第六十八話 タイムリープ third time
目の前の老人を目の前にして、僕たちは戦闘態勢を何一つ取らなかった。
それどころか、僕たちはわざと老父に駆け寄った。
「どうしたんですか?」
「ああ。テラスティア宮殿の場所がわからなくてね」
それから先は、以前と同じことを言っていた。
ユイガは気が付いていないようで、親身になって話を聞いていた。
ちゃんとわかっているのだろうか。
そう思っていると、ユイガが道案内を終えた。
「ありがとうね。これはお礼と言っちゃなんだが....」
そういって、じわじわと僕らへ寄ってくる老父。
そのただならぬ違和感から、ユイガは静かに戦闘態勢をとった。すると老父はその足を止め、大きく笑った。
「ハハハ!察しがいいのね。これじゃあ不意打ちは効かないわね」
直後、老父の姿はたちまちレイナの姿に変わっていく。
さて、ここからだ。
前回はレイナに逃げられ、あった時には僕を超えていた。つまり、ここで逃がしたら僕のタイムリープはまたもや失敗ということになる。
それだけは避けたかった。
タイムリープにももちろん魔力を消費する。それに、タイムリープして過去に戻ったとしても、消費した魔力は当時の魔力には戻らない。
つまり、僕のタイムリープにも制限回数が設けられてるということだ。
「それで、俺たちをどうするんだ?」
「もちろん、殺すにきまってるわ。あなたたちは厄介そうだから不意打ちという形をとったのだけれど、見られた以上は殺す」
そういうと、彼女はこちらに手をかざした。
危機を感じた僕らは、各々スキルを使い防御態勢に入る。
直後、僕たちは吹き飛ばされた。体の芯をも揺らす衝撃が、僕らを失神直前にまで追い詰めた。
「あら。失神すると思っていたのだけれど。なかなかやるわね。それなら....」
僕らが態勢を立て直す隙を与えずに、今度は彼女の掌に火球が生成される。
火球は見る見るうちに大きくなっていき、気が付けば僕らの身長すらも超えていた。
その隙に僕はスキルを使い戦線に戻るとともに、火球に手をかざして火球を死滅させた。
「さあ、反撃の時間だ!!」
直後、僕の猛攻が始まった。
剣を使ったり、はたまた剣をおとりにした格闘術。それらすべてを使って、彼女へ大きなダメージを与えることに成功した。
彼女もかなりのダメージを負ったのか、ぜぇぜぇと息を荒げ、ついに片膝をついた。
僕が猛攻をしている間にユイガも回復したのか、前線に戻ってきていた。
「く、くそっ...!」
勝てない。そう判断したのか、彼女は僕らに背を向けて逃げようとした。
しかし、それもすべて想定通り。彼女の退路を塞いだのは、ユイガだった。
僕がユイガを起用した理由がこれである。
確かに要のほうがスピードが速く、退路を塞ぐだけならうってつけだ。しかし、要は一度彼女に殺されているのだ。
そんな彼女を起用するのは、あまりにもリスキーだった。
「待てよ。なに逃げようとしてんだよ」
ユイガはにやりと笑い、思い切ってその一突きを彼女に浴びせた。彼女は高く、そして遠くに吹き飛び、力なく彼女は倒れた。
おかしい。
彼女の姿を見て、僕は違和感を抱いた。
これほど僕にタイムリープをさせた狡猾な彼女が、いともたやすく負けるだろうか。と。
「これで終わったんだな」
そうユイガは言うと、倍スキルを解いた。そして静かに、彼女に歩み寄っていく。
「これですべてが終わったんだろ?」
ユイガがかがんだ時、僕は彼女の手がわずかに動いたことに気が付いた。
まずい...!
その瞬間に、僕は彼女の目的を理解した。
「ユイガ.....!!逃げろ!!」
直後、ユイガの腹部を、一つのナイフが一突き。
まるでやり返しと言わんばかりに、ユイガはうめき声をあげながら力なく倒れた。
その瞬間、僕は理解した。
ユイガは死んだのだと。
「やっぱり、馬鹿には演技が一番効くのよね」
起き上がると同時に、彼女はナイフについた血を振り払った。
してやられた。
率直な感想だった。僕は、未来の出来事がすべてだと勝手に思い込んでいたのだ。
つまり、僕の失態である。
それに気が付くと、僕の愚かさが憎くて、許せなかった。
「なあレイナ。一つ聞いてもいいかな?」
「質問?いいわよ。今は気分がいいから、何でも答えてあげるわ」
その彼女の言葉に甘えて、僕は一つの疑問を口にした。
「殺すターゲットってのは決めてるのかい?」
「ええ。私が殺すのは、自分よりも格下の人間だけ。それだけよ」
格下の人物。か。
その瞬間、僕はひらめいた。そして胸に手を当て、時スキルを発動する。
「そうか。おかげで次に活かせそうだよ」
「次って?」
「また過去で会おう。
直後、僕の体は過去に飛ばされた。
目を開ける。そこにいたのは、大勢の人々。当のユイガたちは、もはや障害物と化した人々をかき分けるように進んでいた。
戻ってこれた。
ほっと、僕は安どの声を漏らした。
成功である。僕が戻ってきたのは、ウェスリーア到着直後の瞬間。なぜここに戻ってきたかというと....。
直後、一人の少女が僕の横を通った。
彼女はボロボロの服を着て、いかにも貧乏そうな少女であった。
いた...!
そう思った時には、僕の体は動いていた。
彼女。レイナを追いかけるために。
最後まで読んでくださりありがとうございます!執筆速度は遅いですが、これからもこのシリーズを続けていこうともいますのでブックマークをして待っていただけると嬉しいです。
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