8-2:【受賞傾向分析】ルフナ大賞の結果を分析&考察してみた!
2025年6月9日。
第1回Ruhuna小説大賞(ルフナ大賞)の結果発表がありました。
というわけで、今回も気になった部分を簡単にデータ分析&考察してみました。
今回も数字がたくさん出てくるし、けっこう長くて大変なので、すぐに結論が知りたいという方は『まとめ』というところまで飛ばして見てくださいね。
いつもと違って穏やかな気持ちになるお話なので、心の準備はそんなに必要ありません。
* * *
①受賞作品について。
(結果発表後の2025年6月10日時点の数値をもとに計算しています)
※比較しやすいように、2024年6月20日~9月19日に開催されていた「アイリスIF5大賞」のデータも書いておきます。
これまでのアイリスでは、応募総数を結果発表時のデータで計算してきたのですが、今回はどちらも締め切り直後のデータで計算しました。ルフナの一次結果発表が早めに出て、結果発表時のデータでは比較が難しいと考えたからです。
そのため、これまでのエッセイで書いた数値と多少の違いが出ています。ご了承ください。
大賞:1作品
金賞:1作品
銀賞:1作品
Webtoon賞:1作品
【アイリス金賞:1作品 銀賞:6作品】
・応募総数すべて(1331作品【アイリス:2692作品】)に対しての受賞率:0.3%【アイリス:0.3%】
・総合ポイントの平均:13367pt【アイリス:25319pt】
(最高25208pt【アイリス:53978pt】 最低3154pt【アイリス:12960pt】)
・平均評価点の平均:9.1【アイリス:8.9】
(最高:9.4【アイリス:最高9.1】 最低:8.6【アイリス:最低8.6】)
・流行ワードが入っている確率:50.0%【アイリス:57.1%】
・完結率:100.0%【アイリス:85.7%(実質100%)】
・連載時期の範囲:2022年9月18日~2024年4月28日【アイリス:2018.6.20~2024.11.15】
・文字数の平均:122617字【アイリス:139932字】
(最高:153703字【アイリス:311260字】 最低:101268字【アイリス:69246字】)
・総合ポイントによる受賞作品数の違い
10000pt以上:2作品(50.0%)【アイリス:7作品(100%)】
10000pt未満:2作品(50.0%)【アイリス:0作品(0.0%)】
②一次通過作品について
(一次選考発表直後の2025年5月3日時点の数値をもとに計算しています)
37作品【アイリス:37作品】
・総合ポイントの平均:5673pt(最高21584pt 最低356pt)
【アイリス:20670pt(最高48544pt 最低1500pt)】
・平均評価点の平均:8.9(最高9.5 最低7.9)
【アイリス:8.7(最高9.6 最低8.1)】
・流行ワードが入っている確率:40.5%【アイリス:67.6%】
・完結率:94.6%【アイリス:91.9%】
③一次通過・受賞した作品について
・総合ポイント別の作品数
一次通過・受賞した41作品【アイリス:44作品】を、総合ポイント別に分けてみます。
0~99pt:0作品【アイリス:0作品】
100~999pt:8作品【アイリス:0作品】
1000~2999pt:11作品【アイリス:1作品】
3000~9999pt:14作品【アイリス:4作品】
10000pt~:8作品【アイリス:39作品】
・総合ポイント別での通過率の違い
0~9999pt:2.6%(約1243作品中33作品)【アイリス:0.2%(約2512作品中5作品)】
10000pt~:9.1%(約88作品中8作品)【アイリス:21.7%(約180作品中39作品)】
・文字数での通過率の違い
一次通過・受賞した41作品を文字数によって分けてみます。
8~10万字:7作品
10~15万字:20作品
15~20万字:6作品
20~30万字:2作品
30万字~:6作品
【アイリス:10万字未満25作品 10万字以上19作品】
・一次通過・受賞した作品につけている、うさぎ妖精の評価点の平均
(ルフナ:18作品 アイリス:5作品)
①読みやすさ:2.8【アイリス:2.6】
②キャラ:2.9【アイリス:2.4】
③起承転結:2.2【アイリス:1.6】
④満足度:2.3【アイリス:1.4】
合計評価点:10.1【アイリス:8.0】
きゅんきゅん度:49.4%【アイリス:34.0%】
ちなみに、ルフナの応募作品全体(150作品)の平均点は、①2.3 ②2.6 ③1.9 ④1.9 合計8.8 きゅんきゅん度42.1%。
・一次通過したジャンルの割合
異世界恋愛:95.1%
(異世界転生20.5% 異世界転移7.7% 転生・転移なし71.8%)
ハイファンタジー:4.9%
現実恋愛:0.0%
ローファンタジー:0.0%
【アイリス 異世界恋愛:95.5% ハイファンタジー:4.5%】
④ルフナ大賞の結果分析&考察に関するQ&A。
Q.応募作品全体のポイント帯ってどんな感じだったの?
A.
0~99pt:35.6%【アイリス:55.1%】
100~999pt:31.3%【アイリス:23.9%】
1000~2999pt:14.7%【アイリス:7.1%】
3000~9999pt:11.3%【アイリス:6.8%】
10000pt~:6.6%【アイリス:6.7%】
(締め切り直後の数字をもとに計算しています。pt非公開などは計算できてません)
応募作品の93.4%は10000pt未満の作品でした。アイリスIF5とほぼ同程度の割合です。
さて、この情報をもとに10000ptより上か下かで作品を2つに分けて、簡単にですが通過率を計算してみます。
10000pt未満の作品・約1243作品のうち、一次通過・受賞したのは33作品。通過率は2.6%。アイリスIF5は約2512作品中5作品で約0.2%でした。
一方、10000pt以上の作品・約88作品のうち、一次通過・受賞したのは8作品。通過率は9.1%。アイリスIF5は約180作品中39作品で21.7%。
ルフナの10000pt以上の作品と10000pt未満の作品の通過率の差を計算してみると、『3.5倍』になります。アイリスIF5は『108.5倍』も高ポイント作品を優遇していました。ルフナはアイリスと比べると、あまりポイントを重視してはいなかったようです。
Q.ポイントで足切りしてそう?
A.おそらく100ptで足切りをしたと思います。アイリスIF5の足切りラインは10000ptだったと推測されるので、それと比べたらかなり良い傾向でした。
Q.内容が面白いものが受賞してる?
A.受賞作品の平均評価点を見てみると、平均評価点8.5以上の作品は4作品中4作品(100%)でした。ちなみにアイリスは8.5以上の作品が7作品中7作品(100%)。
面白い作品を受賞させようとしたと判断してもよさそうです。
Q.ところで、平均評価点が高い作品は本当に面白いといえるの?
A.2025年現在の感覚としては、平均評価点8.0以上は普通、8.5以上は面白いというイメージです。ただし、評価点が高ければ高いほど面白いというわけではありません。9.0以上あっても、残念ながら面白さが全く伝わってこない作品も珍しくはないです。
とはいっても、面白い作品であれば8.5以上になる可能性が高いと感じています。そのため、受賞作品の平均評価点が8.5以上あるかどうかを調べておきました。
Q.受賞するにはポイントがどれくらい必要なの?
A.3000pt以上はあるとよさそう。アイリスIF5では最低でも10000ptは必要だったことを考えると、ルフナはポイントよりも内容が重要視されているようです。
3000pt以上といっても、一次選考の時点では1190ptしかなかった(それまで半年くらいポイントにほとんど変動がなくずっと1000pt程度だったのに、一次通過の発表があってから異様なポイントの伸びを見せていてビックリした)作品が受賞していたので、1000pt以上ある作品は自信をもって応募していいと思います。
Q.新しい作品の方がいいの?
A.約3年前に連載していた作品も受賞しているので、新しさにはそんなにこだわらなくても大丈夫みたいです。ちなみに、アイリスIF5では連載開始時期よりもポイントが重要でした。
Q.文字数はどのくらいがおすすめ?
A.10万字~15万字くらいがおすすめです。これは、文庫本1冊くらいの文字数になります。
アイリスIF5でも7万字~20万字くらいがおすすめだったので、コンテストに応募するなら文庫本1冊くらいの文字数を目指すとよさそうです。
Q.ジャンルのおすすめは?
A.異世界恋愛。しかも、転生転移要素がないもの。それ以外のジャンルで受賞するのはおそらく無理。
Q.流行ワード(『悪役令嬢』『婚約破棄』『乙女ゲーム』『ざまあ/ざまぁ』)が入っている作品が有利なの?
A.受賞作品の中で流行ワードを使ったものは50.0%でした。流行ワードが入りがちなポイント重視のアイリスIF5でも57.1%。最近行われているコンテストの傾向を見ると、流行ものが有利というわけではなくなってきている感じがします。
流行ワードがある作品は、残念ながらどれも似たような感じに見えます。流行ワードをどうしても使いたいときは、他の類似作品を圧倒するくらいの強い個性を持たせないと厳しいと思われます。
Q.今回の受賞作品で気になることは?
A.ジャンルが異世界恋愛だけというところ。現実世界のお話を無視したところは納得がいかなかったです。
とはいえ、その部分以外はランキング作品が好きな人、苦手な人、どちらにも対応できるすばらしい選考内容だったと思います。
Q.ルフナは優秀な新人さんを発掘する気はある?
A.一次通過の結果を見た感じでは、優秀な新人さんを発掘する気があるといえそうです。10000pt未満の作品から優秀な作品をきちんと発掘できているのがすごい!
Q.うさぎ妖精さんが読んで評価した作品で、受賞したものはある?
A.2作品ありました。
1作品目は20点満点中14点で、きゅんきゅん度は60%。受賞するのも当然のクオリティです。
2作品目は10点で、きゅんきゅん度は50%。文章とキャラは普通。構成力と満足度が弱かったです。
アイリスと比べると、ものすごく優秀で感激しました。
Q.うさぎ妖精さんが読んで評価した作品で、一次通過したものはある?
A.16作品ありました。
16作品の平均評価点は9.9点。「読みやすさ」2.8、「キャラ」2.8、「起承転結」2.0、「満足度」2.3、きゅんきゅん度48.8%でした。
受賞作品と比べると、やっぱり少し点数が低めです。まずはもっと読みやすさとキャラを磨くこと、それができたらさらに上を目指すために構成力とオリジナリティを磨いていきましょう! 女性向け作品であれば、恋愛描写を上手く書けるように勉強しておくことも大事です!
Q.そういえば、うさぎ妖精さんのお気に入り作品の結果はどうだったの?
A.お気に入り作品は10作品で、そのうち1作品が受賞しています。しかも、大賞。
ビックリしました。ルフナの審査員さんと握手したくなりました。
Q.ルフナとアイリス、どっちの方がおすすめ?
A.作者目線でも読者目線でも、圧倒的にルフナをおすすめします。
ルフナなら、100pt以上の作品はきちんと読んだうえで判断してくれる可能性が高いです。うさぎ妖精が面白いと感じた作品を多く通過させてくれているところも好印象でした。結果発表のページから作品ページに飛ぶことができるのも嬉しかったです。すぐに読みにいけるし、すごく便利!
* * *
『まとめ』
ルフナ大賞で受賞するにはどんな作品が有利だったのか、簡単にまとめておきます。
①異世界恋愛ジャンルの作品【アイリスと同じ程度】
②完結作品【アイリスと同じ程度】
③平均評価点8.8(★4.4)以上の作品【アイリスと同じ程度】
④10万字から15万字程度の長編作品【アイリスと比べると文字数重視】
⑤総合ポイント3000pt以上の作品【アイリスよりポイント低め】
重要視されていると思われる順番で並べてみました。
【ルフナ大賞の結果に関しての感想】
《良い点》
100pt以上の異世界恋愛作品をきちんと読んで選考したと感じられたところ。ポイント重視で内容を軽視したコンテストが多い中、ここまで内容を重視した選考をしてくれるのは珍しいと思いました。
文庫本1冊くらいの完結作品を優遇しているところも好印象でした。流行ワードがない作品がたくさん一次通過していたのも、新鮮さが感じられてよかったです。
受賞作品も流行ワードが苦手な読者への配慮が感じられ、とても嬉しかったです。
《気になる点》
現実世界が舞台のお話を無視したところ。面白い作品がなかったのならしかたないのですが、現実恋愛ジャンルには女性向けの面白い作品がちゃんと存在していました。異世界ものだけを通過させるなら、応募要項にきちんとその旨を書いておくべきだと思います。
結果発表が遅れたのも印象がよくなかったです。
《一言》
ルフナの審査員さんの読む力はかなり高く、信頼できる選考を行ってくださったと思いました。
ただ、次回は応募要項に「異世界恋愛のみ」と書いてほしいかな。現実世界のお話も募集するのなら、1作品は現実世界のお話を受賞させるつもりで選考してもらいたいです。
それはそうと、うさぎ妖精のお気に入り作品を大賞として選んでもらえて、とても嬉しかったです。
次回の開催も楽しみになりました!
以上。
ルフナ大賞の結果分析&考察でした。
何かひとつでも参考にしてもらえるところがあれば嬉しいです。
ルフナ大賞に応募した作者のみなさま、お疲れさまでした!
第2回も開催されると嬉しいですね♪