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第六十話 殺害事件

「お、アドレじゃん。起きたんだな」


オルトと交代するように、ユイガたちがひょっこりと現れた。

 どうやらみんなは買い出しに行っていたらしい。大量の食材を複数個の袋に分けて運んでおり、全員の寮手がふさがっていた。


「こいつはひどいな...。誰がやったんだ?」


ユイガは死体の山を見て、慈悲深い目をしながら言った。その時、ユイガにもあの少女が脳裏にちらついた。まさか。と声を漏らすし、しばらくしてユイガは首を横に振った。


「な、なぁ....」

「ユイガの言いたいことはわかる。僕だって彼女を怪しんでるもん。だから、もう一度彼女に会って話してみることにするさ」

「でも、行く当てはあるのかい?彼女の所在は知らないだろ?」


要が僕たちの話に入ると、その疑問を口にした。

 要のいう通りだった。実際彼女の痕跡なんてつかんでもないし、一度会ったきりだからほとんど情報がないのだ。

 僕がしばらく考えていると、要がある提案をする。


「なら、全員で手分けして探すのはどうだい?簡単には見つからなさそうだけど、四人で探すほうがよっぽど効率もいいはずさ」

「そんならイヴはどうしようか。イヴはヒーラーだからさ。万が一遭遇したとしても、殺されるだけだろ」


いや、イヴはあの鈍器みたいな杖あるし。大丈夫じゃないかな?

 そう思っていると、イヴは恥ずかしそうに手をもじもじさせて、小恥ずかしそうに言った。


「じゃあ、アドレと一緒に行くわ」

「よし。それなら決まりだ。俺と要は単独で探して、アドレとイヴは二人で行動する。それじゃあ、さっそく探しに行くとしようか」


一度荷物などを宿の部屋に置き、僕らは三方向に分かれて探索を始めるのだった。






三方向に分かれようといわれたものの、この国もかなりの広範囲。普通に探しても見つけられる気がまったくなく、探そうと考えるだけもおっくうになりそうである。

 広い路地から狭い路地。そして古びた廃墟。順当に探していっても、彼女の姿はどこにも見当たらなかった。

 何度も探しているうちに、気が付けば日が暮れそうになっていた。

 疲労などは『時』スキルで自身の体の状態を過去に戻しているので問題はないのだが、イヴはそうではない。現に今、イヴはくたくたになっており、僕たちは狭い路地にあった古びたベンチに腰かけていた。


「結局、いなかったわね」


ふにゃふにゃ声で話すイヴ。いつもは強気なイヴだが、今回はそうもいかないようだ。


「そうだね。でもかなりの範囲を探し回ったはずだ。そろそろ見つけられてもいいと思うんだけど....。もしかしたら、ユイガたちのほうにいるのかな?」


僕はそう言って立ち上がり、ユイガの元へ向かおうとする。

 その時、誰かが僕の服の裾をつかんだ。ゆっくりとそこへ視線を落としてみれば、イヴが上目遣いをしながらこちらを見上げていた。


「アドレ...。おんぶ、してくれない?ほら私、疲れちゃったからさ」


嘘である。

 実はイヴ。疲れてはいるが全然歩ける。しかし日が暮れているため、僕はそれがわからなかった。


「わかったよ」


そういって僕はイヴをおんぶし、歩き出した。


「ねぇ、アドレ。もし私があなたのこと好きって言ったら、どうする...?」

「それはまぁ、何かのいたずらだと思うよ。あの聖女さんが、僕に惚れるわけないでしょ」


後ろからきっ...!と歯ぎしりをする音が聞こえたが、僕は気にも留めなかった。ただ、後ろから明確な怒りを感じ取った。

 まぁ...。と僕は後付けし、言葉をつけたした。


「もし本当に僕のことが好きなら.......」


その時、後ろから男の悲鳴が聞こえた。同時に、鋭利なもので何度も刺されたような音がしたかと思えば、ドサッ。と何かが倒れるような音がした。


「今のは....」


それが人が刺された音だと理解するまで時間がかかったが、理解するなり、僕は急いで走り出した。

 現場に着いたが、犯人の姿はなかった。その場に残されていたのは、血の池に浸る一人の男だった。

 駆け寄って容体を確認してみるが、明かりがないせいで細かくは見えない。しかし明らかなのは、腹部には何度の刺されたであろう刺し傷が付いており、男は白目をむいていたことだ。

 イヴは駆け寄り、スキルを使って蘇生を試みる。しかし、傷口はふさがらず、ただ一方的に血が流れていくだけであった。


「戻ろう」


静かに僕はそういうと、足早にその場を去った。

 そうして静かに宿に戻ると、すでにユイガと要がいた。どうやら二人とも手がかりはなかったらしい。神妙な顔つきで何かを考えていた。


「アドレ。そっちには何か収穫があったか」

「うん。男の人が一人血を流していたよ。見た感じ即死だと思う」


しかし、どうしたものだろうか。どんなに探したとしても、人手不足で見つけられる気がしない。ましてや三人など、無謀に等しかった。

 もしなにかあったら、俺のところに来なさい。

 オルトという男の言葉が、僕の脳裏にちらついた。

 明日、行ってみようか。

最後まで読んでくださりありがとうございます!執筆速度は遅いですが、これからもこのシリーズを続けていこうともいますのでブックマークをして待っていただけると嬉しいです。

 これからもこのシリーズをよろしくお願いします!

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