第六十九話 最弱は僕だ
「おいアドレ、どこ行くんだよ」
僕が彼女を追いかけようとした時だった。ユイガが僕に声をかけ、僕を制止した。
それに気が付いたのか、イヴと要もこちらを向いて、心配そうに見つめている。
そうだ。
この時、僕にはある考えが思い浮かんだ。今さっき思いついた僕の戦略よりも、確実にレイナを倒せる方法を。
「ユイガたちに聞いてほしい。僕は、未来から戻ってきたんだ。みんなが死なないために」
「お?おう。っていうか、どうして俺たちが殺されるんだ?今のところだと、別に何も起きてはないが?」
ユイガがそういうと、イヴと要もそれに同調して首を縦に振った。
「わかった。これから全部話すよ。今から起こるすべてのことを」
そうして僕はすべてを話した。先ほど僕を横切った少女がすべての元凶だということ。彼女は殺した相手のスキルを奪うスキルを持っていること。彼女が数日もすれば要を殺すこと。そして一週間後にユイガとイヴが死ぬこと。
僕が何度もタイムリープをし、勝機をつかんだこと。
僕が持っているすべての情報を話した。
「なるほど。それで、俺たちに何をしてほしいんだ?」
「僕は今から彼女を助けに行く。そこで、ユイガたちには僕を守るような形で戦ってもらいたい」
「なんでだ?」
そう疑問の声を漏らし、首をかしげるユイガ。そんな彼と彼女らに、僕はその動機を教えた。
するとユイガはにやりと笑い、そういうことか。と納得した。
「それならきっとあの子にもばれないね。さすがアドレ君」
「へへ。さて、行くよ!」
そういって、僕たちは彼女の逃げた方向に向かった。
その先は狭くて小さな通路。いかにも人気のないところに身を潜めていたのは、レイナだった。
彼女は身を震わせ、恐怖で体を支配されており、目をうつろにしていた。
「どうしたんだ?」
そんな彼女に向かって言ったのは、ユイガだった。
彼が彼女のほうによると、彼女は助けてと小さく言葉をこぼした。
罠なのか?
その一連の行動を見ていた僕は、彼女が嘘をついているようには見えなかった。
それどころか、心の底から救済を望んでいるように見えた。
いったい何なんだよ...。
困惑しながら、僕たちもユイガと合流を果たす。
「あー。お前らかー。どうしたんだー(棒)」
なにがどうしたんだー(棒)だよ。露骨な棒読みだなおい!
そう心の中で突っ込みをしつつ、僕は彼女のほうに駆け寄る。
「それで、君はどうして助けを求めているのかな?」
「私、ある人たちに追われてて...」
「いたぞ...!!」
彼女が言い終える前に、三人の男が僕らの前に立ちはだかった。
男たちはしゃべる、剣。弓各々の武器を持って戦闘態勢に入っていた。
「おいガキども。そのクズを俺たちによこせ。もしくれるのなら、今なら見逃してやるぞ?」
一人の男が恐喝をするかのように、僕たちにそう提案をする。
しかし、乗る気はない。僕たちも戦闘態勢に入る。
ここで戦闘する理由はたった一つ。こいつらに渡したところで、彼女を倒すことは不可能だからだ。僕の考えたこのプランじゃないと、彼女を倒せないと確信していたからだった。
「そうか。なら、おまえらもここで死んでもらうしかねぇなぁ!?」
そう男が宣言すると、男たちは一斉に僕らに襲い掛かった。
「アドレ、お前は一人じゃ何もできないくらい弱い。だから、無効化する『無』スキルでアシスト入れつつその子を守ってくれ!」
「わかった」
ユイガが男三人がこちらに来ないようにフォーメーションを組み、僕ら二人と男たちとの距離を歯なら貸した。
それと同時に、ユイガたちの猛攻が始まる。
ユイガはワンパンで、要はスピードで圧倒、イヴは持ち前の杖に見せかけた鈍器でといったように各々で男たちを蹴散らした。
「くそっ!お前ら、ずらかるぞ!」
男が高らかに宣言すると、男たちはそそくさと逃げた。
計画通り。
男の去り際に、僕はそう心の中でにやりと笑ったのだった。
「みなさん、ありがとう」
「お礼はいいんだよ。僕は要。こっちにいるかわいい子がイヴちゃんって言って、あっちの脳筋そうな男の人がユイガ君。そしてあっちのさえない見た目してる子がアドレ君だよ」
そこまで彼女が抱く僕への評価を落としていいとは言っていないぞ。
まったく。どこまでが本心なのやら。
はぁ。とため息をついいていると、レイナは僕のほうをじっと見つめ、やがて目線をそらした。
彼女が僕に見せたその目つきは、まるで獲物を見つけたハンターのようだった。
「私、やりたいことみつけた!」
そういうと、彼女はそそくさと立ち去って行った。
やれいたいこと。それはきっと、力をつけることだろう。
それなら。と、僕はある場所へ目指すために歩を進めた。
「おい、次は一体どこへ行くだよ」
「どこって、もちろんテラスティア宮殿さ」
僕はそういって、再び歩を進めた。
最後まで読んでくださりありがとうございます!執筆速度は遅いですが、これからもこのシリーズを続けていこうともいますのでブックマークをして待っていただけると嬉しいです。
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