第九十五話 終結
そして見つけた。僕が彼を助けれる方法を。
気づけば僕は彼のほうをしっかりと見つめ、彼にこう言葉を放ってしまっていた。
「お前は、この世界にい続けたい?」
僕から出た言葉があまりに予想外だったせいか、彼は「ん?」と首をかしげた。しかしすぐさま表情を戻して、僕の質問に答えた。
「居たいに......決まってるだろ。この世界は...俺の望んでいたものがそろってしまっている。それに、死にたくないさ。本当のことを言えば、俺はこの世界で生きていきたい。お前たちと一緒に、くだらない話をしたり、しょうもない旅をしてみたい」
本当に、俺は意志が弱いな。そう彼は最後に吐き捨てるように言って、苦笑いをした。しかしその最中に、彼は自身の胸をつかむ勢いで、ぐっとつかんだ。
その姿は、以前の父を想起させた。しかし、今回は父のように死ぬわけではない。なんせ僕は、力を手に入れたのだから。
人を守れる、救える。それほどの力を手に入れたのだから。
僕は剣を放り投げ、彼に掌をかざす。
「それでいいんだよ...」
そうして、僕はスキルを発動した。それにより、彼の状態は見る見るうちに戻っていく。宙に舞った光のオーブは地へ落ちてゆき、やがて彼自身の中へと戻っていく。
僕が現在使用しているのは時スキルと速スキル。そして倍スキルに軽スキル。最後に無スキルを使用して、彼の状態を戻していた。かなりのスキルを使用しているせいか、消耗する体力も多い。それ故に、使用している最中、僕は気絶しそうになってしまっていた。
気をしっかり持て!ここが正念場なんだ。ここで気絶したら、父のような最期を迎えることになるんだぞ!
そうだ。決めたのだ。あの時から、父が目の前から消え去ってしまったあの時から。
もう、だれも失いたくない。と。
「これで、終わったかな.....」
しばらくの時間が経ったがゆえに、僕の体力は底をつき、今にも気絶してしまいそうだった。
そんな状況でも、僕は彼がどうなったのかを見届ける。その意志だけで、その場に立っていた。
スキルの効果を受けているという実感がなくなったのか、彼は目を開け、そしてはにかんだ。しかし、その表情は一気に唖然とした顔に変わっていた。
「お前がやったのか?」唖然とする彼だが、その表情の奥には喜びが垣間見える。
「そうだよ。気分はどう?」
僕にそう聞かれ、彼は自身の肉体の状態を確認するため、右へ回ったり左へ回ったり、そして最後には一度ジャンプをした。そして最後に、問題ない。と言って、こちらに向けて微笑した。
よかった...。守れた.........。
その安心感から、僕の視界は一気に黒ずんでゆく。四つの隅からだんだんと見えなくなっていき、そして最後には、僕は意識を手放した。
意識を手放すほんの一瞬、誰かに体を支えてもらったような気がしたが、それが誰かまではわからず、そのまま意識を手放した。そしてそれと同時に、今まで支えてきたみんなの力が抜けていくような感覚がした。
次に僕が意識を取り戻したのは、とある部屋にあるベッドの上だった。豪華なシャンデリアや作りこまれた内装。そしてそ僕から見て右端にあった窓を覗いて見えた景観からして、ここはソラであり、ハイム国王の宮殿にある一室であることが分かった。
ふと左に置かれていた白い机を見てみると、その上には手紙が置かれていた。宛名こそ書かれていないが、なんとなく、みんなからの手紙だと思った。
『エディタ・アドレへ
よくぞこの戦いに勝ってくれた。本当に、君がいなかったらこの戦いに放勝てなかっ。心から感謝する。
実は君が気を失った後、イヴ君と白髪のアドレが君を抱え、ほかは宙に浮かばせながら私たちのところまで来てね。最初は驚いたが、イヴ君が君と白髪のアドレの戦いを見ていたそうでね。彼女から聞いたものではあるが、彼の過去を聞いていたら、とてもじゃないが敵対するのは無理だった。
そのあと、全員は近くにあったソラにまで移動して、私の宮殿にまで運んだよ。幸いなことに、スキルを譲渡しても、全員無事だった。おかげで全員はもうすでに回復してある。あとは君だけだ。
早速だが、起きたら晩餐でも開こうじゃないか。もちろん、君を主役に据えてね。
君の早期回復を心待ちにしている。
ソラ第四国王ハイムより』
手紙を丁寧に折り、手紙の中を封筒の中に優しく入れなおす。完璧に入り切ったことを確認して、僕はそのドアノブを引いた。
パーティもあるし、みんなも待っている。それに言いたいこと聞きたいことはいっぱいあるから、やりたいことがいっぱいだ。
階段を駆け下り、一階にあるダイニングルームへと到着した。そしてゆっくりと、確かにその大扉を開ける。そして...。
「みんな...!」
目の前にいたハイム国王とグレイヴ、そしてオルトにリレイル所長。白黒コンビにルベルト。それに続いて要とイヴ。最後に、ユイガと俺がいた。
全員がこちらを見つめ、安心や喜び。そう言った表情をして、アドレ。と叫んだ。
僕は速足で、みんなの元へ行くのだった。
最後まで読んでくださりありがとうございます!執筆速度は遅いですが、これからもこのシリーズを続けていこうともいますのでブックマークをして待っていただけると嬉しいです。
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