第十二話 ユイガ、参戦
おかしい。しばらく戦っていて、思ったことがそれだった。
あれから三十分ほど戦っている。僕達は疲弊し、少しづつだが、勢いが落ちていた。しかし、相手はどうだろう。少しづつどころじゃない。疲弊もしてない。勢いは増していた。
モンスターは確実に減っている。なのになぜ、、そこまで言おうとしたところで、僕は気付いた。
もしかして、敵をサポートしている奴がいるのか?だったら、誰が?
そうか。あいつか。1人だけ何か別の雰囲気をまとっている奴がいた。おそらくは、あいつの仕業なんだろう。だが、誰もその存在に気づいていたい。なら、せめて僕の近くにいる人たちだけでも。
「皆!奴らのちょうど中央に、こいつらをサポートしている奴がいる!僕が奴を叩くから、皆は道を作ってくれ!」
「分かったよ。じゃあ、ここは私達に任せな!」
皆が呼応する代わりに、エナが僕の言葉に応えてくれた。
直後、僕は奴の下へと突っ切って行く。
次々と襲ってくるモンスター。しかし、皆がそれを阻止してくれている。だが、奴に近づけば近づくほど、敵は強くなっていく。それと同時に、阻止してくれている仲間達の数も少なくなっていく。
奴との距離がおよそ十メートルまで迫った時だった。阻止してくれる味方がいなくなってしまった。瞬く間に僕は囲まれ、奴に手が出せない状況になってしまった。
「オラァ、どけどけぇ!」
子供の頃からよく聞いていた声が響き渡る。
遅いよ。全く。だけど、ピンチのときにやってくるのは相変わらず変わらないみたいだ。
そいつは、敵をなぎ倒していく。まるで、石を蹴り飛ばしていくかのように。
「よぉ、相棒。久しぶりだな!」
「久しぶりとかじゃなくてだな。まあいいや。ユイガ。随分と強くなったじゃないか。」
「ああ。かなりキツイ修行をしたからな。お陰でレベル4まで上がったぜ。」
「そう。じゃあ、頼りにしてるよ!」
そう言って、二人同時に突っ切って行く。ユイガは一直線に走って、僕はそのアシスト。しかもユイガはレベル4ときた。勿論どんどん奴との距離は縮まっていき、やがてあと一歩踏み出せば衝突してしまうと言わんばかりの距離まで縮めることに成功した。これなら、邪魔は入らない。
そして、ユイガが放ったその拳はそいつに直撃し、奴はダンジョンのボスと同様に消えていった。
辺りを見渡す。気がつけば、さっきまで立っていたモンスター達は限界だったらしく、その場で倒れていた。
サポート強すぎだろ。
「ぐぅぅぅう!」
そう思っていると、僕のお腹が肉が欲しいという信号を送ってきた。
確かにここ最近食べてなかったな。じゃあ、食べるか。そう思いながら、ユイガを連れ、みんなの下へと向かうのだった。
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