第八十三話 アドレvsレイナ 其の一
試しにレイナに斬りかかってみるが、それはすでに残像。気が付けば、レイナは僕の背後に回っていた。
はやっ...!?
その思考が判断を遅くし、レイナの炎攻撃は、見事僕にヒットする。
「ぐっ...!!」
えげつない火力で焼かれ、僕は消し炭なりかけたが、時スキルで僕の状態を戻すことで、何とかその炎に耐えることができた。しかし、熱い。
今の攻撃だけでわかった。彼女は確実に強くなっていると。
そして、今の僕では勝てないことを。
仕方がない、あいつとの決戦のために隠しておいた隠し玉だが、ここでやるか...!!
特訓して、あの技を磨いてきた。だから、失敗することはない。そんな自信があるからか、力強く、僕は右足を地面にたたきつけるように踏んだ。
「.......。..........!!」
瞬間、僕は彼女めがけて突っ込んだ。
「直線的な動きね。丸見えよ」
そういって、レイナは僕めがけて手をかざすと、手からはビームのようなものが放たれた。
しかし、そのビームは僕を貫かず、通り過ぎてゆく。
別に、レイナの照準が合わなかったわけじゃない。彼女は的確に、僕の心臓を打ち抜こうとした。
その時、僕はついにそのビームをよけるような動作をした。
「そう...じゃあこれならどうかしら!」
すると、またもやレイナはビームのようなものを放ってきた。しかし、先ほどとは違う。今回は何本も打ってきている。
だが、それはすべて僕に向かってきたもの。だったら、よけることなんて造作もなかった。
ビームはすべて僕に向かって放たれるが、すべて僕の心臓を通り抜けていく。もちろん、ダメージはない。
すべてのビームをよけ終わり、気が付けば、僕はレイナの至近距離にまで距離を詰めることができていた。
「なにそれ...あなた、一体何をしてるの!?」
「君の攻撃は、僕には当たらない。君が見ている僕は、数秒前の僕だ」
僕が殴る動作をする前に、レイナは吹っ飛び、壁に深くめり込んだ。その時ようやく、僕は先ほどレイナの腹があったところを殴った。
時間ずらし。簡単に言えば、みんなが見ている僕は幻。本当の僕は、すでに別のところに移動している。これには膨大な集中力と魔力。そして時間把握能力と時間捜査能力が必要不可欠だ。
つまり、クロノス・スウィフトの上位互換である。
しかし、これには致命的な欠点があった。そう、膨大な体力消費である。
時間ずらしは長くはもたない。持ってもあと少し。といったところだろう。それに、今回は前回と同様、僕はレイナに時スキルを使用している。それゆえ、体力消費は今まで以上に速い。
つまり、短期決戦である。
僕の体力が尽きるか、それともレイナをしとめるか。
「一刻も早く、終わらせなければ」
拳をぎゅっと固めた時、レイナが起き上がった。
彼女は息を荒げてはおらず、まだまだ元気そうだ。しかし一方、こちらの息は上がってきていた。
「なかなかやるわね...。だけど関係ないわ。あなたは私には勝てない」
「どうかな...。勝負はこれからなんだよ.......?」
気を抜くな。もし気を抜いたら........。
確実に死ぬ....!!
直後、レイナの攻撃が始まった。彼女は手に黒い球体を生成すると、にやりとこちらを笑ってそれを僕に向かった放り投げた。
地面をえぐりながら進むその球体をよける手段は、なかった。
「ぐっ....!!い、いけぇぇ.......!!」
気合を入れてその球を押し返してみようとするが、逆にこちらが押されるばかりである。そこで、僕はこの球体を過去に戻すことにした。
二倍、二分の三倍。そして一倍。
僕より三倍大きかったその球体は、次第に小さくなっていき、最後には、完全に消滅した。
完全にしのいだ僕は、レイナの方向に視線を飛ばす。しかし、その場に彼女はいない。
「後ろか...!!」
後ろなら、対策は万全だ。レイナが背後をとってきた瞬間から、警戒態勢を敷いてある。
ばっ。と後ろを振り返る。が、そこにレイナはいなかった。
「上よ...!!」
直後、彼女の声が聞こえたかと思えば、僕の頭に手を置いていた。
しまった...集中しきれていなかったか...!!
そんな後悔も先に立たず、彼女の手先から放出された球体とビームのようなもの。そしてありとあらゆるスキルが、僕を押しつぶした。
「もう終わりね」
ばたりと、僕は力が抜けたように倒れこんだ。
くそっ...勝てないのか...?
世界がかかっているというのに、僕は倒れていいのだろうか?こんな奴に、負けていいのか?
どうしても....?
いや、違う。
優しい風が吹く。それはまるで、僕に起き上がれというように、優しく、されど冷たく吹いた。
「そう、だよな」
僕はボロボロになった体を起き上がらせ、胸に手をかざし、時スキルを使用した。
すると、見る見るうちに僕の姿は戻っていき、僕は完全回復を成功させた。
「驚いたわ。まさか、あなたにそんな芸当ができるなんて」
「まあ君なら考えもつかないだろうね」
「なかなかいうじゃない」
僕はにやりと笑みを浮かべ、そして、静かに剣を抜いた。
「これから、一つのスキルを極めた僕が、テキトーにスキルを使う君に教えて上げるよ......。スキルの本当の使い方ってやつを!!」
僕とレイナの戦いは、再び戦いの火ぶたを切ったのだった。
最後まで読んでくださりありがとうございます!執筆速度は遅いですが、これからもこのシリーズを続けていこうともいますのでブックマークをして待っていただけると嬉しいです。
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