第九話 異常なステータス
そう、俺が時スキルを使った所は、俺のステータスである。記憶が戻せたときからずっと思っていた。記憶が戻せるなら、魔法や俺のステータスの一部も戻せるのではと。実際、それは可能だったわけだが。
奴は俺を睨み、吠える。しかし、その程度では俺は怖気づかない。にしても、流石は俺。と言っておこうか。土壇場で進化する所は俺と一緒か。まあただ、もしもあそこで回避できていれば勝てたんだがな。
「どうした?かかってこいよ。」
今回は、10秒じゃない。レベルが上がったことにより、戻せる時間も一分にまで増えたのだ。
そう思っていると、奴は俺の眼前にまで来ていた。が、俺は一瞬にして回避してまたもや強烈な一撃を放つ。
呻くボス。しかしボスも負けじと踏ん張り、俺に攻撃を仕掛けてくる。それを俺は片手で受け止め、奴を投げた。
俺、ユイガはそこで信じられない光景を見ていた。こんなに驚いたのはいつ頃だろう。きっと、あのとき以来である。そう、俺は親友がさっきまで苦戦していた敵を圧倒していたのだ。
何故だ。そう思ったが、不意に冒険者ギルドでの出来事を思い出す。あの異常なステータスは、嘘じゃなかったってことか。
思わずフッ。と笑ってしまう。
「頑張れよ。」
そう言って俺はそこに座り、その光景を眺めることにした。
スキルを使ってスピードを上げ、スキルを解除して今度は攻撃力に使う。若干のタイムラグはあるが、こんなやつ程度に遅れは取らない。俺の世界では、こんなやつは一番最底辺のCクラス程度の強さだ。そんな奴に、あの世界で最強になった俺が負けるはずもなく、奴はボロボロの姿でなんとか立っていた。
が、うまく再生できずに傷口が直せていなかった。さあ、トドメと行こうか。そう思った俺は、そいつに渾身の一撃を浴びせる。直後、とんでもない音が響き渡り、俺の拳は奴の体を貫いていた。しばらくして、奴は光をまとった粒子のようなものをあたりに撒き散らし、消えていった。
「やったか。、、、、グッ!?」
ふう。と息をつこうとしたその時だった。ズキリと書きなりに打たれた時と同じくらいの頭痛が俺を襲った。そうか。タイムリミットか。にしても、このままじゃあずっと俺は目的を果たせないままだ。もっと、レベルを上げなければ。
そう思うが、その願いは叶わずに俺の意識はまたもや落ちていくのだった。
そうして、僕は目を覚ました。直後に、僕が時スキルを使った時に起きた出来事が脳に入ってくる。
それが流れ終えた時、僕は拳を強く固めていた。理由は至極単純だ。そう、自身の弱さに対する怒りだった。結局僕は、あいつに頼らないとやっていけないのか。いや違う。僕はもっともっと強くなる。
もっとレベルを上げてみせる。そう、強く思いながら。
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