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第四十七話 探索

 何もない平原。ここは、先日父と戦った場所だ。なぜここを選んだかというと、見晴らしがよかったからではない。確かにそれもあるだろうが、一番は人をいち早く見つけることができるからだ。

 はぁ。と一息つく。やりたくもないことをするのは、こんなにめんどくさくなるんだな。と改めて実感した。

 その時だった。一つの人影が現れた。それは次第に近づいていき、僕のほうへと駆け寄っていく。それにつれてだんだんと黒く見えていたものが次第に色を帯びていき、姿がはっきりとしていく。


「ほんと、手伝ってくれてありがとうなぁ。ほれ、黄金のリンゴや」


少年はそういうと、僕に黄金のリンゴを渡してきた。

 黄金と言われるだけあって、皮はまるで磨かれた金属のように輝いており、とてもじゃないが食べれるとは思えなかった。だがほんのりとただよう香りは、言葉では言い表せないほど良い匂いだった。


「いいの?いかにもお高そうなリンゴだけど」

「ええんよ。僕の探索に付き合ってくれる人なんていないからなぁ。そのお礼や。そういや自己紹介がまだだったなぁ。僕はルベルト。これからよろしく頼むわ」

「エディタ・アドレ。こちらこそ」


そういって僕達は手を握り合った。


「それで、これからどうするの?この異変を解決するといっても、手掛かり一つもつかんでないけれど」

「大丈夫、宛てはある」


そういうルベルトの顔には、含み笑いがにじみ出ていた。




たどり着いたのは商店街。多くの人々が行きかっており、数えきれないほど店が多かったが、どの店も繁盛しているようだ。ここに何の用があるのだろうか。と不審に思いつつ、先導するルベルトについていく。

 しばらく歩いていると、一つの店でルベルトは足を止めた。

 その店には一人しかおらず、かなり廃れている。店を支える柱のところどころが腐っており、とてもじゃないがふらりと立ち寄る気は起きそうになかった。しかしその割には、売っている野菜は僕が見た中で一番新鮮そうに見えた。


「やあおじちゃん。遊びにきたでー」

「おぉこれはルベルト王子。それと、こいつは?」

「こいつはエディタ・アドレや。噂のスーパールーキーや。おじさんも知ってるやろ?」


ルベルトがそういうと、おじさんは驚きながら僕を見つめた。顎に手を当て、信じられないといわんばかりに見つめてくる感じが、不慣れで小恥ずかしさを覚えさせた。


「こいつが....。俺はビレイス。ここで野菜を売っている。今ならサービスで、無償で野菜を上げるぞ。何かいるか?」

「いえいえ!初対面なのにとんでもない!」

「いいんだよ。ほら、選べ!」


荒々しい手で肩をつかまれ、僕は一抹の恐怖を覚えた。そしてその恐怖にかられ、僕は罪悪感にかられながらも、きれいなオレンジ色をしたニンジンを選んだ。


「ここらでずっと続いてる異変。何か、知ってることはないか?」


僕が選んでいる間、ルベルトはおじさんに話しかける。


「そうだなぁ」


深く考えた後、おじさんと呼ばれた男は何か気づいたような顔をして、ルベルトにこういった。


「最近妙な噂が流れてたな....。確か異変解決が長すぎるから、もしや人が作った異変なのかもな。って」

「なるほど」


何か重要な手がかりをつかんだのか、確証を得た。と言わんばかりににやりと笑うと、その場を去った。


「ていうかさ」

「ん?」


去り際、僕は思い出したかのようにルベルトに話しかける。本人はまったく心覚えがないようで、ポカンとしてこちらを見ていた。


「ルベルト王子って何?ルベルトは王子なの?」

「王子?あーあれはおじさんの呼称なだけで......はぁ」


冷汗をかきながら弁明するルベルト。見てる限りではあるが、冷静なルベルトを見ている僕からすれば、この光景は大変珍しかった。

 そして観念したのか、ルベルトは真実を話すことに決めた。


「僕は王子や。だからこそ、いち早く異変を解決して国民を不安から救ってやりたいんや。そこで、世界最強を圧倒した君にお願いしたってわけや」

「まって。なんでそのことを?」


そういう僕の内心は、少しドキドキしていた。しかしそれは見られていた。という事実にではなく、彼が期待しているのは僕ではなく『俺』だということにであった。


「ほら、見てたんよ。気づいてなかったんか」

「あー。気づいていたけれども...」


それは僕じゃなくて俺に言ってよ!!と、内心思いつつもウソがばれないようにと目線をそらす。そして、話題をそらすことにした。


「それで、次は?」

「もう大丈夫。あとは僕のターンや。君は先に仲間のもとへ行ってええよ。ほなまた」


まくしたてるようにそういうと、ルベルトはこちらを振り向かずその場を去った。

 取り残された僕は、みぎてに金のリンゴ。そして左手にニンジンを確かにつかみ、仲間のもとへと向かうのだった。






「お、帰ってきた!!」


宿屋の入り口に入ろうとした時だった。馬小屋のほうからユイガの声が聞こえた。

 馬小屋のほうを覗いてみると、ユイガたちが何か作ろうとしていたのが見えた。そしてユイガが混ぜている鍋の中から漂うおいしそうなにおいが、僕の鼻腔をくすぐった。罠に引っかかった動物のように、ゆっくりと歩を進めて、鍋のほうへ向かっていく。


「これは?」

「ああ。これはカレーって言ってな。グイドさんに教えてもらったんだ」

「カレーは食材次第でかなり味が変わるからな。今回は、イヴと要の好みに寄った甘めのカレーを作っている。しかし...」


ユイガと父の顔が暗くなる。それはまるで何かが足りないような、そう思うような、不服の顔をしていた。


「まさか金のリンゴとニンジンがないなんてな...」


ユイガがため息をつく。


「遅いわね!さっさと完成させなさいよ!!」

「イヴちゃん。僕たちは作ってる側じゃないんだから...」


それを見かねたイヴがすかさずいうと、要がそれを抑えた。

 ユイガの主張を聞いた僕は、思わず両手に握られていたものを見つめる。両手にあったのは金のリンゴとニンジン。ユイガが言っていた代物と完全一致していた。

 それに気が付いた僕は、ユイガにそれらを差し出した。


「これって、金のリンゴとニンジン!?お前、どこで見つけてきた?」

「それはr...」


ルベルト。その名を出そうとしたが、わざわざ僕だけに異変解決を依頼した人物である。何かとユイガたちに悟られたくない理由があるのだろう。そう思った僕は、そこで言葉を止め、訂正することにした。


「それはたまたま金のリンゴが最後の一個だったから、ほら。金のリンゴはめったに見たことなかったからさ、食べてみたかったんだよ。それでニンジンはサービスだってさ」

「お前、最高かよ!!」


ユイガは僕の肩に腕を乗せると、金のリンゴとニンジンを使って料理をし始めた。

 僕たちは、それをゆっくりと見つめていた。

最後まで読んでくださりありがとうございます!執筆速度は遅いですが、これからもこのシリーズを続けていこうともいますので、ブックマークをして待っていただけると嬉しいです。

 これからもこのシリーズをよろしくお願いします!

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