表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
65/96

第六十五話 デジャヴ

「そうだな...。彼女は明日になれば僕と同等。またはそれに近しい実力を手に入れているはずだ。僕ならまだしも、それ以外が怖い。だから、固まって動くことにしよう。ユイガたち、そしてリレイルさん。オルトさん。この三チームにそれぞれある程度の兵士を引き連れて捜索しましょう」


そう言ってみたはいいものの、彼女に対する疑問はいくつか残っていた。

 まず一つ。なぜこのようなことをしたのか。

 そしてもう二つは、なぜ彼女は次第に強くなれるのだろうか。

 何度も言うが、日を重ねるごとに彼女は強くなっている。それは紛れもない事実だ。現に、彼女と戦ってみたが、前よりも強くなっていた。

 これだけ見れば、普通に思えるかもしれない。

 しかし、あまりにも成長スピードが速すぎるのだ。

 絶対に何かある。

 作戦会議中も、そう疑ってままならなかった。


「それでは、この配置でどうでしょう」


オルトが机いっぱいに地図を広げる。

 そこに記されていたのは、人員配置。各方面にアドレ。所長。私。と赤や青で色分けしてマークされている。

 配置は全体的に円状になっており、テラスティア宮殿を取り囲むような感じだ。

 しかし、僕はこの配置に既視感があった。

 なんというか、過去にもやったような配置というのだろうか。

 思い出せないまま、僕はその作戦を承諾してしまった。

 きっと、これが原因だった。と僕は思う。


「作戦は本日決行。つまり、今からです。合流は日の出です。わかりましたか?」

「これで、この野郎を倒しに行けるぜ。さあ、未来の俺たちの敵討ちだ!」


高々と拳を上げ、ユイガはそう嬉しそうに叫んだ。


「けれど、あまり無理はしないほうがいいわね。もしアドレの言っていることが本当なら、ユイガ。あなただってただじゃすまないかもしれないのよ?」

「あ?お前それ、俺がアドレよりも劣ってるってことじゃねぇか!!」


てめぇ!と声を上げると、ユイガはイヴのことを追いかけ始めた。

 怒っているユイガとは裏腹に、イヴはあっかんベーをして挑発をし、円を描くように宮殿内を走り回った。

 子供じゃないんだから....。

 そう思うと、僕は深くため息をついた。


「アドレ君。ユイガ君たちのほうに強力な隊員を二人ほど編成しておきました。だから彼らのことを心配せず、思い切ってくださいね」


気が付いた時には、オルトは僕の横にいて、そして言った。

 強力な二人。か。

 その言葉に、僕は引っかかりを覚えた。

 きっとそれですらも意味がないのではないか。と、ふと考えてしまう。


「わかりました」


そんな僕の考えを勘づかれないように表情を真顔で硬め、そのまま僕は配置についた。

 一つ一つ。丁寧に民家などのオブジェクトを見張りながら、少しずつ捜索範囲を広げていく。そのスタイルを維持したままやっているはずなのに、僕らのほうでは何も手掛かりはなかった。

 疲れ果ててふと空を見ると、月が沈みかけていた。

 そう、日の出が近づいていたのである。

 急いで引き返つつ捜索もしたけれど、やはり手がかりはなし。テラスティア宮殿に着くころには、もうとっくに朝日が顔を出していた。

 慌てて顔を出してみてみると、オルト。リレイルのチームはすでに宮殿の前におり、静かに待機している。

 遅れた僕は、あまり顔を出したくはなかった。


「そっちはどうでしたか」


その言い方だと、二チームはどちらも収穫がなかったらしい。

 しかし、それはこちらも同じである。

 僕は首を横に振って、何もなかったことを伝えた。


「そうですか。ところで、ユイガ君たちを見かけましたか?てっきり一緒に合流していたのかと」


オルトにそう言われ周りを見渡すと、ユイガたちのチームはどこにもいなかった。

 太陽はとっくに出ているため、僕たちと一緒にいると考えても不自然じゃない。

 しかし実際は、ユイガたちのチームは僕たちと合流はしてはおらず、行方をくらませた。


「おぬしたち、少し見に行っていてくれぬか。わしはここで待機して待っておる」

「わかりました。それじゃあアドレ君。いこう」


そういってオルトは僕と数千ほどの大軍を連れて、足早に、ユイガのチームが向かっていた方向へ歩き出した。

 しかしいくら歩こうにも、どこにもいない。

 一歩。一歩。そう確実に進んでいるはずなのに、どこにもいないのだ。

 いやな予感がする。

 ずっと感じていたつっかかりのようなもの。それが、今でもずっと喉の奥にあるような感じがした。


何歩ほど歩いただろうか。

 少なからず、僕よりもユイガたちのほうが奥へと進んでいたのは確かである。

 ユイガたちが進んだであろう通路に、血痕が残っていた。

 血痕の色は赤黒いが、まだ時間は立っていなさそうだった。


「これは...!」


オルトが奥へ奥へと進んでいく。

 次第に血痕の量は多くなっていき、気が付けばそこは血の海と化していた。


「...!!」


その血が湧いている場所を見ると、僕は思わず腰を抜かした。

 そこにいたのは紛れもない、山積みにされた死体の山だった。

 多すぎて何人。だれが死んだのかさえわからないが、見覚えのある顔がその中に入っていることに気が付き、はっきりと理解した。

 ユイガたちは殺されたのだと。

最後まで読んでくださりありがとうございます!執筆速度は遅いですが、これからもこのシリーズを続けていこうともいますのでブックマークをして待っていただけると嬉しいです。

 これからもこのシリーズをよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ