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僕と俺のレベルアップ  作者: THERDRIE
第一章
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第十七話 次の国へのチケット

 そうして、僕達はその高くそびえ立つ城の中に入っていた。

 中はかなり広く、この1日じゃとても探索しきれないと言わんばかりの広さだった。

 しかし、問題はそこではなかった。そう、僕達は今。国王の目の前にいた。ハイム国王に斜陽が降り注ぎ、その高貴ぶりをさらに強調させた。


「ふむ。君が、エディタ・アドレか。」


ゆっくりと首を縦にふる。威圧感だけでも押し潰れそうになる。だが、なんとかその場に立つ。イヴは、フードを被りながら国王を見ていた。

 本人曰く、変装らしい。とは言っても、バレてるとは思うけど。っていうかユイガ君眠そうだね。

 ウトウトしているユイガを横目にし、僕は国王をじっと見つめていた。

 国王は頬杖をつき、その大柄な体を移動させた。そして僕にこんな事を言う。


「お前は、転生者というものなのか?」

「いえ、違います。僕は転生なんてしていませんし、前世を知っているわけでもありません。」

「違う、君じゃない。君の中にいる、もうひとりの君に聞いているんだ。」


もうひとりの君。つまりは、俺にきいているってことか。なら、俺に変わったほうがよさそうだ。

 そうして頭に手を添え、『時』スキルを使う。

 直後、俺はそいつに向かって告げることにした。


「俺は言うなれば転生者だ。で、言いたいことはそれだけか?」

「随分とおこがましい態度だな。まあいい。君は、その強大な力で何をする気だ?」


ほう。記憶しかない俺の真骨頂を知っているのか。流石は『観』スキル。そこまで観る事が出来るとは。なら、話は早いのかもしれない。


「俺は、あくまで記憶が繋がっているだけだ。だから俺はアシストしかできないし、決定権はコイツにある。暴れる事も出来ない。そして、目的を達成するには暴れてはならないからな。」


そうだ。俺の目的達成のために必要なもの。そのうちのひとつが、何かを引き起こしてならないこと。だからこそ暴れることもできないし、暴れる気もサラサラないということだ。

 そいつは頬杖をつくのをやめ、静かに言葉を吐く。


「なるほどな。君の気持ちはよくわかった。あとは、もうひとりの君に聞くことにするよ。」


ああ。とだけ言い、俺は時スキルを解除する。

 瞬間、さっき起こった出来事が僕の脳内に流れこんでくるが、それに集中せずに国王の方を向く。

 すると、国王はこんな事を聞いてきた。


「なあ、君はどうして旅をしようと思ったんだい?」

「自分の力で仲間を守るため。最強になるため。」


考える余地なんて、一つもなかった。

 そう。あの時僕は誓ったんだ。ユイガが死なないように。もう、自分のせいで死なせないように。だからこそ、この決意は曲げることもないし、変えることもない。

 すると、国王はフッ。と鼻で笑って、席を立ち上がり、僕に何かを渡す。


「そうか。ならこれを君にあげよう。次の国で使うといい。」


手にしていたのは、何かのチケットだった。

 何なのかを理解できなかった僕は、問うことにした。


「これは?」

「特別待遇権だ。これを持っていれば、他の国の王に特別な待遇を受けてもらえる。」


 僕は、そのチケットを力強く受け取った。次の国に行くという意思を込めて。

 そうして、僕達はその場を去った。

 もし、この物語が面白い。と思いましたら、どんなご感想でも結構ですので、評価やブックマークをしてくれるととても励みになります。何卒よろしくお願いします。

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