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第五十二話 最強のスキル

「なんだ今のは?くそっ」


ヤッケになったグレイヴは、そのまま俺に向けて大剣をまっすぐに振り下ろす。確かな感触があったのにもかかわらず、俺は平然と立っている。


「なあ、世界はいくつ存在すると思う?」


俺の奇想天外な質問に、グレイヴは困惑しつつも、指で数えることなく一つ。とだけ答えた。


「いいことを教えてやる。世界というのは何億も存在している。そしてそれは、あらゆる可能性を網羅している。例えば、俺が今の攻撃を受け止めずに反撃をした世界。または、お前が攻撃をしてこなかった世界戦。とかな」

「いったい何を言い出すかと思えば、それがどうした」


その言葉に、俺はにやりと悪い笑みを浮かべた。


「世界戦。それを別の単語で言い表すなら、それを『時空』という。そして俺が持つスキルの『空』。僕の持つ『時』それが融合したもの。それが、『時空』スキルだ。つまり、俺は時空が関係さえしていれば何でもできる。このスキルは、現実の書き換えにほぼ等しい。敗色濃厚なこの戦い。それでも、俺に戦いを挑むか」


俺の説明に皆が唖然とし、そして先ほどのことを思い出した。それによって、俺の説明鵜が嘘ではないことを、瞬時に理解した。それはグレイヴも同じようで、膝が少し笑うようにがくがくと笑っていた。

 圧倒的強者を見たグレイヴは、ただ俺を見つめることしかできなくなっていた。


「それじゃあ。今度こそサヨナラだ」


その時大きな地響きが鳴った。地震は長い間続き、その間、国民の悲鳴が外から聞こえた。しかし次第に揺れは収まっていき、ついには揺れは完全に止まった。


「お前、何かしたか?」


そう質問するが、この出来事を予測できていなかったようで、グレイヴも王も呆然としていた。しかしルベルトだけは何かを察したように、がくがくと震えて膝をついていた。

 すぐさま彼の元へ行き、背中をさする。遠くから見ていたからわからなかったが、ルベルトは体をガタガタと震わせていることもわかった。

 そんな時、重い扉が一人の兵士によって力強く開かれた。


「大変ですアルベルト王!民が、復活していた民が暴れだしました!!」

「何!?今そぐ私も向かう。兵士たちよ、私に続け!」


どかどかと兵士と王が王室から抜けていく。ルベルトは待った!と後をついていくように王室から抜け、最後には俺一人になった。


「レベルが5までレベルアップしたのだが、なかなか強くなったな。これで......俺の目的は果たせそうだ」


そういって、俺は何もない空間に手をかざすと、『時空』スキルを発動した。すると何もなかったはずの空間に小さな穴が開く。その穴は見る見るうちに大きくなっていき、しばらくして人一人が入れるほどの大きさまで拡張された。しかし穴の先は空間がゆがんでいるようで、どこにつながっているのかよくわからない。

 するとそこから、一人の男が現れた。白い髪の毛に赤い瞳。そして聞いたことのある声。そう目の前の男は、紛れもない俺であった。


「こんなところになぜ俺を呼び出した」

「何、俺のことだ。なんとなくわかっているんじゃないのか」


そういうと、俺はあたりを見渡す。すると何かを察したようで、フッ。と鼻で笑い飛ばすと、真剣な目つきでそうか。といった。


「俺に一役買ってほしいんだな。まったく、俺らしいというかなんというか。だな」

「ああ。あとはお前に任せるさ。せいぜいしくるんじゃないぞ?それじゃあ、後は頼んだ」


手を頭に添え、俺は『時』スキルで記憶を巻き戻す。その間に、もう一人の俺は王室から去って、そして消えた。

 次の瞬間、俺は僕に戻って気を失った。








どのくらいが経っただろう。不鮮明だが、確かに僕は目を覚ました。仰向けに寝ているのだが、天井が半分しか見えない。あれ?と疑問に思いつつ、僕の視界はやがて鮮明になっていく。すると、見慣れた顔が僕の視界上にあることに気が付いた。

 イヴは僕が目を開けてことに気が付くと、顔を寄せてきた。


「気が付いたの?よかったぁ。もしかしたら死んじゃってるんじゃないかと思ってひやひやしたわよ」

「確かに、あんなダメージを追ってたもんね....」


そういっておなかあたりをさするが、傷一つついていない。それどころか、軽傷すら完治していた。


「ダメージ?そうそう。あなた何もダメージを食らってなくてね。驚いたわよ。まさか呪いでも掛けられたんじゃないかと思ったわよ」

「........そう」


確かにあった傷だが、完治していることに僕は違和感を覚えた。そして完治したのは、紛れもない俺の仕業だと理解した。しかし、普段覚えている俺の戦闘を覚えていない。まるで何事もなかったかのように、兵士も、王も。誰もおらず、僕だけが取り残されていた。

 夢だったのかと思ったが、僕の知らない壁にできた大穴や損傷があるところを見ると、戦闘があったことは容易に想像できた。

 ふと横を見ると、大きな血だまりができていた。


「あそこの血だまりは?」

「ああ、あれね。倒れている男がいたから倒しておいたわ」


きっとグレイヴの血だまりなんだろう。なぜかはわからないが、そんな気がした。


「それよりもアドレ!早く」


何かを思い出したように、イヴは僕の手を引っ張って走り出した。

 彼女はまるで強迫理念に駆られて用な形相で、体力のない体を華奢な脚で引っ張る。


「何だ!?」

「いいから!」


橋。商店街。そう言った建物を次々と抜けてく。そうしてたどり着いた先は、民家が立ち並ぶ住宅街であった。そこに、ユイガと要が倒れていた。それ以外にも、多くの兵士が倒れている。そしてその中央に、一人の男が立っていた。

 男からは紫色のオーラが漂っており、あからさまに正気ではないようであった。しかし、その男を僕は知っていた。


「と.......父さん!?」


そこにいたのは、紛れもない父であるエディタ・グイドであった。

最後まで読んでくださりありがとうございます!執筆速度は遅いですが、これからもこのシリーズを続けていこうともいますのでブックマークをして待っていただけると嬉しいです。

 これからもこのシリー、ズをよろしくお願いします!

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