゃいねぇ!
・・・・・汝、扉を開けよ。
ドクンッ
汝は絶対なる法にして理、冥府の力を纏いし者。
ドクンッ!
・・・・・・・目覚めよ、時は満ちた。
ブォォォォォォォォォォッ!
突如、勇吾の体を青い炎が包む。
「・・・・・この炎は」
着ている服が黒いライダースーツのような物に変わり、フルフェイスの奥に二つの鬼火を灯す。
ジャララララララッ!
青い炎は鎖に変わり、その先端には鉤爪が付いている。
鎖は両腕に巻きつき、勇吾はそれを掴む。
『悪しき魂よ、我に平伏せ』
炎はより一層青く輝くように燃える。
「ウィル・オ・ウィスプ・・・」
死者の松明、死霊の灯火、冥府を照らす青い炎。
「ごぉぉぉぉ・・・」
牛鬼が怯えている、その圧倒的な存在に。
ブンッブンッブンッ
鎖を振り回し、勇吾は牛鬼を見上げる。
『・・・・離れていろ』
「う、うん」
少女は牛鬼から降り、その場から離れる。
ジャラララララッ!
鉤爪を牛鬼の突き刺し、その動きを封じる。
『魂喰』
ズズズズズズズッ
鎖を引くと、牛鬼の体から何かが出てくる。
それは霊体、具現化された体から抜き取った牛鬼の力その物である。
『邪悪なる魂よ、その罪を償え』
ボワァァァァァァァーーーッ
霊体を青い炎で焼くと、霊体は少しずつ天に昇っていく。
「怨霊の罪を浄化した?」
『・・・・・』
ガクッ
青い炎が消えると、そこには汗だくの勇吾が居た。
鎖も何も無い、最初の服装のままだった。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
何が起こった?
全身から力が湧いてきた。
アレは・・・・?
「・・・貴方、何者?」
少女は勇吾の銃口を向ける。
「ま、待ってくれ! 俺にもさっぱり・・・」
「・・・・うっ」
ドサッ
少女は倒れてしまう。
「お、おい!」
「・・・・もう、ダメ・・・」
ぎゅぐるるるるるるっ
「お腹・・・空いた」
「・・・・・・・・・・・・・・は?」
その時、時計は午後9時を差していた。
やってみました、ヒーロー物。
デザインは破壊魔定光の目を、ガンダムっぽくした感じですかね?
鉤爪はGO3のハデスの鉤爪です、色々出そうと思うので、見てみてください