第十一話 緊急クエスト
さらに月日が経った。国が平和な中、僕たちは金銭的な問題で悩まされていた。それもそうである。あのばか聖女がいろいろな杖を買ってくるからである。しかもどれも性能は一緒ときた。そういって、一つの杖を取る。
「これなんてほぼ鈍器じゃん。」
その杖はとてつもなく重く、僕が持つだけで精一杯である。もしかしたらこの杖はスキル発動用ではなく近接戦闘向きの杖なのかもしれない。とはいえ、十本ぐらいある杖。どう処理しようか。
イヴは買い物に出ている。杖を処理するなら今しかない。そう思った僕は、急いで片付けようとしたときだった。
「ちょっと!私の杖たちに何しようとしてるのよ!」
うん、帰ってきちゃった。彼女は自身の杖を片付けかけられたのがそんなにムカついたのか、ずいぶんとご立腹の様子である。彼女はこちらに歩み、さっき僕が鈍器といっていた杖を僕に振り下ろそうとする。
あ、やっぱり近接戦闘用だったわけね。っていうかそれを振り回すことができるって、もしかしてスゲェ馬鹿力なんじゃ、、、、。
その時僕は、初めて死を悟った。もうだめだ。おしまいだ。そう思っていたときだった。
「ヴヴヴヴヴヴッッ!!」
けたたましいサイレンが国全体に響き渡り、僕に恐怖を抱かせる。ドアをバンと強く開ける音が聞こえ、後ろを見ると、エナが心配そうな目でこちらを見ていた。
「大丈夫か!!」
「大丈夫だ。それにしても、これは?」
「どうやら、大量のモンスターが攻めて来たらしい。」
モンスター。今まで僕達が会ってきたモンスターなら、多少は対処できるだろう。しかし、それが大勢となれば?答えは簡単。対処なんてできるはずがないのだ。
『ここの国にいる全ての冒険者、又は戦力になれる方に言います!直ちに正門まで集まってください!!』
そうして、僕達は正門へと向かうのだった。
強いモンスターじゃなければ、いいんだけどなぁ。
でまあ、来たわけだが。目の前にいたのは、大体三百匹程のモンスターたちだった。
各モンスターごとに種族が異なっており、明らかにこちらが不利な状況だった。しかしこちらも総勢五十人程度。一人六体ほど倒していけば行ける。
直後、モンスターが叫びながらもこちらに向かってくる。それに応えるように走っていく。
さて、僕達も行きますか。
「行けるよな?」
「当たり前だ。一応私は、Bランク冒険者だぞ?」
余裕そうに、口元に笑みを浮かべるエナ。流石は、僕が影で姉御というだけある。
「私だって、『蘇』スキルがあるんだから余裕よ!」
さっきの鈍器は使わないんだ。
そして、僕達もその戦場に向かう。
向かった先は、一番弱そうなモンスター。こいつの強さで、きっとこの全体のレベルを把握することができる。
僕は、そいつの首に思いっきり力を込めた剣で斬る。すると、そいつはスパッと真っ二つになった。多少心は痛んだが、これで全体のレベルは大方予想できる。
せっかくレベルが上がったんだ。試させてもらうとしよう。
僕達は皆の最前線に立ち、モンスターに軍団の勢力を削っていくのだった。
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