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第八十五話 ユイガ&エナvsレイナ 其の一

『いいか、ユイガとエナ。そいつは分身だ。実力は二割ほどしか出せないみたいだが、気を引き締めて戦え』

「チっ...!厄介な奴と当たっちまったぜ」


ハイム国王の指示を聞き、ユイガとエナは、目の前に現れたレイナを見て、すぐさま戦闘態勢に入った。


「そんなに警戒しなくてもいいのよ?別に、私はあなたをいたぶる趣味はないのよね」


一瞬で殺される。

 それを理解したからこそ、ユイガは冷汗をかいた。自分がこんなのに勝てるのかという不安があったからななのか、エナより冷汗の量が多い。

 しかし、引くわけにはいかない。ユイガは強くそう決意していた。

 理由は簡単。いつもアドレに任せっぱなしだったのが、悔しかったからだ。今までは対等な関係のように感じていたのに、気が付けば、アドレがユイガの一歩も二歩も先に行っていた。

 追いつきたい。

 その一心だったはず。


「そうかよ」


だけど、少し違う。そう、ユイガは気が付いた。

 確かに追いつきたいという思いもあるが、それ以外に、何か使命のようなものを感じていた。一刻も早く、あのアドレを止めたいという、そんな気持ちが強くなっていったのだ。

 いったいどうしてこんな気持ちになってしまったのか、ユイガ本人もよくわかっていなかった。


「ユイガ、私のスキルを言ったことがなかったな?」

「そういえば、そうだったな」

「私のスキルは『回』。ありとあらゆる回転率を上げることができる能力だ。私の言いたいこと、わかるか?」


エナは最後まで言ってくれなかったが、ユイガはその意味を完全に理解していた。


「ああ。後ろは頼んだぜ!!」


直後、ユイガは勢いよく飛び出した。

 手始めに右ストレートをお見舞いしようとするが、レイナはいともたやすく回避し、おまけと言わんばかりにカウンターを入れた。

 つえぇ...!だけれど....。

 ユイガは再び突進をし、攻撃を仕掛けた。


「ユイガ、右ストレート左寄りだ!」


エナの指示通りに攻撃すると、レイナの右ほほに直撃した。しかし、レイナもこれだけでは終わらない。レイナはカウンターを仕掛ける。


「大ぶり気味に右に回避!」


その指示に従って回避すると、レイナのカウンターは見事紙一重で回避することに成功した。

 その後も何度も格闘戦をするが、レイナの攻撃はことごとくよけられ、よけても確実に当たるといったように、手も足も出ない状況に陥った。


「やるじゃない。けれど、それはあの子ありきの問題。果たして、あの子がいなくなったらどうなるでしょうね...?」


レイナはにやりと笑うと、手で銃を作り始めた。


「さよなら」


直後、人差し指からビームのようなものが発射された。

 エナには多少の戦闘力を持ち合わせているが、この戦いに生かせるかといえば、かえって足手まといだ。しかしそれと同時に、この戦いでのキーパーソンである。

 そんな彼女に、レイナの攻撃が回避できるはずがなかった。


「アブねぇ...!!」


とっさに、ユイガはエナをかばった。

 直後、ユイガの腹に光線が直撃し、その反動で壁に衝突した。


「ユイガ!!」


エナがそう必死に呼びかけても、ユイガはびくともしない。

 ユイガは、気絶していた。


「くそっ...!」


歯を食いしばりつつ、エナは剣を取り出す。

 しかしレイナは戦闘態勢に入ることはなく、にやりと嘲っているばかりであった。

 完全になめられている。

 そう感じた彼女はレイナに接近し、攻撃を仕掛けた。が、いともたやすく回避されてしまう。

 彼女のスキルは確かに有効だが、彼女の身体能力では宝の持ち腐れ。つまり、体が貧弱すぎてどれだけ頑張ってもレイナの意表はつけないということだ。

 それ故に、どんなに攻撃しても、レイナにあたる気配はなかった。


「あきらめたらどう?」


エナの息が上がり始めたころ、レイナがそんなことを言い出した。


「何を言う。私はまだ戦える限り、あきらめることなんてない」

「そう。なら....戦えなくしてあげるわね!!」


直後、レイナは一瞬でエナの至近距離にまで近づくと、思い切りナイフを振りかざすのだった。

 しかし、そのナイフが当たることはなかった。刃先は誰かの手により止められ、勢いを失っていた。


「おい、何勝手にエナと戦ってんだよ。まだ戦いは終わってないだろ」

「ユイガ!」

「すまん。またせた」


そう優しくエナに語り掛けるユイガだったが、ナイフを止めている手からは、血がとめどなく流れている。

 チっ...!!

 そう舌打ちをし、レイナはその手を振り払って下がった。


「レイナ。俺は覚悟が足りなかったよ」


そういって、ユイガは自身の胸に手を当て、スキルを発動する。

 二倍...。三倍...。そしてついに五倍。

 スキルを発動すればするほど、ユイガのステータス。いや、レベルが上がっていく。


「俺はここで終わっていい。俺がどうなろうとも、お前を倒せればそれでいい!!だから、俺のすべてを、お前にぶつけてやる!!」


瞬間、ユイガのレベルは、ついに25に到達した。


「さあ、第二ラウンドと行こうぜ!!」


周りにも響くような声でユイガは宣言し、ついに、第二ラウンドの火ぶたが、切って落とされたのだった。

最後まで読んでくださりありがとうございます!執筆速度は遅いですが、これからもこのシリーズを続けていこうともいますのでブックマークをして待っていただけると嬉しいです。

 これからもこのシリーズをよろしくお願いします!

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