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10:女性向けのコンテスト応募作品を1000作品読んでみた!

 2025年4月中旬。

 女性向けのコンテスト応募作品を1000作品読破しました。

 2022年3月下旬から読み始めたので、3年と1ヶ月かかったことになります。長かったなあ……。


 読破したのは、8万字から20万字の完結済み連載作品でした。

 除外ワードは「悪役令嬢」「婚約破棄」「乙女ゲーム」「ざまあ(ざまぁ)」、そして「悲恋」。

 それに加えて、「ボーイズラブ」「ガールズラブ」も除外。

 男性向けの作品や、男性向けなのか女性向けなのか分からない作品も除外しました。


 読んだ1000作品には自分なりに評価点をつけました。評価基準はこの4つです。


 ①『読みやすいか』

 ②『キャラは魅力的か』

 ③『起承転結があるか(クライマックスで一番盛り上がっているか)』

 ④『読後に満足感があるか』


 それぞれ5点満点、合計20点満点です。

 3点を「普通」として、好みに合えば加点、合わなければ減点しています。


 さらに、恋愛ものとして欠かせない心のときめき――『きゅんきゅん度』も判定しました。


 事前に総合ポイントは確認せず、作品の内容のみで判断しました。ネット小説としてではなく、書籍として評価するとしたらという前提でつけたので、点数は厳しめになっています。



 今回は、この1000作品のデータをもとに分析&考察してみました。

 数字がまあまあ出てくる上に長いので、要点のみ知りたい場合は下の方にある『まとめ』というところまで飛ばして見てください。



 * * *



 ・読破した作品総数:1007作品。

 アイリスIF大賞(第1~6回)で651作品、小学館FTノベル賞で206作品、ルフナ大賞で150作品。


 0~99pt:256作品

 100~999pt:374作品

 1000~2999pt:151作品

 3000~9999pt:150作品

 10000pt~:76作品



 ・うさぎ妖精がつけた評価点(5点満点)の平均値


 ①読みやすさ:2.5

 0~99pt:2.1

 100~999pt:2.5

 1000~2999pt:2.7

 3000~9999pt:2.8

 10000pt~:2.6


 ②キャラの魅力:2.9

 0~99pt:2.5

 100~999pt:2.9

 1000~2999pt:2.9

 3000~9999pt:2.9

 10000pt~:2.7


 ③起承転結:2.3

 0~99pt:2.2

 100~999pt:2.3

 1000~2999pt:2.4

 3000~9999pt:2.4

 10000pt~:2.1


 ④読後の満足度:2.2

 0~99pt:2.0

 100~999pt:2.3

 1000~2999pt:2.3

 3000~9999pt:2.3

 10000pt~:1.9



 ・合計評価点(20点満点)の平均値:9.8

 0~99pt:8.7

 100~999pt:10.1

 1000~2999pt:10.3

 3000~9999pt:10.4

 10000pt~:9.3


 ※本屋さんや図書館に並んでいそうなのが合計評価点12.0点以上。

 買いたいなと思うのが15.0点以上、というイメージです。



 ・きゅんきゅん度の平均値:42.6%

 0~99pt:35.6%

 100~999pt:44.8%

 1000~2999pt:45.5%

 3000~9999pt:46.1%

 10000pt~:42.5%



 ・きゅんきゅん度50%以上(恋愛ものとして読める作品)との遭遇率:58.5%

 0~99pt:43.8%

 100~999pt:64.7%

 1000~2999pt:63.6%

 3000~9999pt:62.0%

 10000pt~:60.5%



 ・きゅんきゅん度70%以上(恋愛ものとして満足できる作品)との遭遇率:5.7%

 0~99pt:3.1%

 100~999pt:6.4%

 1000~2999pt:9.3%

 3000~9999pt:6.0%

 10000pt~:2.6%



 ・お気に入り作品発掘率:6.8%

 0~99pt:4.3%

 100~999pt:8.8%

 1000~2999pt:9.3%

 3000~9999pt:4.7%

 10000pt~:3.9%



 *



 Q.応募作品のレベルってどんな感じだった?

 A.全体的に、本屋さんや図書館に並んでいそうなレベルには達していない作品が多かったです。文章力もストーリー構成力もまだまだ未熟。物語の最後まで読者を引っ張っていく力がない。プロットをしっかり練っていないのか、無駄なエピソードで文字数を増やしているだけのお話も珍しくなかったです。

 ポイントが高ければ高いほど、作品のレベルも上がるというわけでもありませんでした。レベルが一番高いと感じたのは3000~9999ptで、1000~2999pt、100~999pt、それから10000pt以上と続き、最後は0~99ptという結果になりました。


 Q.「読みやすさ」「キャラの魅力」「起承転結」「読後の満足度」のうち、応募作品はどれが一番優れていて、どれが一番弱かったの?

 A.一番優れていたのは「キャラの魅力」です。キャラの魅力のみで考えれば、本屋さんに並んでいる書籍と大差ない作品も多かったです。

 逆に、一番弱かったのは「読後の満足度」でした。原因は、ポイント目当てで粗製乱造されたお話が多かったから。流行ワードを除外しているにもかかわらず、似たような作品が次から次へと出てきて泣きそうになりました。


 Q.恋愛要素について、応募作品はどんな感じだった?

 A.はっきりいって、恋愛要素については物足りない作品が多かったです。読んだ応募作品のほとんどが異世界恋愛ジャンルだったはずなのに、約4割は恋愛ものとしては読めないレベルの作品でした。これはあまりにもひどい。泣きたい。


 Q.恋愛ものが読みたいときは、どのポイント帯で探すのがおすすめ?

 A.女性向けの応募作品で、恋愛ものが一番多いのは100~999ptです。このポイント帯なら、20作品読めば13作品は恋愛ものとして読めます。ここからはポイントが上がれば上がるほど、なぜか恋愛ものとして読める確率が徐々に下がっていきます。

 恋愛要素がたっぷりの作品を読みたいのなら、1000~2999ptで探すのがおすすめ。10作品読めば1作品は恋愛ものとして満足できる作品に出逢えました。

 10000pt以上は恋愛ものとして満足できる作品が最も少ないポイント帯なので注意。38作品読んでやっと1作品出てくるくらい。恋愛ものを探すにはかなり効率が悪いです。


 Q.お気に入り作品が見つかる可能性が高かったのは、どのポイント帯だったの?

 A.1000~2999ptが一番高かったです。次に高かったのは100~999ptですね。このあたりのポイント帯では、10作品読んだら1作品はお気に入り作品が見つかるという感じでした。

 逆に、最もお気に入り作品が見つかりにくかったのは10000pt以上のポイント帯。事前に苦手な要素を除外しているにもかかわらず、25作品読んでやっと1作品見つかるという感じ。高ポイント帯の面白い作品は既に書籍化されていて、応募作品としてはなかなか出てこないみたいです。


 Q.お気に入り作品になる予感がしてくるのは、何文字くらい読んだとき?

 A.だいたい物語の半分くらい、10万字の作品なら5万字くらいの時点です。

 序盤がいくら面白かったとしても、その部分だけでお気に入り作品になるかどうかは判断できません。なぜなら、面白いのは序盤だけで、あとは読めば読むほどガッカリする作品が驚くほど多いからです。

 中盤の時点でクライマックスを盛り上げる準備がきちんと進んでいる作品は、お気に入り作品になる可能性が高いです。


 Q.逆に、お気に入り作品にならないとわかるのは、何文字くらい読んだとき?

 A.早ければ、冒頭8000字(約3話)くらいの時点でわかります。冒頭で文章が非常に読みにくいと感じたり、主人公のキャラに嫌悪感を抱いたりすると、そこから評価がひっくり返ることはほぼありません。


 Q.そもそも、なんで1000作品も読んで評価しようと思ったの?

 A.ランキング作品や高ポイント作品が好みに合わないことが多く、自分好みの作品がなかなか見つからなくて困ったから。この「小説家になろう」の中に自分好みの作品は存在するのか。あるとすれば、一体どのポイント帯に自分好みの作品が多く埋もれているのか。1000作品くらい読めば明らかになるはず、と思って読み始めました。

 でも、100作品も読めば自分好みの作品が集まりやすいポイント帯を見つけることは可能だったので、1000作品も読む必要はなかったかも。


 Q.1000作品読んで、読む力は上がった?

 A.上がったと思います。そして、たくさん読めば読むほど、文章を書くためのルールをきちんと守っている作品に好印象を抱くようになりました。ルールを守った作品を書ける作者さまは、普段から書籍をたくさん読んでいるのだと思います。だからこそ、自然にルールが身についているし、文章も上手いことが多いです。

 ただ、上手い文章がわかるようになった分、下手な文章の特徴もよくわかるようになりました。そのため、作品を見る目がどんどん厳しくなってしまいました。これからは、もう少し純粋に作品を楽しみたいと思っています。


 Q.もし1000作品読む前の自分にアドバイスするとしたら?

 A.「作品の悪いところよりも、良いところをたくさん見つけるようにして読め!」と言いたいです。

 それと「チェックした作品のNコードはすべてメモして、わかりやすくまとめておけ!」ですね。タイトルはいきなり変更されることがあるので、Nコードで管理する方が絶対に良いと思いました。



 * * *



『まとめ』


 1000作品読んでみた結果、自分好みの作品がどこのポイント帯に多く存在するかがわかりました。


 個人的におすすめ作品が集まっていると感じるポイント帯は、100~2999ptです。3000~9999ptは少し恋愛要素が物足りないけど、比較的読みやすい作品が多いので悪くはないという感じ。

 恋愛要素がたっぷりの作品が読みたいのなら、1000~2999ptのポイント帯が特におすすめ。


 0~99ptと10000pt以上の応募作品はあまりおすすめできません。0~99ptは文章力が未熟で読みにくい作品が多いし、10000pt以上はポイント目当てで粗製乱造された作品が多くて飽きやすいからです。恋愛ものとして満足できる作品も少なすぎて効率が悪いです。10000pt以上で面白い作品を探すなら、書籍化している作品の中から選ぶのが無難かも。


 1000作品読んだあとで出した結論についてですが、100作品読んだときにたどりついた結論とあまり変わらなかったので、ここで改めて言っておきますね。


 100pt以上の作品は、誰かの好みにちゃんと刺さっている可能性が高いということ!

 人によっては、10000ptの作品よりも100ptの作品の方が好きということもあるんです!

 ポイントが全てじゃない!




 以上。

 1000作品のデータをもとにした分析&考察でした。


 目標にしていた1000作品読破を達成したので、応募作品を読んで評価するのはこれで終わりにしようと思います。

 見守ってくださったみなさま、本当にありがとうございました!

 今後は、気になるコンテストがあるときだけ、受賞傾向の分析&考察をしようかなと思っています。


 アイリスはポイント重視の選考を続けそうなので、もう分析は必要ないかな?

 ルフナは内容重視の選考を続けるかどうかが気になるので、次回があるなら受賞傾向の分析&考察をしてみたいです。

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アイリスIF大賞の応募作品を100作品読んだエッセイ。
i646209
(バナー制作/楠結衣さま)
― 新着の感想 ―
1000作品読破、おめでとうございます! すごく大変な目標をきちんと達成されて、素晴らしいです。 ご自身の好みの作品を見つけるために、とのことでしたが、独りよがりではなく、きちんとした考察や分析をされ…
1000読破、おつかれさまでした! ここまで読んでデータを取ること、とても大変だったと思います。 興味深い情報の提供ありがとうございました。 >ポイントが全てじゃない! 〆のお言葉、本当にその通りだ…
1000作品読破しての分析と考察、大変読みごたえがありました。 最新更新部分のルフナ大賞、アイリスIF6の分析も興味深かったです。 ルフナの選考に、内容を重視して新鮮で読み応えのある作品を世に出そうと…
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