第二話 『ソラ』
そうして、僕らは無事にその国にたどり着いた。
あたりには大勢の子供が戯れており、それを見守る親たちが僕たちに気づき驚いた表情をしながらも、ゆっくりと手を振っている。
本当に、聖女ってすごいんだな。
「ここが『ソラ』ねぇ、前にも一度来たことがあるけど、この数年間でこうも変わっているなんて。さすがは最先端の国ね。」
最先端ねぇ。僕の前にある建物たちは、それを称しても恥づることがないほどに、他の国とはレベルが違うと言わせてしまうほどに巨大な建物が建てられていた。
「な、なあ。ちょっと服を買いに行かないか?さっきから視線が痛い...。」
そういっている間にも、どんどんと視線が僕たちを痛めつけてくる。
なのにも関わらず、だ。このイヴとかいう聖女とユイガは呑気にしている。全く、ふたりともお気楽すぎるだろ。
「お、おい!!いいから早く!!」
二人の手を無理やり引っ張り、近くにある洋服店に駆け込んだ。
にしても、ふたりともすごいびっくりしていたな。ま、いっか。
そうして、洋服屋に駆け込んだ僕らは、服を選ぶことにした。
「俺はこれだな。いかにも強そうなやつが使ってそうって感じで。」
絶対に稼げないような金額を払わねば手に入らない防具を指さしながら、ユイガはそう呑気にいっている。が、それとは対称的に、僕はその中でも一番安い僕を見ていた。
イヴは、いろんな防具を見ている。
「どうしたんだ?そんな安っぽい僕具を選ぶなんて。お前らしくないぞ。」
すると、ユイガが僕に駆け寄り、心配そうな声色でいう。
まあそれはそうか。いつもの僕なら強い防具を選ぶもんね。
「レベル4のあの男にあったことを覚えてる?」
ユイガは一瞬も考えずに、知っているよ。といった。
まあ、気絶したあとのことは知らないだろうけど。今からそれを、言うつもりである。
「僕はその時、何もできなかったんだ。そう、何もね。だけど、『時』スキルを使うことによって、僕の中に変化が起こり、そいつを倒すことができた。」
そういっている間に、僕はものを強く握りしめるかのように、拳に力を入れていた。
「その時、僕は誓ったんだ。装備に頼らず、己の力一つで強くなるって。」
それを聞くなり、ユイガはホぇ〜と言いながら、拍手をし始めた。
そんなにすごいことをいっただろうか。
そうして、僕たちは全財産である1000マニーから、600マニーほど消えていった。
「さて、無事イヴには変装してもらったわけだし、観光と行きますか。」
僕はそう意気揚々として歩き始めようとしたのだが、イヴは動きづらそうにしていた。まあ、仕方がない。それしか変装できそうなものがなかったのだ。
そうしてそのまま、僕たちは歩き出す。
そうして、ようやく観光ができると思ったのだが...。
なんで僕は男たちに絡まれているんだ?
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