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第二話「人以外の何か」

突然、声が聞こえた。庭に来たときは誰もいなかった。だから聞こえるはずもないのに、、、

だが、そこには明らかに人ではない何かがいた。一番に抱いた印象は『黒い』だった。

それは人のような形をしていて、目や鼻が浮かび上がった白い仮面を身につけている。

服装はフードのついた黒い外套のようなものを身にまとっている。

肌も黒く、とてもではないが人とは思えない。


「確かに俺はお前のことを殺そうとした。それなのにどうして生きている?お前は本当に、人間か?」

「だ、誰?人間、じゃない、よね?あ、もしかして私が頭を打った時に、お化けとかそういう類のものが見えるようになっちゃったとか?」


、、、これほんとは夢なのかもしれない。

実は私は記憶喪失になんてなってなくて今もベットの上で寝ているのだ。

でも、それなら自分のことぐらい分かるだろうし、きっと夢なんかじゃない。しっかりとした現実だ。


、、、え、ほんとにどうしよ。目の前に正体不明の変な奴がいるんだけど、しかもなんか喋ってる。

どうすればいいんだ?こんな状況になった時の対処法は進〇ゼミでも教えてくれないぞ。


とりあえず今どうすべきか考えよう。うんそうだ、そうしよう。

今私に取れる手段は多分この三つだ。


1,戦う。


2,逃げる。


3,対話を試みる。


今この正体不明な存在は私のことを「殺そうとした」と言っていた、たぶん。いや、確かにそう聞こえた。

混乱しながらであまり聞いていなかったが確かに言っていた、と思う。

これが事実なら私はこいつに命を狙われていることになる。


となればやることは1つ。

戦うことだろう。やられる前にやれってばっちゃんも言ってたはずだ(ばっちゃんがいるかわからない)。

私は抵抗するぞ、拳で。



、、、いや、待てよ。そもそもの話、私はこいつに勝てるのか?

こんな明らかに人間じゃないやつに?

しかも冷静に考えるとこいつは私を殺そうとしているやばいやつなのだ。

そんなのに勝てるのか、現実的に考えて?


無理だろう、明らかに。


危なかった、、、

もう少しで三途の川にダイビングするとこだった。

記憶喪失になって私は正常な判断ができていなかったようだ。


ならばどうすべき何だ?

1の戦うは無理だから2の逃げるか?

けれど、それもおそらく無理だろう。


なんせこの黒いやつはいつの間にかそこにいた。まるでゴキブリみたいに。

そんなゴキブリみたいに神出鬼没なやつから逃げ切れるとは到底思えない。

それにもしかするとこのゴキブリはこいつ以外にもいるかもしれない。

相手の力が未知数な上に、逃げて怒らせたら何をされるか分かったもんじゃない。


となると消去法で3の対話を試みるが残るが、、、

対話なんてできるのか?

確かにこいつは人間の言葉で話していたし、意思疎通ぐらいは取れるだろう。

ただ、こんな意味不明で私を殺そうとするやつに話が通じるかは別だ。


だけど話さなければこのまま殺されてしまうかもしれない。

それではまずい。ひとまず話しかけてみよう。もしまずそうなら急いで逃げればいいだけだし、、、


落ち着け私、深呼吸をするんだ。

ただの対話だ対話、何も怖くなんてない。

例えるならそう、ゴキブリに話しかけるような感じ、、、


駄目だ、そう考えたら余計無理に感じる。

ゴキブリに話しかけるなんてしたらこっちに飛んでくる未来しか見えない。

いや、この正体不明なやつは決してゴキブリなんかじゃない。

私のイメージで考えているに過ぎない。大丈夫だ、ただ話かけるだ、、、、


「、、、おい」


声のほうに顔を向けると正体不明がこちらに話しかけてきていた。

やば、考えこみすぎてた。と、とりあえず返事しないと、、、


「な、なんですか?」

「お前はどうして生きている?」

「い、生きていたらダメなんですか?」

「そうだな、駄目だ」


いきなり私が生きることを否定された!!

え、駄目なの?私って生きてたら駄目な人間なの!?


「質問に答えろ、お前はどうして生きている?」

「い、生きているから生きているんじゃないですかね?」


や、やばい、絶対答え方間違えた。

なんだよ「生きているから生きている」って、哲学かよ。

そんなこと間違いなく聞いてないって!!


「、、、今のは質問の仕方が悪かったな」


、、、あれ、今、謝られた?

そ、そうだよ。突然説明もなくそんなこと言われても答えられるわけないじゃん。


というかこいつ、割といいやつなんじゃないか?

ちゃんと相手のことを考えて話しているし、思ってたよりも話が続くし、、、


、、、いやぁ、やっぱり人は見た目で判断しちゃいけないっていうしね。

ごめんね、ゴキブリとか言って。

良かった~、殺すとかもただの勘違いだったのか。

これなら落ち着いて話ができそう、、、


「少し前に、お前の頭に看板が落ちたな?そのときにどうして死ななかったのかと聞いている。」

「え?なんでそのことを知ってるんですか?」


私の頭に看板が落ちたなんてこと、この病院の人しか知らないんじゃないかな?

誰も私の見舞いに来てくれなかったんだし、、、

あ、もしかしてその時のこと見てたとか?

それで今見舞いに来てくれたとか、、、

なんだよ~、それならそうと言ってくれればよかったのに。

なんにせよ、これで私はボッチなんかじゃな、、、


「俺がお前に看板を落としたからだ」


、、、、


「、、、今なんて?」

「俺がお前に看板を落としたからだ」


、、、、



「、、、どうして?」

「お前を殺すためだ」



、、、、、



、、、え〜〜前言撤回。


こいつ、やばいやつだ。


え?

てことは私が今記憶喪失になってるのはこいつのせいってこと!?


それに私がここにいるのは、

たまたまの事故ではなく、私を殺そうとする殺人未遂の事件だったってこと!?


なにそれ、、、

こいつがすべての黒幕じゃん!!


私の入院費用とか絶対こいつが支払うべきだよ!!

看板管理してたお店が可哀そうだよ!!


と、とにかく、今すべきことは、、、今すべきことは、、、!!




「に、逃げろぉぉぉ!!」




とにかく逃げること!!!

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