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第七十六話 あの事件の後

 久しぶりの仲間から送られた手紙が、うれしいくないわけがなかった。固い封を、手紙の包み紙が破れないように慎重に開け、ついに手紙を取り出した。

 そして手紙を開け、内容を読むことにした。


『エディタ・アドレ君へ

久しぶりだな。私と別れてから、いろいろな冒険をしてきたと、あまたの冒険者から聞いた。それに、私と同じBランク冒険者にもなり、晴れてレベル6にまで到達したとも聞いた。まったく、もう私が手伝えることはないじゃないか。

 そう思っていたんだがね。ここ二日間、何やらエディタ・アドレを名乗る男が各地で暴れまわっているらしくてね。しかも彼は、世界を滅ぼすとか言っているらしい。ただ、全員君の顔は知っているから、彼が偽物だとはわかっている。問題はそこじゃない。私たちがおびえているのは、その強さだ。一度、レベル4の冒険者たちが彼に挑んだけど、10秒もせずに全滅したらしい。

 そんな強さを持つ彼を、私たちは止めなければならない。だから、君に力を貸してほしいんだ。

 ウェスリーアのテラスティア宮殿の前で、待っている。

エナ・オーリーより』


最後まで読み終え、僕はその手紙を机の上に戻した。

 それにしても、僕が寝ていた三日間のうちに、いろいろなことが起こっていたらしい。特に俺に関して、きっとみんな俺に問い詰めてくるはずだ。なんせ、僕と俺には面識があるから。

 納得してくれるだろうか。と希望的観測を抱いたが、どうせ信じてくれそうにないと、僕は落胆してため息をついた。

 その時、みぎてにあった木製のドアが開いたかと思うと、ユイガたちが入ってきた。


「お、起きたか。調子はどうだ?ほれ、これ食って腹満たせや」


ユイガは入って来るなり、手に持っていた、果実が多く詰め込まれたかごを机の上に置いた。

 僕はそのかごの中から果実を一つ取り出し、食べ始め、話を聞くことにした。


「あの後、どうなったの?」

「ああ。あの後、オルトさんが部屋に倒れていた俺たちを見つけたらしい。俺たちはすぐ目を覚ましたが、アドレは体に負荷をかけすぎていたらしくて、ここ三日間眠っていたってわけさ。それと、イヴの剣なんだが、ちゃんと成功したみたいだぜ。もちろん正体はばれずにな」


僕が思いついた作戦。それは多少の犠牲を払う必要があった。しかしそれと同時に、イヴのスキルでその犠牲者をなくす。それによって、この作戦は犠牲者を出さずして成功(?)したわけだ。

 そこまで言い終えると、ユイガは真剣な目つきで僕を見つめると、僕にこう聞いてきた。


「あいつは一体何なんだ?エディタ・アドレと名乗っていたし、明らかにお前と面識があった。どういうことなのか説明してくれ。絶対に、お前を信じると約束するから」


ユイガのその訴えが、僕の心に深く刺さった。

 僕はわかっと。と静かに話を切り出した。

 そして話し始めた。あいつは別世界から来た僕自身であること。そして、僕は時スキルで彼をここに呼び寄せてしまったこと。僕は時スキルを使うことによって俺と交代すること。はじめのこと、レベル4の冒険者を倒したのは僕ではなく、別世界から来たあいつなのだと。たびたびとてつもない強さを発揮していたのは、僕が俺と入れ替わっていたからということ。

 僕が覚えている限りのすべての情報を吐いた。


「そうか。だからか」


ユイガたちは納得した様子で、僕の話をうんうんとうなずき、相槌を打った。


「疑わないのか?」

「当たり前だよ。そう言われれば、なんとなく辻褄が合うからね。少しは驚いたけれど、それでも、僕は話してくれたことがうれしかったな」


その言葉を聞いて僕は、なんていい仲間を持ったのだろうと、心の中で感動していた。


「それで、この後はどうすんだ?」

「そうだね。現在各国で協力体制が敷かれてる。今回は多分アドレ君に話を聞く人がいると思うから、しばらくはここで待機でいいんじゃない?」

「いや、少し外に出てくる。会いたい人がいるんだ」


そういって僕は立ち上がると、テラスティア宮殿の前にまで走り出した。

 後ろから嫉妬の目線を送られた気もするけれど、きっときのせいだ。


アドレが去ったのを確認して、イヴは口を開いた。


「会いたい人って何!?何よ!あいつにも好きな人がいるってこと?」

「おい、落ち着けって。まだそうと決まったわけじゃないだろ。もしかしたら交渉とか、そういうものかもしれない」


どっちにしろ怪しい。そう結論を出した三人は、こっそりアドレの後をつけることにした。

 そろり。そろり。と、足音を立てないようにゆっくりと後をつける。しかし、アドレは走っているため、次第にその姿は小さくなっていく。


「ええい、もう全力ダッシュよ!!」


じれったさに負けて、イヴは全力で走りだした。しかし、アドレは気が付かない。それに気が付いた二人も同様に全力ダッシュをするのだった。

最後まで読んでくださりありがとうございます!執筆速度は遅いですが、これからもこのシリーズを続けていこうともいますのでブックマークをして待っていただけると嬉しいです。

 これからもこのシリーズをよろしくお願いします!

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