第七十九話 悪魔
それはアドレが起きる少し前にさかのぼる。
アドレとの戦闘により負傷を追ったレイナ。彼女は、見知らぬベッドで目覚めた。
目を開けると、最初に見えるのは天井。しかしその天井はかなり薄汚れている。あたりを見まわたしてみると、壁も同様。いや、ほとんどの装飾品を年季が入って古びている。その中で異彩を放っていたのは、炎をともすキャンドルであった。
そんななか、よくよく観察してみると、上へと続く階段を見つけた。どうやら、個々は地下室らしい。それがわかると、この部屋に窓が存在しない理由もなんとなくわかった。
ふとソファに視線をやると、一人の男が座っていた。そう、もう一人のエディタ・アドレである。
「目が覚めたか」
「あなたは?ここはどこ?どうして私をここに?」
「一度に何度も質問をするな」
彼ははぁ。とため息をついた。
「俺はエディタ・アドレ。だが、あいつとは違う。俺は別世界のエディタ・アドレだ。そしてここは俺の隠れ家みたいなものだ。なにせ、世界を滅ぼすためにお前を助けたんだからな」
「そう。けれど、あまり私を下に見ないほうがいいわよ?いずれは、あなたを超えるかもしれないのだから」
すると、アドレはふっ。と不敵な笑みを浮かべた。
「どうだろうな。まあ、少なからず現在ではお前は俺より下だ。だからせっせと働いてもらうぞ」
「というと?」
「この後、有力なスキルを持つ奴らを探し、瀕死程度までいたぶる。そいつらを、お前が殺す。それでお前はスキルを得て、力を得ることができる。そうだろう?」
なぜそれを?
彼女は一瞬驚いた表情をしたが、すぐさま冷静に戻り、そしてうなずいた。しかしそれは表情だけ。彼女は、頭の中でなぜ知っているのかという疑問に答えを導き出そうとしていた。
しかし、永遠にその答えは出てこなかった。そして、この答えが出ることは、今はないのだろうと思った。
「それじゃあ、俺は行ってくる」
彼女は横になりながらも、アドレが階段で地上に上がっていくところを見続けていた。
なにか、既視感を感じる。
ふと、彼女はそんなことを思った。
依然戦ったエディタ・アドレでは感じなかった何かを、彼では感じた。それは懐かしくもあり、同時に新鮮そのものであった。
わけのわからない矛盾に気が付いた彼女は、考えるのをやめ、今一度眠りについた。
あれから少し眠っていたらしい。キャンドルの光はすでに失われており、あたりは暗闇と静寂が覆っていた。
そんな空気を打ち破ったのは、ドサッ。という、何かが置かれた音だった。しかし部屋は暗いため、レイナは何が置かれたかはわからない。ただ分けっていたのは、そこにアドレがいるということだけだった。
「まったく、どうして明かりも付けられないのか....」
そう愚痴を吐きながら、アドレは新しいキャンドルを添えて火をつけ、部屋に明かりを再びともした。そして、部屋の状態があらわになった。
依然と何も変わらない部屋。しかし、レイナの目の前にはうぅ...。とうめき声をあげる男女複数人が倒れていた。
しかも合計で二十人程。一体、どうやってここまで運んできたのかと疑問に思う。
「さあ殺せ。でなければ、俺がお前を殺す。選べ」
目の前でたびたび動く数本の腕。まだ生きているという事実と、ほんのり漂う血の香りが、彼女を刺激した。
彼女は手に持っていたナイフを取り出して、彼らを一突き。一瞬のことではあったが、彼女は劇的なパワーアップを遂げた。
「どうだ。かなりのパワーアップを遂げたはずだが、俺に勝てる見込みはあるか?」
アドレの挑発に乗ろうとしたレイナ。しかし、逆らう気にはなれなかった。なんせ、彼が運んできた人間の一人が持っていたスキルは、魔力を測定するスキルだったからである。
そう、彼女は見てしまったのだ。アドレの魔力が測定できないことに。
測定できるキャパシティを超えていた魔力量。それだけで、レイナは委縮してしまった。
「そうか。じゃあ、まだまだ俺のもとで働いてもらうぞ。明日も、明後日も。な」
そう言ってアドレが浮かべた笑顔は、まるで悪魔そのものだった。
「そういえば、君たちの能力をしっかりと測定してませんでしたね」
僕たちが特訓を始めようと、部屋から出ていった時のことだ。オルトが、突然そんなことを言った。
「そうですね。確かにお互いの特徴を理解し合うのも大事ですしね」
僕がそういうと、オルトは自身の懐からあるものを差し出してきた。
それは僕たちが見たことがあるものだった。そう、冒険者ギルドにあったもの、すなわち、ステータス測定器である。しかしサイズはかなり縮小されており、ポケットサイズほどの小ささにまで縮小されていた。
「どうしてこんなものを?」
「先ほど、ハイム国王からいただきましてね。テストプレイもかねて、あなたたちの能力を測定しておこうかなと」
なるほど、それはいいアイデアだ。
そう思った僕はさっそくその案を受け入れた。
最初に測定するのは要。彼女は二回目なので、いまだに慣れていないという様子。恐る恐る手をかざすと、彼女の前にステータスが表示された。
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個体名 桐山要
種族 人間
スキル 『速』
レベル 5
攻撃力 100
防御力 70
素早さ 776
ランク B
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今一度ステータスを見てみたが、彼女のステータスは一向に上がっていなかった。
しかしこのショックは、当の本人が一番受けているであろう。彼女は平然となぁんだ。と言っているけれど、声はかすかにふるえていた。
次に、ユイガの番。彼は堂々とその手をかざすと、同じようにステータスが表示された。
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個体名 ユイガ
種族 人間
スキル 『倍』
レベル 5
攻撃力 210
防御力 210
素早さ 120
ランク B
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ユイガはよっしゃ!と嬉しそうにガッツポーズをとると、スキップをしてどこかへ行ってしまった。
そんな彼を横目に、僕も手をかざした。
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個体名 エディタ・アドレ
種族 人間
スキル 『時』
レベル 6
攻撃力 410
防御力 390
素早さ 490
ランク B
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この結果を見て、今一度思った。
やはり俺とではまだまだ差があるということ。
最後まで読んでくださりありがとうございます!執筆速度は遅いですが、これからもこのシリーズを続けていこうともいますのでブックマークをして待っていただけると嬉しいです。
これからもこのシリーズをよろしくお願いします!




