第七話 ダンジョンのボス、降臨
どうやら、本当にヤバイ人に出会ってしまったのかもしれない。あれから随分と時間が経っているのにも関わらず、僕達に説教を垂れている。
説教からわかったことがある。それは、このおっさんはせっかくファウンド王国から、ここに来たというのに、僕達によってその苦労が水の泡になったからだ。ということである。
正直同情しかけてしまう。だが、流石にそこまで怒る必要はないだろう。
「わかったか?この先にいるモンスターは、全部俺のもんだからな。手を出すなよ。」
そう言って、自己満足したおっさんはその場からさり、ダンジョンの最深部へと進んでいくのだった。
はぁ。と、おっさんが消えるなり僕はため息を付いた。ようやく終わったか。
「ムカつくな。あいつ。今度会ったら、俺がボッコボコにしてやるぜ!」
「ああ、私も一発でいいから殴りたい気分だ。」
どうやら、ユイガとエナは安心感ではなく、嫌悪感と殺意を抱いているようだ。
全く、ふたりとも怒りすぎだろ。
「まあまあ、落ち着いて。とりあえず僕達も行こう。宝を、あいつよりも先に取っておきたいからね。」
そう言って、僕はあるき出すのだった。
にしても、なぜだろう。あの怒る方は不自然すぎる。とはいえ、なんの情報もないから、推察できないか。
直後、耳をつんざくような叫び声が、あたりのこだまする。
声の主は、あのおっさんだった。その叫び声を聞きつけた僕は、疾駆する。が、その場には、驚くような光景が映し出されていた。そう、ムカデのような、超巨大モンスターが、あのおっさんを踏みつけていたからだ。
化け物は、こちらを威嚇するかのように、手の一部を上に上げた。直後、何かしらで発生した突風が僕らを襲う。さらに、周りには、さっき倒したモンスターたちが僕らを囲っていた。
「雑魚共は私が片付けておく。お前らはあいつをやるんだ!」
そう言って、その群れに突っ込んでいく。
なら、僕達のやることは決まっているな?と、ユイガにアイコンタクトを取る。ユイガはコクリと頷き、了承の意を見せた。
そいつの鳴き声がその場全体に行き渡り、不意に耳を塞ぐ。が、罠だったのかユイガの方へとやつの鋭利な手が迫る。勿論、ユイガは予め『倍』スキルを使い、なんとか耐えてみせた。
そして、その拳でやつを殴りつける。その間に、僕はやつの懐に入り、その剣を振り下ろす。
『ガキッ!』
そんな音が鳴る。僕の目の前にある剣は、やつの殻を破っていた。今だ!そう思った時だった。グニョグニョという気色の悪い音を鳴らし始めた。そして、その音が止んだときには、その傷はなくなっていた。
マジか、、、。どうするかな。そう思ったときには、僕は、何故か後方にふっ飛ばされていた。
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