表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕と俺のレベルアップ  作者: THERDRIE
第四章
73/77

第七十三話 時間の瞬天ークロノス・スウィフトー

何度も、何度も、何度も。何度も攻撃しているはずなのに、レイナには攻撃が当たらない。それどころか、僕へ被弾する数が徐々に増えていき、気が付けば、僕の体は切り傷だらけになっていた。

 つっよ。バッカみたい。

 まるで暴君と戦っているような、いや、実際に暴君と戦っている。

 間違いなく、僕は勝ち目のない勝負に両足を突っ込んでしまったのだ。

 しかし、僕には作戦があった。絶対に勝つ作戦。レイナにしか通じない作戦を。


「ここからが、本気と本気の勝負さ」


瞬間、僕は極度の集中状態に入るのだった。





「やっぱり心配になってきた。私、アドレのほうへ行ってくる!!」

「やめとけ」


アドレのほうへと行こうとするイヴを、俺は静かに静止した。

 俺と要とイヴはテラスティア宮殿から北側。オルトは西。リレイルさんは南側を担当している。

 この後にイヴの単独行動があるのだが、いまではないことはわかっていた。


「あいつにはあの奥の手があるんだ。それに...」

「それに...?」

「あいつの奥の手にはまだ伸びしろがある。それも、あのグイドさんでさえ負ける可能性があるぐらいには成長できる」


俺は知っていた。オルトとたたっていたアドレを見ていると、まだまだ未完成であることを。

 まだ、アドレが望んでいる極致には届いていないことを。


「だから大丈夫だ。きっとあいつならそのレベルにまで到達して、無事に作戦を終えることができる。あの技、クロノス・スウィフトを完成できれば...!」



どれだけ剣を振った?どれだけ回避した?どれだけダメージを負った...?

 戦っているうちに、僕の脳内は雑念であふれかえっていた。それも仕方ない。考えて気を紛らわしたいと思うほど、目の前の圧倒的な強さに打ちのめされてしまったのだ。

 いや、違うな。僕は自分が、この技の極致にまでたどり着けないことに、苛立ちを覚えているのだ。

 攻撃をかわされるたびに苛立ちを覚え、そして攻撃がぶれる。苛立ちが原因だと分かっているのに、イライラが止まらない。


「もう限界ね」


レイナにそう言われ僕は、やっと自分の体に限界が来ていることに気が付いた。

 ガクリ。

 力が抜けたせいか、僕は崩れ落ちた。

 いいのか?これで、いいのか?

 僕の中の僕が、まだ戦おうと催促する。しかし、僕の体はすでに限界。動くものも動かなかった。


「いや....。動かないんじゃないんだ。動かさなきゃいけないんだ...!!」


そうだ。このタイムリープで終わらせるって、僕は何度決意した?何度立ち直った?何度あきらめた?

 全部、同じことだ。いつものように諦めたら、また立ち直って決意を固めればいい。

 より強固な決意で。

 僕はスっ。と何事もなかったように起き上がり、ゆっくりと彼女のもとに歩み寄っていく。

 まるで日常の国民と同じよう、まるでそこに彼女がいないかのように、身震い一つせずに、軽いステップを確かに踏んでいく。

 そして彼女の目の前に来た瞬間、僕は一瞬にして彼女の背後に回った。


「なに、それっ...!?」


爆発的なスピードの上昇により、レイナはその変化にはついていけず、僕を見失った。

 あたりをきょろきょとしているレイナの背後から、僕は彼女の肩に手を置いて、スキルを発動した。


「さあ、第二ラウンドと行こうか」

「っ...!!」


僕の態度が気に入らなかった彼女は、怒りをあらわにし、ぶんっ...!と腕を振った。しかし腕を空を切ってしまう。

 次に僕が現れたのは彼女の目の前。またもや僕は彼女の肩に手を置き、諭すように挑発する。


「さっきまで調子に乗っていたくせに、僕が本気を出せばこんなもんか」

「あんたこそ、さっきまでひぃひぃ言ってたくせにっ......!!」


ついに頭に来た彼女は、数々の攻撃を繰り出してきた。火球。氷塊。雷鳴。そして透明化。彼女はありとあらゆるものを出してきたが、それすらもことごとくよけ、そして彼女の肩に触れては時スキルを使用した。

 それにしても、遅いなぁ....。

 彼女が攻撃に転じて発動するまでの間は、本来なら1秒にも満たないほど早い。しかし、僕の場合は違う。

 極限の集中と時スキル。そして流速の使用により、その間約1分ほどにまで遅れて見えていた。


「くそっ...!!これなら、どうよ........!!」


ついに息を荒げ疲れを見せた彼女は、掌を空へ上げ、何かを発動しようとした。

 しかし、それが発動することはなかった。彼女は驚き、そして焦りだした。


「なんで、どうしてっ!?」

「教えてあげるよ」


慌てふためく彼女に、僕はにやりと笑って答えを言った。


「君は僕のスキルを、無効化だと信じていた。それが敗因さ。僕のスキルは『時』スキル。触れた対象の状態を巻き戻すことなんて、難しいことじゃあない」

「まさか....あなた.......」

「そう」


僕は一瞬にして彼女の元へ接近していき、剣で彼女を攻撃した。

 僕のスピードに彼女はついていけず、まんまと攻撃を食らった彼女。僕が攻撃した方向には、壁に埋もれる彼女の姿があった。


「僕は君の状態を、僕たちと出会った瞬間にまで戻したのさ」

最後まで読んでくださりありがとうございます!執筆速度は遅いですが、これからもこのシリーズを続けていこうともいますのでブックマークをして待っていただけると嬉しいです。

 これからもこのシリーズをよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ