第五話 ランクC
ユイガとほぼ同等のステータス。それは、村にいたときからなんとなく分かっていた。だが、僕が見ていたのは、925とかいう異常な程の数値だった。。
勿論、あたりは騒然とし、さっきまで冷たい視線で見てきた男どもも、目をまん丸にしていた。
「すごい、こんな数値、こんなこと、長い間冒険者ギルドで働いていたけど、一度も見たことない。」
受付の女性も、あっけらかんとしていた。スキル3個持ち、さらに異常な程のステータス。僕は、それが僕のステータスではないことを理解していた。
『あいつ』のステータスか。ならば、納得ができる。
「と、とりあえずランクをつけましょうか。」
ランク付け。とはいえ、ランクを付けるのは難しいだろう。なんせ、ステータスが2個表示されたのだから。現に、彼女も頭を悩ませている。
まあ、結局そのせいで高いランクになるんだろう。そう思っていると、コンっと烙印が押された音がした。振り返る。彼女は落ち着きを装った声で僕にカードのようなものを渡した。
「2個もステータスがあったので、そこから差し引いた結果、あなたのランクを、Cとすることにしました。」
あたりがざわつき、歓声をあげる。それはそうだ。Cランクは、上位のランクと言っても差し支えないものだったからだ。
男どもは僕に近づき、肩を組ませろだのなんだの言いはじめ、しばらくの間、その場では賑わいを見せた。
まあ、一人残ってるんですけどね。しかも聖女っていうすごい人なんですけど。
「イヴ、君はいいのかい?」
群衆に混ざっているイヴに、そう問いかける。すると、彼女はチッと悪意の籠もった舌打ちを僕にし、ジト目で見てきた。
「いいの。私が触れると聖女ってバレちゃうでしょ?」
ああなるほどね。けどさ、流石にやりすぎじゃない?舌打ちするほどじゃないよね?
しかし、それは紛れもない事実だった。彼女が手に触れた瞬間の光景が、いとも容易く思い浮かべる事が出来る。だったら、やらないほうがいいのかもな。
そうして、賑わいは収まり、僕が空いている席に腰を下ろしていると、一人の女性が向かいの席に座った。
「あんた、すごいやつだったんだな。やっぱり、私の目に狂いはなかった。」
たしかにそうである。彼女が僕達に目を向けなければ、こうも高待遇を受けることはなかった。彼女には感謝しなければならない。
「いやいや、そんなことありませんよ。ですが、僕のような人に目を向けてくれて、ありがとうございます。」
彼女は照れくさそうに笑う。
「いいんだよ。で、そんな私からのお願いなんだが。聞いてくれるか?」
するよと彼女は、さっきの表情から一変、真剣な表情に様変わりした。よっぽど大事な用ってことか。
そして、彼女はその口を開いた。
「私を、仲間にしてくれないか?」
と。
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