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僕と俺のレベルアップ  作者: THERDRIE
第四章
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第七十二話 来る運命の日

来る決戦日。今まで以上に緊張しながら、僕たちはある方向に歩を進める。

 しばらく歩いた末に、僕たちはある場所で足を止めた。そう、テラスティア宮殿の前である。

 こんこん。

 そうノックすると、がたりという音を立てて門が開いた。


「またあなた様ですか」


目の前にいたのは黒い少年(仮)と白い少年(仮)である。相も変わらず冷たい視線を送ってはいるが、言葉遣いは以前よりかはよくなっていた。

 しかし生意気である。


「まあいいです。すでに所長様とオルト様は控室で待っております。さっさとおいきになってください」


そう言われて、僕たちは控室に案内された。


部屋を開けるなり、オルトとリレイルがこちらをじろりと見つめる。

 オルトとリレイルは隣同士で座っており、ふとお似合いなんじゃないかと思った。

 そう思っている僕とは裏腹に、あまりの雰囲気の違いで、ユイガたちは驚いていた。しかし、僕は驚かない。

 なんていったって、二三回はこの雰囲気を味わったのだから。

 僕たちが開いている席に腰掛けると、向かいに座っていたオルトたちは大きな地図を机いっぱいに広げた。


「アドレ君、私たちはこの方角にいればいいんだね?」


そう言われ、僕はテラスティア宮殿から右側へ指をなぞり、やがてある細道に指を止めた。


「彼女のスキルは『奪』スキルですから。おそらく僕がうまくやれさえすれば、きっとオルトさんのほうへ来るはずです。そこを挟んで....」

「わかりました。それでいきましょう。それでは、また夜に会いましょう」


そうしてちょっとした作戦の確認は終了し、僕たちがいろいろな市場で買い物をしていると、気が付けばあたりはすっかり暗くなっていた。

 慌てて荷物を宿に預け、テラスティア宮殿に行くと、大勢の兵士たちがテラスティア宮殿前に集つまっていた。

 間に合ったーー...。

 そう安堵の息を漏らしながらも、僕たちは後ろのほうからオルトの演説を聞くことにした。


「我々の目標は殺人犯の拘束、もしくは無力化だ。相手はたった一人の少女。しかし、相手を見くびってはならない!今回、我々の勢力に加わってくれるものを発表しよう!エディタ・アドレ一行の冒険者だ!!」


うおぉぉぉ!!

 男女の声が混ざり合った声援により、僕たちは前に出るしかなくなり、しぶしぶ階段を上り、オルトの横に立った。


「彼は『時』スキルを使い、未来から来たそうだ。そして未来、この国では大量虐殺が行われていたそうだ。それを阻止するべく、彼は立ち上がった!この国を何も知らない旅人がここまでしてくれているのだ!我々も、それにこたえるべきではないのかぁ!!!!」


うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!

 先ほどよりもより大きな歓声が、あたり一帯を包み込んだ。


「さあお前たち、配置につけぇ!!」


そうオルトが声高く命令すると、兵士たちは僕が考案していた配置につくべく、その場を去った。

 あたり一帯は静かに静かになり、残されたのは僕たちと、オルトとリレイルだった。


「少し恥ずかしいですね...」


そういってオルトは鼻の付け根を人差し指でこすっている。

 普段の優しい雰囲気から放たれた、あの演説は、正直僕の胸にも響いていた。それ故に、オルトを尊敬した。


「それじゃあ各々配置につくぞ。特におぬし」


リレイルは僕のほうを指さし、厳格な目つきで僕を見た。


「絶対にへまはするんじゃないぞ。おぬしにすべてがかかっておるんじゃからな」

「はい。本気で頑張ります」


タイムリープするための体力はもうすでにない。できるとしても、もう手遅れになった時までしか戻れない。そんな気がした。

 だからこそ、これで終わらせる。

 確固たる意志で地面を強く踏みしめ、例の場所に向かうのだった。



「ようやくついた」


しばらく歩いて、ようやく僕は足を止めた。

 場所は例の細道。僕が、レイナと初めて戦闘を行った場所だった。

 やはり細道は相も変わらず真っ暗で、街灯一つが、ほのかに道を照らしていた。


「久しぶりね」


その時だった。僕の背後からある女性の声が聞こえた。

 なじみのある声に、僕はゆっくりと振りかえりながら答えた。


「お礼をしに来たのかな?だったらユイガたちに言ったほうがいいよ。僕は何もしてないからね」


そう言い終えると同時に、僕は完全に振り返った。そしてそれと同時に恐怖が僕を支配した。

 彼女は確かに彼女だった。しかし、まとう雰囲気はやはり以前とは全然違い、まるで無差別に人を殺す殺人鬼そのものだった。

 彼女はゆっくりとナイフを取り出し、そして、僕に向かって刃をちらつかせる。


「お礼じゃないのよ。それに用があるのはほかでもないあなた。私は、あなたのそのスキルをもらいに来たのよ」

「そうかい....なら....」


僕は静かに剣を取り出し、構えた。


「全力で抵抗するだけだっ!!」


こうして、運命を分けた決戦が始まるのだった。

最後まで読んでくださりありがとうございます!執筆速度は遅いですが、これからもこのシリーズを続けていこうともいますのでブックマークをして待っていただけると嬉しいです。

 これからもこのシリーズをよろしくお願いします!

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