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第四話「前を向いて生きるべし」


「他に何か質問があるか?」


うーん、何が分からないのかが分からなくなってきたぞ。

ひとまず聞かないといけないのは、、、


「本当に私を殺さない?」

「今は殺さない」


殺さないは殺さないでも、『今は殺さない』だとまずくないか?


「今は?」

「記憶を取り戻したら殺す」


もしかしてまだ命の危機ってこと!?

まだ安心できないじゃん!

全然ピンチ!


、、、けれど死神は『記憶を取り戻したら殺す』と言っている。

なら、記憶を取り戻さなければ私は殺されないのか?


「もし記憶を取り戻さなかったら?」

「その場合はお前を殺せず、俺はお前が死ぬまで付きまとうことになる」

「へ?どういうこと?」


『付きまとう』とは?何?ストーカーされることになるの?


「死神には他にもルールがあってな。死神が現れた者、つまりは俺で言うとお前に当たるわけだが、そいつが死ぬまで俺は他のやつを殺しに行くことができない。だから俺が別のやつを殺すにはお前が死ぬまで待たないといけなくなる」


なるほど、死神は結構ルールに縛られてるんだな。

それで、それと付きまといは何が関係あるんだ。


「それで?」

「、、、まだわからないか?今度は察しが悪いな」


すいぶんノンデリな発言をするな。

やっぱり人間じゃないからそういう気遣いとかできないか。

でもこの死神、人間じゃないにしては妙に人間臭いところがあるんだよな。

ジブ〇やジャ〇プを知ってたりするし。


それにしても、そのルールとストーカー行為は何が関係あるんだ?


うーん、、、

、、、あ、こういうことか?


今、死神は記憶喪失の私を殺すことができない。

そして、私を殺すことができないということは別の人を殺すこともできない。


つまり、この死神は『死神』としての役割を全うすることができない。

この状態の死神に出来ることは限られている。

出来ることと言えば、、、


例えばそう、私がいつ記憶を取り戻すかを監視することだ。

死神曰く、私の命は記憶が戻るまでらしい。

そのため今記憶が戻れば今殺されるし、100年後に記憶が戻れば100年後に殺される。


だからこそ、なるべく早く死神が役割を全う出来るようになるには

私の記憶が早く戻ることを願いつつ、私が記憶を取り戻すまで監視しなければならない。


おそらく『付きまとう』の意味はこんな感じだろう。


だがこの考えには不適切な部分がある。それは、、、



私が死ぬまでずっとこいつにストーカーされることになる、という点である。



まさかそんなことないよね?


「ねぇ?」

「なんだ?」

「もし記憶が一生戻らなかったら、寿命で死ぬまで私は付きまとわれることになるの?」

「それまでに死ななかったらそうなるな」


そんなことあった。私の考えは悪いところまで満点正解だったようだ。


おそらく、これから私と長い付き合いになりそうだから

こんな死神のルールやら私の質問やらに答えるようになったんだろうな。


ていうか、これ、まずくない?

めちゃくちゃまずくない?


だってこれ私を殺すために死ぬまで付きまとってくるストーカーができたってことでしょ?


もしかして私の人生詰み、ってこと!?


え、そんなことある!?死神に狙われて人生詰みとか聞いたことないんですけど!?


ここから入れる保険ってありませんか~!?


「その~、もう少し何とかなりませんかね?私が寿命で死ぬまでほっといてくれたりできませんかね?」

「無理だな」

「そこを何とか!そこを何とかお願いしますよ!何でもしますんで!」

「なら今ここで死ね」

「それ意味ないじゃないですか!」

「ならどうしようもないな」


あーあ、人生終わった。

これからどうしよ。


「そもそもだが、俺もお前に付きまとうなんてしたくない」

「え、そうなんだ、、、」

「サラリーマンが仕事をしたくないのと同じだ。まぁ、

もしかしたら死神の中にも熱心に役割をこなしているやつもいるかもしれないがな」


サラリーマンが仕事をしたくないかどうかは知らないけど、、、


「そうは言われても私がストーカーされるのは変わらないんでしょ」

「そうだな。だけど、お前が一生記憶を取り戻さなければ殺しはしないぞ」


それも結構無理難題だと思うけどね、、、

どこにも私の記憶が戻らない保証なんてないし、明日には記憶が戻るかもしれない。


正直、私自身は記憶を取り戻したいとは思う。

今の私は何も分からない。


自分が何が好きで何が嫌いで何がしたいのか。自分が何なのか知りたい。


そう思うのは記憶喪失になった者の宿命なのではないかと思う。

この数時間で悟りすぎたかな?


でも、記憶を取り戻すと私は死神に殺されてしまう。

そうなれば、話は別だ。


別に記憶がなければ死んでしまうというものでもない。

今から新しい自分を見つければいいだけなのだ。


そうだ、前向きに考えよう。

こんな非現実的な体験、なかなかできない。

自分の一つの個性だと思うんだ。


私の人生はまだまだ詰んでなんかいない!


「あぁ、そういえば。あと1つだけ俺から殺されないようにする方法があるぞ」

「えっ」


記憶を取り戻さないこと以外にもまだ生きる方法があったのか、、、

一体どんな方法なんだ、、、?

まさか、『あの世で生きろ』とか言うんじゃないだろうな?


「俺はお前がいつ記憶を取り戻すかを死ぬまで見張るつもりだ。だが、俺に命を刈り取る力はあってもお前が記憶を取り戻したか判断できる力なんてものはない」

「つまり、、、?」

「記憶を取り戻してもずっと取り戻していない演技をすればいい。俺にばれないように、死ぬまでな」

「24時間365日ずっと?」

「そうだ」


それも無理難題じゃん!

そこまでして記憶なんて取り戻したくない!

というか一生戻らなくていいよ!


それに、こんな不利なこと話したということは

おそらく私が記憶を取り戻してない演技をしても

死神には分かる何かがあるのだろう。


記憶を取り戻したか判断する特別な力がなくても分かる何かが、、、


それでも記憶を取り戻したらそうするしか生きるすべはないんだけどね。


「もしそんな状況になったら、そうするよ」

「そうか、それでも俺がお前に付きまとうことは変わらんがな」

「けど、、、、」




私は生きる、生きるんだ。何も分からなくても、どれだけ死神が私を殺そうとして来ても、、、




「私が死ぬまで付きまとうなら、覚悟したほうがいいよ。私、死ぬつもりないから」




前を向いて生きるって決めたから。




「そうか。お前がどれだけ死ぬつもりがなくとも、俺はお前を殺すため努力するだけだ」

「だろうね」

「もう質問はないな?」


ふ、今の状況でそんなこと聞くか?

こんな私が恰好つけてる状況で?

やっぱり死神は空気の読めない生き物か。


他に聞くことなんて、、、あ、、、


「えっと、死神はどうやって、人を殺すんですか、、、?」


まだ聞くことあった、、、

し、締まらないな、私。


せっかくカッコつけたのに、、、


、、、話を戻そう。

死神が私を殺そうとしたとき、死神は看板を落として殺そうとした。

けど、それはなんで看板を落としたんだ?


殺すならもっと他にも方法はあるだろう。


例えば、

通り魔のように私を刺したり、家に火を放って火事にしたり、ノートに私の名前を書いたり、、、


わざわざ看板なんて落として私を殺すなんて非効率すぎる。

これには何か理由があると思う。


おそらくだが、

私を殺すのにこうせざるを得なかったんじゃないだろうか?


死神が人を殺すのには何か条件がある、と踏んでいる。

それを使えば殺されないように何か対策ができるかもしれない。


そのためにも私はこいつから人の殺し方を聞かなければならない。


「死神が人を殺す方法か?」

「そうですそうです。まさか、それもルールで言えないとか言うんじゃないですよね?」


そんなルールがあってもおかしくはない。

死神は記憶喪失の人を殺せないとかいう意味不明なルールがあるしね。

けどこれは言ってくれないと困る、、、


「いや、そんなルールはない」


よし!


「それで、やって人を殺してるの?」

「そうだな、殺し方はその時々に変わるが、そいつが死ぬ可能性がある方法で殺す。例えばお前を看板で殺そうとしたのはお前にはあの時俺が何もしなくても看板が落ちて死ぬという可能性があったからだ。

生きていれば、人が死ぬ可能性なんていくらでもある。それを手繰り寄せることが死神に備わった力だ」

「なるほど」


何と言うか、今までで一番死神っぽいな。

死ぬ可能性だけで人を殺すなんてまさに死神の力っぽい。

この力があれば誰にも怪しまれることなく人を殺すことができる、完全犯罪だ。


でもあれ?これ私が殺されないよう対策するの無理じゃない?


「他に何か人を殺す条件があったりは、、、?」

「ない。あえて言うならこの方法でしか死神は命を刈り取ってはいけない」

「それは死神のルール?」

「そうだ」


つまりは何も対策できないのか。

いや、強いて言えば

私が死ぬ可能性をすべて取り除けば死神は私を殺すことができないことか。

とはいえそんなのは無理だろう。人の死ぬ可能性なんてそこらにいるアリの数よりも多い。

心臓麻痺とかもその可能性に入るなら絶対に無理だ。


けど、それならなんで死ぬ可能性を使ったのに私は死ななかったんだろう?

私には死ぬ可能性がなかったとか?

でもそれなら最初から私を殺そうとして看板を落とせるはずないよね、、、


「他に質問はあるか?」

「今のところないかな」


とりあえずはこいつと一緒に行動して様子を見るしかできないか。

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