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第六十一話 テラスティア宮殿

翌日、僕たちはテラスティア宮殿に来ていた。

 中は宮殿というだけあって整備されており、天井も高い。おまけに柱や床などが白で統一されているので、壁などに飾られている装飾品が余計際立っていた。

 しばらく歩いていると、装飾品を手入れしている一人の幼女がいた。どうやら背が低すぎて届かないらしい。うーん。うーん。とうねり声をあげながら、必死に額縁の上へはたきをかけようとしている。


「大丈夫かい?手伝うよ」


そういって、僕は少女の元へ駆け寄ると、彼女を乗せて肩車をした。

 少し時間をかけ、彼女が掃除を終えたのを確認し、僕は彼女をおろした。

 彼女は自身の白い髪の毛にほこりが付いていたので、慌てて手でぱっぱとほこりを払った。


「それじゃあ、僕らはこれで」

「おいおぬしら。少し待たぬか」


僕らがその場をあとにしようとした時、幼女らしからぬしゃべり方で僕らを呼び止めた。


「どうしたんだ?まさか、迷子にでもなっちまったのか?それなら.....」


ユイガがそう言いかけたとき、その幼女がユイガの体に触れた。するとユイガの体に電流が走り、ユイガは炭ような姿になり、その場に倒れた。


「わしは迷子ではないし、それに幼子ではない...!!この国務警備隊員所長のリレイルを知らないのか!?まったく、この私を知らないのか。無礼者が!」


鬼の形相で詰め寄るリレイルだが、僕たちにはちんぷんかんぷんである。

 実際幼女だろ。精神年齢もだけど。

 しばらく無言でいたせいか、リレイルは歯ぎしりをした。すると彼女の手にスパークがまとい始める。


「こうなったら、実力で知らしめてやるしかないようじゃな...」


そういって、彼女は僕らめがけて走り出した。


「やっべ...!逃げっぞ!」

「けど私たちだけで逃げていいの!?ユイガはどうするの!?」

「あいつはおいてくぞ!!どうせあいつはもうだめだ!!」


逃げている最中ではあるが、僕ら三人はユイガを見殺しにする判断をとって逃げ回った。

 その場を去る際、お、お前ら。覚えとけよ.....。という声が聞こえた気がするが、絶対きっと気のせいである。

 しばらくチェイスをしたのち、僕たちは一周してしまったらしい。気が付けばユイガのもとにまで帰ってきてしまっていた。おまけに、体力ももうろくにない。


「見つけたぞ...!」


息を切らしながら、彼女はそういうと、ゆっくりと僕らに近寄ってきた。

 こちらも後ずさるが、ここから逃げ切れる自信はなかった。


「所長」


その時だった。僕らの背後から、ある男の声が聞こえてきた。

 しかし、僕はこの声の主を知っていた。

 そう。オルトである。


「オルトじゃないか。ちょうどよい。このガキどもをシバくから、おぬしも手伝ってくれぬか」

「それは無理ですね。もしこの方々をそういう風に扱ってしまったら、今我々が問題視している事件へのヒントがなくなってしまいますよ」


そうオルトが言うと、リレイルは渋った顔をして考えたのちに、もうよい。と言って手にまとっていたスパークを消した。


「それで。ここに来たということは、何か手がかりを見つけたんだね」

「手がかりという手掛かりではないですが、一応伝えておこうと思って」

「そうか。ならここで話すのもなんだ。場所を変えようか」


そういうと、オルトは身をひるがえして歩き始めた。

 ついてこい。ということらしい。

 僕らはユイガを引きずったまま、オルトへついていくのだった。


「それじゃあ早速だが、君が持っている情報を教えてもらおうか」


僕。ユイガ。イヴ。要。リレイル。そしてオルト。全員がソファに腰掛ける中、僕らしかいないこの空間で、オルトは静かに口を開けた。


「手短に言いますと、一人の男性が死んでいたんです」

「状況は?」

「夜だったのでよくわからなかったですが、人通りが少ない時間帯でしたね。もしかしたら、その時間帯を狙っているのかも....」

「そうか。それじゃあ、これを見てくれ」


そういって、オルトはある書類を提示した。

 書類には多くの文字が書かれていたが、特に目立ったのは、ジーガルス死亡事件という乱後であった。


「見たのは君だけか?」

「私もみました」


イヴが静かに手を挙げた。


「ならそれ以外の人たちにわかりやすく説明しましょう。昨夜にBランク冒険者のジーガルスさんが殺されました。凶器はナイフ。それも何度も刺された形跡があったようです」

「ちなみに私はなかなかの治癒スキルを持っているのですが、それでも傷口がふさがりませんでした」


その言葉は、オルトよりも、ユイガが一番重く受け止めていた。なにせ、あの聖女のイヴが治せないのだ。きっと、だれも治すことはできない。 

 つまり、刺されたらゲームオーバーということである。


「あまり単独行動をするのは得策じゃありませんね。それなら、あなたたちに増援をつけることにします。各々100人。これでどうでしょう」

「それでも俺とアドレ。そして要はともかく、イヴが心配だな」

「それならイヴさんには私が付きましょう。所長はどうします?」

「私は、こいつにする」


そういって彼女が指さしたのは、僕だった。

最後まで読んでくださりありがとうございます!執筆速度は遅いですが、これからもこのシリーズを続けていこうともいますのでブックマークをして待っていただけると嬉しいです。

 これからもこのシリーズをよろしくお願いします!


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