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第八十九話 最恐の男

レイナの死。それはあっけなく、そして突然の出来事だった。あれだけ苦戦したレイナを、一瞬にして粉々にする俺。その光景を見てしまった時には、僕の膝はがくがくと笑うようにして震えていた。

 

「どうしてレイナを殺した...」


最初に出てきた言葉は、素朴な疑問だった。


「なんでって.......足手まといだからだ。雑魚すら殺せないやつなど、俺の計画の邪魔でしかない。だから殺した」


そういいながら、アドレはくるりくるりとナイフを回しながら空に放り投げては捕まえてを繰り返した。

 そんな彼の身勝手な行動に、僕は先ほどまで敵だったレイナに対して憐れみを感じつつ、同時に怒りが沸き上がった。

 静かに、僕は剣を抜き取る。


「いまなら......。いまなら、見逃してやる」


彼もまたナイフを抜き取ると、情けをかけるようにしていった。が、僕は剣を鞘に入れる気など、毛頭なかった。


「そうか....。ならさっさと終わらせよう」


その瞬間、彼は押しつぶされてしまいそうなほどの殺気を放った。その量に一歩後ずさり、適当に攻撃が当たりそうな位置に剣を置いてみる。

 カキンッ。

 金属と金属が激しくぶつかり、金切り音が甲高い音を立てた。

 しかし、油断するにはまだ早かった。一度攻撃を防いだと思ったら、右わき腹に鋭い痛みを感じた。

 何かと思ってアドレのほうに視線を飛ばしてみると、アドレはすでに回し蹴りの態勢に切り替えていた。

 そのあまりの強さに何十メートル後方にまで吹っ飛んでいき、採取的に壁と激突することで、その勢いはついに終息した。

 

「準備運動はここまでだ。ここからは、本気でいかせてもらうぞ」


そういって、ゆっくりとこちらに近寄ってくるアドレ。

 やばいかもしれない...。

 あいつの攻撃。多分まだ本気を出してはいない。しかし、先ほどあいつは本気を出すといっていた。つまり、あれ以上の威力を出せるということだ。

 故に、あいつの一撃一撃が、僕にとっては致命傷ということになる。

 僕は急いで立ち上がり、剣を構えた。


「さあ、行くぞ」


すると、僕の腹部に強烈な痛みが走る。激痛に悶えつつ、一体何をしたのかと彼のほうを見てみるが、彼と僕との距離は相当あり、とてもじゃないが攻撃る範囲ではなかった。

 しかし攻撃は確実に届いており、僕の体力を大幅に削った。


「一発だけで悶えてどうする。まだまだ攻撃は来るぞ!」


直後、僕の右隣りを何かがかすめていく。しかし、これだけでは終わらなかった。その攻撃は何度も、何度も飛来し、胸、右腕、左足。ありあらゆる部位を攻撃していき、僕の体力は完全に尽きた。

 いや、まだだ。まだあれが残ってる!

 そのひらめきとともに、僕は時スキルを発動して過去に戻った。その時、すぐ右隣りを何かがかすめていった。

 ここからか...!

 僕は先ほどの攻撃の位置をすべて把握しており、いともたやすくよけることができた。が、さすがは最強。よけようと思ってもよけれない攻撃がいくつか存在しており、僕はダメージを何発かもらってしまっていた。


「戻したか..........だが、その程度では俺の攻撃など防げぬ!」


瞬間、僕の目の前には彼が現れ、思い切り蹴り飛ばされた。が、即座に時スキルを使用し、先ほどの攻撃が来る直前にまで巻き戻した。

 そのはずだった。僕は確実に回避を行った。が、先ほどの攻撃は見事に僕の左腕に命中し、またもや思い切り吹き飛ばされた。

 まさか........。

 僕は、なぜ彼の攻撃が命中したのかを考え、そして結論にたどり着いた。しかし、それは人知を超えており、到底不可能なことだった。それでも、これしか可能性は残されていなかった。

 彼はスキルなしで、僕の行動パターン予測して攻撃パターンを切り替えているのではないか。と。


「やはり狭いな........。場所を変えるか」


彼がぼそりとつぶやいたその瞬間、パチンっ。というスナップ音とともに、僕と彼は平原にまで移動していた。

 あたりを見渡すが、どこもかしこも平原。しかし、この光景に僕は思えがあった。その核心を元に、よくよく目を凝らして遠くを眺めてみる。すると、遠くに先ほどの城が見えた。


「さて、ここなら思い切り戦えるだろう.,...」


そういうと、彼は手を天に掲げた。すると、見る見るうちに風の威力が強くなり始めた。それはまるで竜巻のように、ありとあらゆるものを飲み込まんとしていた。しかし、まだ風の威力は強くなっていく。

 気が付けば、それは僕では到底かなわないほどの威力を持った怪物と化していた。


「いや、あきらめるもんか」


僕はその怪物に向かって時スキルを発動し、時間を巻き戻そうとした。が、僕のスキルは発動せず、怪物はさらに脅威を増すばかりだった。


「今、空気に干渉したな?」


にやりと、悪い笑みを浮かべながら彼は言った。


「残念ながら、お前のスキルは俺には通用しない」そういったとたん、怪物の成長は止まった。

「アドレ。お前には、ストームの中に入ったらどうなるのか。その身をもって体験させてやるよ」


ストーム。彼はそう静かにつぶやくと、その怪物はすべてを飲み込み始めた。

最後まで読んでくださりありがとうございます!執筆速度は遅いですが、これからもこのシリーズを続けていこうともいますのでブックマークをして待っていただけると嬉しいです。

 これからもこのシリーズをよろしくお願いします!

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