第八話 レベルアップ
理由はすぐに分かった。そう、僕は壁に叩きつけられたのだ。あいつの大きな尻尾によって。
ゆっくりと体を起こし、拮抗した戦いを繰り広げているユイガの助けをするべく走り、攻撃をブロックする。
しかし流石はダンジョンのボスといったところだろうか。ブロックされたのにも関わらず、間髪入れずに次の攻撃を繰り出してくる。
僕とユイガはその攻撃に対応できず、ユイガはダメージを負う。が、僕はその攻撃をなんとか回避した。何度もやつは攻撃をしてくるが、紙一重で回避する。そうか。わかってきたぞ。
「こいつの動きが。」
やつは、連撃をしたあとにちょっとした隙が出来る。そこを突く。それこそが、この戦いを勝つ突破口の鍵だ。
そうして、僕が向かおうとした時だった。やつの攻撃が目の前にまで迫っていた。避けられない。そして、僕はまたもや壁と激突した。
クソぉ。勝てない。『時』スキルじゃ役に立たない。もっと、欲しい。力が欲しい!
『レベルアップ。スキルのレベルとステータスが上がりました。』
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個体名 エディタ・アドレ
種族 人間
スキル 『時』『?』『?』
レベル 2 自身に対して発動可能。(最大2箇所まで)
攻撃力 40 925
防御 40 950
速度 40 910
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突如、脳内に映像のようなものが映し出され、スキルやステータスの情報が体中に伝播する。
なるほど。ユイガが行っていたことは本当だったのか。
これで勝てると確信を得た僕は、決意を交えた目でやつを睨む。さあ、来い。
瞬間、奴の鋭利な爪が僕に迫る。が、僕はそれを難なく回避して流れるようにして奴に攻撃を浴びせる。
確実に弱っている。奴は、攻撃を受けるたびにうめき声をあげていたが、それはもう消え失せていた。だからこそ、僕はトドメの一撃を放つべく剣を振るう。
「は?」
しかし、奴へと振るった剣はやつの皮膚部分で留まっていた。剣を抜くべく思いっきり力を込める。が、抜けない。そうこうしている間に、僕の眼前にまでやつの攻撃は迫っていた。
ヤバイ!死ぬ!そう思ったが、もう間に合わない。もう、やるしかないのか?クソぉ、結局自分の力で倒せなかった。
そう思うが、僕の手はゆっくりと頭に近づく。やがて手は頭に触れ、直後に『時』スキルが発動するのだった。
さて、せっかくレベル2になったんだ。久しぶりに、本気で行くとしよう。
やつの攻撃をまるで予測していたかのごとく、最小限の動きで攻撃を回避し、そのまま蹴りを一発入れる。その間に、俺は『時』スキルで、もう一つあるものを戻していた。そう、それが。
直後、俺の蹴りは奴を真っ二つにしたのだった。
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