9-2:【受賞傾向分析】アイリスIF6大賞の結果を分析&考察してみた!
私の活動報告(2025年5月31日)で書いた内容とほぼ同じになっています。
活動報告で読んだ方は、読み飛ばしても大丈夫です。
2025年5月30日。
アイリスIF6大賞の結果発表がありました。
というわけで、今回も気になった部分を簡単にデータ分析&考察してみました。
今回も数字がいっぱい出てくるし、まあまあ長くて大変なので、すぐに結論が知りたいという方は『まとめ』というところまで飛ばして見てくださいね。
ものすごく悲しい気持ちになるお話なので、心の準備をお願いします。
* * *
①受賞作品について。
(結果発表後の2025年5月30日時点の数値をもとに計算しています)
金賞1作品 銀賞6作品 アイリス特別賞1作品。
【前回:金賞1作品 銀賞6作品】(この「前回」というのは、2024年6月20日~2025年9月19日に開催されていた「アイリスIF5大賞」のことです)
・応募総数すべて(2874作品【前回:2393作品】)に対しての受賞率:0.3%【前回:0.3%】
・総合ポイントの平均:39325pt【前回:25319pt】
金・銀・アイリス特別賞:39325pt(最高87140pt 最低16414pt)
・平均評価点の平均:9.0【前回:8.9】
金・銀・アイリス特別賞:9.0(最高9.2 最低8.5)
・流行ワードが入っている確率:25.0%【前回:57.1%】
金・銀・アイリス特別賞:25.0%
・完結率:100%【前回:85.7%(実質100%)】
金・銀・アイリス特別賞:100%
・連載時期の範囲:2019年3月28日~2025年5月26日【前回:2018.6.20~2024.11.15】
金・銀賞:2023年12月14日~2025年5月26日
アイリス特別賞:2019年3月28日~2021年9月23日
・文字数の平均
金・銀・アイリス特別賞:170924字【前回:139932字】
(最高375892字 最低42692字)
・総合ポイントによる受賞作品数の違い
10000pt以上:8作品(100%)【前回:7作品(100%)】
10000pt未満:0作品(0.0%)【前回:0作品(0.0%)】
②一次通過作品(48作品【前回:37作品】)について
・総合ポイントの平均:16240pt【前回:20670pt】
(最高69396pt 最低512pt)
・平均評価点の平均:8.6【前回:8.7】
(最高9.2 最低7.7)
・流行ワードが入っている確率:64.5%【前回:67.6%】
・完結率:91.7%【前回:91.9%】
・文字数 10万字以上の長編:20作品 41.7%【前回:40.5%】
10万字未満:28作品(5万字未満が21作品) 58.3%【前回:59.5%】
③一次通過・受賞した作品について
・総合ポイント別の作品数
一次通過・受賞した56作品【前回:44作品】を、総合ポイント別に分けてみます。
0~99pt:0作品【前回:0作品】
100~999pt:3作品【前回:0作品】
1000~2999pt:0作品【前回:1作品】
3000~9999pt:4作品【前回:4作品】
10000pt~:49作品【前回:39作品】
・文字数での通過率の違い
一次通過・受賞した56作品を、文字数10万字以上と未満で分けてみます。
10万字以上:27作品(48.2%)【前回:44作品中19作品(43.2%)】
10万字未満:29作品(51.8%)【前回:44作品中25作品(56.8%)】
④アイリスIF6大賞の結果分析&考察に関するQ&A。
Q.応募作品全体のポイント帯ってどんな感じだったの?
A.
0~99pt:50.4%【前回:53.0%】
100~999pt:21.4%【前回:24.6%】
1000~2999pt:9.2%【前回:7.2%】
3000~9999pt:8.5%【前回:6.9%】
10000pt~:7.1%【前回:6.7%】
(pt非公開などは計算できてません)
応募作品の89.5%は10000pt未満の作品でした。
さて、今回も10000ptより上か下かで作品を2つに分けて、簡単にですが通過率を計算してみます。
10000pt未満の作品・約2570作品のうち、一次通過・受賞したのは7作品。前回から0.1%上がり、通過率約0.3%です。
一方、10000pt以上の作品・約204作品のうち、一次通過・受賞したのは49作品。通過率は24.0%。第1回は約40%、第2回は約28.5%、第3回は約38.0%、第4回は約15.9%、第5回は24.2%だったので、大体いつも通りという印象です。
毎回のことですが、10000pt以上の作品と10000pt未満の作品の通過率の差はかなり激しいです。今回は約80倍の差がありました。前回の約121倍ほどひどくはないですが、充分ひどい範囲内です。
アイリスはポイント重視の選考をやめる気は全くないみたいです。
Q.ポイントで足切りしてそう?
A.きちんと読んでもらえているのは10000pt以上のものだけだと思います。10000pt未満の作品は適当に目についたものを読んでいるだけですね。
100~999ptの作品が3作品一次通過していますが、これはアイリスがいつもやっている「ポイント関係なく選んでいるアピール」ですね。このポイント帯を受賞させる気はないと思います。
Q.今回も内容が面白いものが通過してる?
A.今回の一次通過・受賞作品の平均評価点を見ると、8.5以下のものが56作品中18作品(32.1%)でした。ちなみに、前回は44作品中8作品(18.1%)。前回と比べると面白い作品がかなり減ってしまったみたいです。
一次通過作品の中には評価点が7.7の作品や7.9の作品もありました。評価点が8.0を下回る作品は面白くないことが非常に多く、こういう作品が2作品も一次通過しているのはどう考えてもおかしいです。審査員さんは内容を真面目に読まずにポイントだけ見て適当に一次通過させた可能性が高いですね。
受賞作品の平均評価点は9.0。受賞作は面白いものを選ぼうとした感じがします。
Q.受賞するにはポイントがどれくらい必要なの?
A.10000pt以上は必要です。主な選考対象が10000pt以上の作品なので、ポイントが伸び悩んでいる作品はまず受賞できないと思われます。
Q.新しい作品の方がいいの?
A.今回は新しいものがよかったみたいです。金賞と銀賞はここ1年くらいの間に連載されていたものばかりでした。ただし、アイリス特別賞は古い作品で、約5年ほど前の作品だったようです。
前回は古い作品でも大丈夫だったんですけど、新しいもの好きに戻ったのかも。
Q.文字数はどのくらいがおすすめ?
A.文字数は10万字~20万字くらいが良さそうです。ただし完結していないとダメ。
一次通過作品は10万字未満のものが多いですが、10万字未満で受賞しているのは1作品のみ。受賞を目指すのなら短くても4万字は必要みたいです。短編はやっぱり全滅。
Q.ジャンルのおすすめは?
A.異世界恋愛。それ以外のジャンルで受賞するのはおそらく無理。
Q.流行ワード(『悪役令嬢』『婚約破棄』『乙女ゲーム』『ざまあ/ざまぁ』)が入っている作品が有利なの?
A.完全に不利。流行ものは25.0%しかなく、驚くほど少なかったです。
Q.今回の受賞作品で気になることは?
A.10000pt以上の作品ばかりが受賞しているところ。
あとは「アイリス特別賞」が何なのかがさっぱりわからないのが気になりますね。他の受賞作品と比べても、ポイントも文字数もジャンルも大差ないように見えます。唯一、連載時期が違うかな? という程度。一瞬、短編受賞が復活したのかと思ったけど、そうじゃなかったのが残念です。
そして、毎回のことですが大賞が出ていません。出す気がない賞は応募要項から消してもいいと思います。
Q.アイリスは優秀な新人さんを発掘する気はある?
A.ないですね。
ポイント重視の選考がますますひどくなっているので、期待しない方がいいと思います。
Q.一度アイリスに応募して落ちた作品が受賞することはある?
A.あります。なんと今回は、前回の一次通過作品が受賞していました。アイリスIF4大賞で落選していた作品がアイリスIF5で受賞したこともあるので、10000pt以上ある作品なら一度落ちてもチャンスがありそうです。
ただ、冷静に考えると、これってものすごく残念なことなんです。本当に面白い作品なら前回のコンテストで受賞しているはずですよね。でも、そうじゃない。前回落とした作品を受賞させないといけないくらい、今回は受賞させる価値のある作品が見つからなかったと考えるべき。
回を増すごとに受賞作品の質がどんどん落ちていくコンテストって嫌ですよね。以前開催されていた「アイリスNEOファンタジー大賞」でも同じような感じになっていた気がします。ポイント重視の選考を続けると、こんなひどいことになるんだなあと思いました。
Q.うさぎ妖精さんは今回の総評を読んでどう思ったの?
A.相変わらず10000pt以上の作品ばかり読んでいるからそう感じたんだろうなあと思う総評でしたね。「受賞作品は~~独自性、意外性、構成力が光る作品」と書いてありましたが、実際に読んでみた立場から言わせてもらうと、独自性も意外性もあまりない受賞作品が多いです。しかも構成力が最低レベルの受賞作品が2作品もありました。
正直、もっと読む力のある審査員さんに選考を行ってもらいたいと思いました。
Q.うさぎ妖精さんが読んで評価した作品で、受賞したものはある?
A.今回は4作品ありました。
ちなみに私がその受賞作品につけた評価点がどのくらいだったかというと――1作品目は20点満点中11点。悪くはなかったです。満足度が低めなのが玉に瑕でした。
2作品目は20点満点中10点。キャラと満足度は普通、文章力と構成力は微妙。
3作品目は20点満点中9点。文章とキャラは普通、満足度は微妙。構成力は最低レベル。
4作品目は20点満点中5点。キャラは微妙。それ以外はすべて最低レベル。
きゅんきゅん度は60%、50%、40%、10%。恋愛ものとして読めるものは半分しかありません。
今回の受賞作品も、ランキングが好みに合わない人にはあまりおすすめできません。恋愛要素たっぷりのお話が好きな人にもおすすめできないです。もし買うのなら、絶対に一度読んで確認してからにしてください。
Q.うさぎ妖精さんが読んで評価した作品で、一次通過したものはある?
A.今回は3作品ありました。1作品目は10点、きゅんきゅん度は40%。
2作品目は8点、きゅんきゅん度は50%。
3作品目は5点、きゅんきゅん度は30%。
受賞作品よりは点が低めでした。
Q.そういえば、うさぎ妖精さんのお気に入り作品の結果はどうだったの?
A.今回うさぎ妖精が発掘したお気に入り作品は5作品。
ポイントが伸び悩んでいたので、アイリスでは不遇でしたね。うさぎ妖精のお気に入り作品は、ポイントさえあれば余裕で受賞できるレベルだったと思います。
* * *
『まとめ』
アイリスIF6大賞で受賞するにはどんな作品が有利だったのか、簡単にまとめておきます。
①異世界恋愛ジャンルの作品【前回と同じ程度 →】
②総合ポイント10000pt以上の作品【前回と同じ程度 →】
③完結作品【前回と同じ程度 →】
④平均評価点8.8(★4.4)以上の作品【前回よりも上 ↑】
⑤10万字以上20万字以内の長編作品【NEW!】
重要視されていると思われる順番で並べてみました。
【アイリスIF6大賞の結果に関しての感想】
《良い点》
文庫本1冊程度の長さの完結長編が優遇されているところ。結果発表日をきちんと守るところ。
《気になる点》
内容を無視してポイント重視の選考を続けているところ。毎回、大賞(賞金30万円)を出さないところ。
審査員さんの読む力も、はっきりいって弱すぎると感じています。
《一言》
早く良作を発掘するコンテストに生まれ変わってほしいです。
以上。
アイリスIF6大賞の結果分析&考察でした。
何かひとつでも参考にしてもらえるところがあれば嬉しいです。
次回のアイリスは今まで通りのペースなら2025年6月20日~2025年9月19日に開催されると思います。
ネトコン13が開催中だし、またルフナ大賞とも期間がかぶる可能性もあるので、どのコンテストを優先するかしっかり考えておくといいかも。
アイリスIF6大賞に応募した作者のみなさま、本当にお疲れさまでした!