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僕と俺のレベルアップ  作者: THERDRIE
プロローグ
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プロローグ 僕/俺の始まり

 なにもない地平線だけが続く草原で、僕ことエディタ・アドレは大の字になりながら、青いブルーペンキを直で塗ったような色をした空を眺めていた。

 父が死んではや二十年。とはいえ、僕は父を見たことがない。まあ、僕が生まれる前に死んだのだから、それは当然だろう。

 にしても、お腹減ったな。あとでお肉でも食べるか。


「こんなところにいたのか。探したんだぜ?」


僕が過去の出来事とあとで何を食べるか考えていると、僕の親友であるユイガが僕のとなりに座り、同様に大の字に広がる。

 ユイガとは昔からの付き合いだ。それ故、僕とユイガは出身である村の人達から一番仲が良いとまで言われている。


「おそらくその様子だと、急用のようだね。どんな内容か聞かせてくれる?」

「ああ。どうやら俺達、旅に出ても良くなったらしいぜ。これでようやくこれで旅ができるな。」


そう嬉々として喋るユイガに僕は微笑し、「やったね。」といった。

 旅。僕のような「レベル1」では到底旅をするのを許されないと思っていたのだが。もしや、この「時」スキルにはまだ伸びしろがあると思っているのか。


「それじゃあ、近いうちに旅に出ようか。あと、あとでお肉も食べよう。」


そうして、僕たちは旅をすることを決意した。





 そしてあれから1週間後、僕たちは荷物の整理を終わらせ村の入口となる場所でお別れをしていた。

 そんな中、そのうちの村長がその弱々しい足を動かしながらもこちらに歩み寄り、ねぎらいの言葉を掛けてくれた。


「気をつけるんじゃぞ。くれぐれも、お前さんの父さんを同じ場所にいかないように。」


わかった。そう口では言ったが、僕はその言葉に怒りを覚えていた。

 二十年前、僕が生まれる前に亡くなった最強の男エディタ・グイドの話をするんじゃない。

 そう思いながらも、僕たちは村を離れた。







 そしてその初日、ユイガは食料探し。とだけいって僕を森においていった。

 その森はいかにも魔物が出そうな雰囲気を漂わせており、ビビリな僕からすればその森は恐怖の象徴のようなものだった。

 

「まだかなぁ。」


そう、誰一人としていない静かな森の中で弱音を吐いた。

 にしても、遅いな。ユイガのやつ。もしかして、何かあったのか?

心配になったので僕は立ちあがり、木漏れ日が差し込む森の中を探索する。そうして、十分程が経過した。そこにはユイガがいた。が、ユイガは血だらけで倒れながら力尽きるように座っていた。


「ユイガ!!大丈夫か。」


そういって、駆け込もうとするが瞬間、僕の視界に映るもう一つの光景を見逃さなかった。

 そう、ガタイの良い。いかにも荒くれ者。と言わんばかりの男が少女をいたぶっているのだ。

 少女は抵抗し、その白いドレスと白髪をなびかせていた。


「お前ぇ、よくもユイガを。覚悟しなよ。」


そうして、僕の相剣を振り下ろしたのだが、男はそれを難なく回避しおまけと言わんばかりに剣を真っ二つに割った。

 驚くのもつかの間、瞬時に何かが僕の腹に直撃し、僕に血反吐を吐かせた。


「おいおい、こんな程度で倒れのかよ。まあ、俺がレベル4。だからか。」


僕は、倒れながらもそいつを睨みつけていた。

 だが、どうする?何をどうしたらいいんだ?「レベル1」。自身の一箇所にのみ発動できる程度の実力を持った人物のことだ。そんな僕は、一体何処にスキルを使えばいいんだ?

 『記憶だ。脳みそに使え。』

 瞬間、僕にそっくりな声が聞こえる。疑う。だがそんな暇はない。一刻も早く、ユイガを助けなければ。

 そうして僕は脳みそに手を添え、スキルを発動する。






 やつの拳が目の前に来るが、俺はその拳を正面から片手で受け止めた。

 驚愕する男。それはそうだ。なぜなら、俺の雰囲気が変わったからだ。その、圧倒的強者の雰囲気に。

 だが、そんなことよりも俺はなぜこの世界に来れたのかが気になっていた。だが、過去に自分が行った行為を振り返り、その理由に気づく。

 ああ、あの時お願いしたからか。だったら、


「神様には、感謝しねぇとな。」


そういって、俺は静かにやつを睨む。かかってこい。という意図を交えて。


「おまえ、なにもんだ?さっきのやつとは雰囲気が違う。どんな手品を使ったんだ?」

「それを、お前に言う必要はない。まあ、答えるとするならば。」


そう、一泊をおいて俺は静かに告げる。その、言葉を。


「風魔法しか使えない落ちこぼれと言われた、現代最強の魔法使いだ。」


その言葉を聞くなり、男は腹を抱えて、あり得ないと言わんばかりの勢いで、笑う。

 まあ、そうだろうな。今の俺は「レベル1」だからな。舐められても仕方がない。まあそれよりも、だ。


「10秒だ。10秒の間でお前を潰す。いいな?」


すると、男は少し癇に障ったのか眉間にシワを寄せていらだちを込めた声で叫ぶ。

 

「俺を舐めるんじゃあ、ねぇぞ?」


俺という人間は、いわゆる異世界人というものなのだろう。だからこそ、俺が体験した世界とはかけ離れている。それがこの世界だ。そして、俺の魔法と身体能力は今はないがなくてもこの程度、どうってことはない。

 俺は、その拳を男に思い切り入れ、やつをノックダウンさせていた。


「いっただろ?十秒で終わらせるって。」


瞬間、俺の体に異変が起こる。いや体ではない。じゃあ、脳か?

 そう気づいたときにはもう遅く、俺という人間は意識を失うのだった。


『俺は絶対に、○○○と○○○○○○○○○○○○!!』


そう叫びながら。

 もし、この物語が面白い。と思いましたら、どんなご感想でも結構ですので、評価やブックマークをしてくれるととても励みになります。何卒よろしくお願いします。

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