第九十一話 進化する天才
何度も何度も飛来したアドレのナイフ攻撃や打撃攻撃。そして魔法攻撃の数々。序盤こそ何度もダメージを追い続けてきたが、徐々に彼の攻撃をよけ始めていた。
それができ始めたのは、僕が彼の攻撃を見た時だった。
彼の攻撃はどことなく見たことがあった。静かにナイフを取り出すしぐさ。時として出てくる乱暴さ。それとは裏腹な精密さ。
これらの戦術は、すべて僕とユイガの戦術に当てはまっていた。つまり、彼は僕とユイガの戦術を掛け合わせて極め、そして完成した戦術を使っているのだ。
僕はユイガの戦術を何度も見てきたし、癖も知ってる。さらに向こうは僕と同じエディタ・アドレなのだ。性格やスキルこそ違うが、基本ベースはすべて同じ。
なら、あいつにできて僕にできないってことはないだろう。
「さすがだな。だが、まだ特になるのは早いぞ」
直後、アドレの連続攻撃始まった。見えない攻撃にナイフ攻撃。おまけにフェイントからのストレート。僕は見えない攻撃はここにやってくるであろうと予測して回避し、ナイフ攻撃は標的を見定めて回避する。最後のフェイント攻撃は、フェイント発動する瞬間にかぶせることで相殺した。
しかし、まだ足りない。基本ベースは同じだとしても、最終的なステータスはあいつのほうが上。どれだけ技術で並ぼうと、ほかが劣っていては意味はなかった。
それ故に、彼の攻撃を一度もらってしまう。が、カウンターを見事に食らわせ、僕の剣はついに彼の頬をかすかに切り裂いた。
「いい攻撃だ」
彼は傷口を右親指でなぞって、にやりと笑う意笑みを浮かべると、僕の腹部に穴をあけんと言わんばかりの威力で殴った。その威力で、僕は遠くまで吹き飛ばされてしまう。
まだだ。ここで終わったら、世界は終わってしまう。それに、今こいつを倒せるのは僕しかいない。世界とみんなのためにも、ここで負けるわけにはいかないいんだ!
そう決意した瞬間、僕はついに自身の限界を超えた。
『レベルアップ。スキルのレベルとステータスが上がりました。』
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個体名 エディタ・アドレ
種族 人間
スキル 『時』
レベル 7
攻撃力 512
防御 540
速度 570
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突如、脳内に映像のようなものが映し出され、スキルやステータスの情報が体中に伝播する。それは久しく僕が忘れていた感覚。レベルアップの感覚だった。
直後、彼の攻撃が飛来する。先ほどであればギリギリの紙一重で回避することしかできなかったが、今回は余裕をもって回避することができた。
「今の僕なら...!」
その自信を根拠に、僕は大胆に攻め始めるのだった。
エディタ・アドレとエディタ・アドレの最終決戦。先ほどまで圧倒的な蹂躙だったはずが、気が付けば拮抗した戦いをしているようになっていた。が、これはただ白髪のアドレが手を抜いているだけであった。
さすがだな。
白髪のアドレは心の奥底で微笑んでいた。
エディタ・アドレという存在は、もともと才能であふれている。例えばとてつもない集中力だったり、敵の攻撃のパターンを分析できる才能。そして、ギリギリの戦いによって進化していく才能。
現に今こうして、白髪のアドレと拮抗した戦いを演出できるほどにまで成長した。だが、これで成長は終わりではなかった。
先ほどの動きから、白髪のアドレは彼がレベルアップしたということにいち早く気が付き、攻撃のギアを上げてみた。が、それでも彼の成長は止まらず、徐々に白髪のアドレとの差が埋まり始めていた。
攻撃力は540....650...そして750に到達し、防御は540...650....そして760に到達した。そして最後の速度は570,,,,680....790。結果的にレベルは9にまで到達していた。
「さらにギアを上げていくぞ。俺についてこれるかな?」
そういう白髪のアドレには、笑みがこぼれていた。
直後、今まで以上に激しい金切り音があたりにこだまする。周りにいたユイガたちは耳をふさぐが、アドレたちは耳をふさぐ気はない。それどころか、互いの目を見つめあい、いつ攻撃を仕掛けてくるのか慎重にうかがっていた。
そんな緊迫する状況の中、動き出したのは白髪のアドレだった。彼は最小限の力で彼の剣を宙に放り投げ、武器を遠ざけた。その時にできた隙を見逃すわけもなく、白髪のアドレは思い切り胸部に蹴りをお見舞いした。
「やはり、お前は俺に勝つことはできない」
淡々と言っているように見えているが、白髪のアドレの背筋には、冷たい汗が一滴流れていた。
そろそろかな...。
白髪のアドレはついにもう一つの魔法を使い始めた。
最後まで読んでくださりありがとうございます!執筆速度は遅いですが、これからもこのシリーズを続けていこうともいますのでブックマークをして待っていただけると嬉しいです。
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