第3話 数日後
今回はちょっと短いかもしれません。
それから数日が過ぎた。我がクラスの転校生中村葵さんは一気に全校の注目の的になった。あれだけの美人なら仕方ないかって感じだけど。女子高だからそういう飛びぬけた人は、すぐにみんなの噂の的になってしまう。
でも、私たちのクラスのみんなはもう落ち着いたって様子だ。さすがにもう質問攻めにしたりする人はいない。だが、中村さんの人の良い、柔らかい性格もあってか、周りにはいつも人がいる。いわゆるクラスに一人はいる人気者みたいな感じだ。まぁ、戸川さんもいるので二人で人気を二分にしているようになってはいるが。
そして、クラスでは特に戸川さんとその友達数人と一緒にいることが多い。ちなみに、戸川さんの友達もかなり頭がいいらしい。影で戸川さん筆頭のエリート集団と呼ばれているくらいだ。
まぁ、類は友を呼ぶという奴だろう。
戸川さんもなかなかの美人なのでこの二人が一緒にいるとかなりその場がはえるし、なんか廊下で他のクラスの女子や違う学年の人たちまで廊下で騒いでいる状態だ。まぁ、今だけであると信じたい。
休み時間の度に騒がれるのはさすがに勘弁してほしい。
さすが、ミーハーな女子高だ。
ちなみに、私は不可抗力で転校生の隣になってしまったが、今だに一言も話したことはない。
話す話題がないって言うのもあるが、私は転校生が隣に座っている時、授業中以外はほとんど窓の外をみて過ごしていた。恭子に「私にかまうなオーラがでてるよ」と言われたので、たぶん、転校生もそんなオーラを感じていたのだろう。もちろん私にそんなつもりはなかったが。
恭子は何気に話しかけることに成功し、ときどき話している。恭子に言わせれば、理想の人材だそうだ。はぁ、私には眼がキラキラしている友をもう止めることができない。
ほっとこう。 中村さん・・・ご愁傷様。と心の中で思っておく。
キーンコーンカーンコーン。
6時間目の授業が終わり、みんな帰り支度や、部活の準備をし始めた。
「涼ちゃんは今日も部活?」
「うん、まぁ、一応。あそこ私しかいないから居心地いいし。」
「あー、先輩幽霊部員なんだっけ?」
「そう、全校生徒部活にはいらないといけない校則があるせいでね、興味もないのに部活に入った人だから。時々来るけど、何もしないで帰っていくし。」
「そっか~。そういえばさ、中村さんはどこの部活に入るんだろうね。そろそろ決めないといけないはずなんだけど。」
「気になるなら、直接聞けば?この前から、仲良くしてるみたいじゃん。」
「なにー?涼ちゃん、もしかしてヤキモチかな?」
ニヤニヤしながら恭子が問いかけてくる。一発叩いてやろうかコイツ。
「誰がやくか。」
「もう、涼ちゃんはツンデレなんだから~。大丈夫、私の一番の親友は涼ちゃんだよ。」
可愛くウインクをしてくる。様になってるところが憎い。
「うわっ、きもっ。」
「それはひどいよー。キモいとか言わないでよ。私泣いちゃうよ、シクシク。」
目元に手を当てて泣いたふりをしている。
「はいはい、ごめん、ごめん。」
「もう、適当なんだから。それにしてもさ、やっぱり気になるから中村さんに聞いてみようかな。」
恭子はクラスをキョロキョロし始めた。私は興味がないのでサッサと教室を退散することにした。
「そうしたら。私はもう部室いくから。じゃあね、バイバイ。」
「うん、バイバイ。また明日。」
手を軽く振り、教室をでた。
そういえば、中村さん教室にいなかったなと思いながら部室に向かった。
読んでいただきありがとうございました。次話はすぐに投稿できると思います。