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7-3:【受賞傾向分析】アイリスIF5大賞の結果を分析&考察してみた!

 2024年11月29日。

 アイリスIF5大賞の結果発表がありました。

 というわけで、今回も気になった部分を簡単にデータ分析&考察してみました。


 今回も数字がいっぱい出てくるし、やたら長くて大変なので、すぐに結論が知りたいという方は『まとめ』というところまで飛ばして見てくださいね。


 ものすごく悲しい気持ちになるお話なので、心の準備をお願いします。



 * * *



 ①受賞作品について。

(結果発表後の2024年11月29日時点の数値をもとに計算しています)


 金賞1作品 銀賞6作品。

【前回:金賞1作品 銀賞4作品 審査員特別賞1作品】(この「前回」というのは、2023年12月20日~2024年3月19日に開催されていた「アイリスIF4大賞」のことです)


 ・応募総数すべて(2393作品【前回:2308作品】)に対しての受賞率:0.3%【前回:0.3%】

 ・総合ポイントの平均:25319pt【前回:24475pt】

 金・銀賞:25319pt(最高53978pt 最低12960pt)

 ・平均評価点の平均:8.9【前回:9.1】

 金・銀賞:8.9(最高9.1 最低8.6)

 ・流行ワードが入っている確率:57.1%【前回:50.0%】

 金・銀賞:57.1%

 ・完結率:85.7%(実質100%)【前回:100%】

 金・銀賞:85.7%(実質100%)

 ・連載時期の範囲:2018年6月20日~2024年11月15日【前回:2020.4.5~2024.3.10】

 金・銀賞:2018年6月20日~2024年11月15日

 ・文字数の平均

 金・銀賞:139932字【前回:106634字】

 (最高311260字 最低69246字)

 ・総合ポイントによる受賞作品数の違い

 10000pt以上:7作品(100%)【前回:6作品(100%)】

 10000pt未満:0作品(0.0%)【前回:0作品(0.0%)】


 ②一次通過作品(37作品【前回:54作品】)について


 ・総合ポイントの平均:20670pt【前回:19238pt】

 (最高48544pt 最低1500pt)

 ・平均評価点の平均:8.7【前回:8.7】

 (最高9.6 最低8.1)

 ・流行ワードが入っている確率:67.6%【前回:68.5%】

 ・完結率:91.9%【前回:88.9%】

 ・文字数 10万字以上の長編:40.5%【前回:53.7%】

 10万字未満:59.5%【前回:46.3%】


 ③一次通過・受賞した作品について


 ・総合ポイント別の作品数

 一次通過・受賞した44作品【前回:60作品】を、総合ポイント別に分けてみます。

 0~99pt:0作品【前回:0作品】

 100~999pt:0作品【前回:2作品】

 1000~2999pt:1作品【前回:2作品】

 3000~9999pt:4作品【前回:12作品】

 10000pt~:39作品【前回:44作品】


 ・文字数での通過率の違い

 一次通過・受賞した44作品を、文字数10万字以上と未満で分けてみます。

 10万字以上:19作品(43.2%)【前回:60作品中32作品(53.3%)】

 10万字未満:25作品(56.8%)【前回:60作品中28作品(46.7%)】


 ④アイリスIF5大賞の結果分析&考察に関するQ&A。


 Q.応募作品全体のポイント帯ってどんな感じだったの?

 A.

 0~99pt:53.0%【前回:33.7%】

 100~999pt:24.6%【前回:23.1%】

 1000~2999pt:7.2%【前回:10.4%】

 3000~9999pt:6.9%【前回:13.8%】

 10000pt~:6.7%【前回:12.0%】

(pt非公開などは計算できてません)


 応募作品の91.7%は10000pt未満の作品でした。前回と比べると、10000pt以上の作品数は減少しました。

 さて、この情報をもとに10000ptより上か下かで作品を2つに分けて、今回も簡単にですが通過率を計算してみます。

 10000pt未満の作品・約2196作品のうち、一次通過・受賞したのは5作品。前回よりも厳しく、通過率約0.2%です。

 一方、10000pt以上の作品・約161作品のうち、一次通過・受賞したのは39作品。通過率は24.2%。第1回は約40%、第2回は約28.5%、第3回は約38.0%、第4回は約15.9%だったので、大体いつも通りという印象です。

 ただ、今回は10000pt以上の作品と10000pt未満の作品の通過率の差がかなり激しいです。なんと約121倍の差がありました。ちなみに前回は約16倍。これまでで一番ひどい時でも約35倍だったというのに、それを軽々と超えてきました。これはひどい。

 アイリスはポイント重視の選考を止める気は全くないみたいです。



 Q.ポイントで足切りしてそう?

 A.おそらく1000pt。ただし、きちんと読んでもらえているのは10000pt以上のものだけだと思います。1000~9999ptは適当に目についたものを読んでいるだけですね。

 今回も「ポイント関係なく選んでいる」とアピールしたいがために通過させている作品があるみたいです。



 Q.今回も内容が面白いものが通過してる?

 A.今回の一次通過・受賞作品の平均評価点を見ると、8.5以下のものが44作品中8作品(18.1%)でした。ちなみに、前回は60作品中9作品(15.0%)。ほとんど同じですね。面白いものが通過しているといえそうです。

 受賞作品の平均評価点は8.9。前回よりは少し抑えてきたみたいですが、レベルは高めです。



 Q.受賞するにはポイントがどれくらい必要なの?

 A.10000pt以上は必要です。主な選考対象が10000pt以上の作品なので、ポイントが伸び悩んでいる作品はまず受賞できないと思われます。



 Q.新しい作品の方がいいの?

 A.今回は6年ほど前の作品も受賞しています。3年ほど前の作品も受賞してますね。

 つまり、古い作品でも大丈夫ということです。開始時期よりもポイントの方が重要。



 Q.文字数はどのくらいがおすすめ?

 A.文字数は7万字~20万字くらいが良さそうです。ただし完結していないとダメ。

 今回は30万字を超えた大長編で、しかも連載中の作品が受賞していますが、これはかなり珍しいパターンだと思います。まあ連載中といっても、タイトルに「完結」と書いてあるものなので、厳密にいえば完結作品だと思うんですけど。

 ただ、アイリスは1巻目が売れなかったらそこで打ち切りになるらしいので、けっこう攻めた選考結果だなあという印象を受けました。

 短編は全滅しています。最低6万字は書きましょう。



 Q.ジャンルのおすすめは?

 A.異世界恋愛。それ以外のジャンルで受賞するのはおそらく無理。

 今回も転生ものが2作品受賞しています。前回に引き続き、転移よりは転生が好まれているようです。

 一次通過作品の中にはハイファンタジーが2作品ありました。でもやっぱり異世界恋愛以外の受賞は無理みたいです。



 Q.流行ワード(『悪役令嬢』『婚約破棄』『乙女ゲーム』『ざまあ/ざまぁ』)が入っている作品が有利なの?

 A.有利でも不利でもなかったみたいです。今回も、特に流行ものを優遇してはいなかったようです。



 Q.今回の受賞作品で気になることは?

 A.短編の希望である審査員特別賞が消えたこと。

 あとは、本にするには少し文字数が少なめで物足りない作品が多いこと。おそらく加筆すると思うんですけど、その加筆内容が良いとは限らないところが心配です。



 Q.アイリスは優秀な新人さんを発掘する気はある?

 A.ないですね。

 100~2999ptのポイント帯には良作が多いのに、今回も全く発掘できていません。ポイント重視の選考を止めるつもりはなさそうなので、期待しても無駄かも。



 Q.一度アイリスに応募して落ちた作品が受賞することはある?

 A.あります。前回のアイリスIF4大賞で落選していた作品が、今回受賞していました。

 ただ、この作品の作者さまは他の作品でアイリスIF4大賞の一次通過をしているんですよね。同じ作者さまの作品は1作品しか受賞・一次通過できないようなので、そのせいで見落とされていただけのようです。

 一次通過した作品がない作者さまの落選作品は、おそらく何度応募しても落とされます。そういう場合は、他のコンテストに応募する方が効率が良いと思います。



 Q.うさぎ妖精さんは今回の総評を読んでどう思ったの?

 A.「転生」「婚約破棄」「聖女」「白い結婚」と言った流行、王道となったテーマの作品が多かったと書いてありましたが、10000pt以上の作品ばかり読んでいるからそう感じたんだろうなあと思いました。実際に調べてみると、それらのワードが使われているのって、応募作品全体では32.7%しかないんですよね。でも、10000pt以上に限定すると50.4%まで数値が跳ね上がります。

 つまり、審査員さんは10000pt以上の作品しか見てないよ、と明言したようなものですね。

 あと、一次通過作品の作者さまの新作を楽しみにしている、と書いてありましたね。これって、ポイントをとれる作者さまは短編じゃなくて高ポイントの完結長編を書け、と言っているのだと思います。長編で一次通過している作者さまに関しては、もっと書く練習をして文章力をつけろ、と言っていそうなイメージ。今回は本当に10000pt以上の作品は文章力が未熟なものが多かったので、審査員さんも困ったんじゃないかなあ。



 Q.うさぎ妖精さんが読んで評価した作品で、受賞したものはある?

 A.今回は3作品ありました。

 ちなみに私がその受賞作品につけた評価点がどのくらいだったかというと――1作品目は20点満点中10点。文章とキャラは普通ですが、ストーリー構成力が低いのが残念。

 2作品目は20点満点中8点。文章は普通、あとはあまり良いと感じるところがなかったです。

 3作品目は20点満点中7点。文章は普通、キャラは微妙、ストーリー構成力と満足度は最低レベル。私の好みからは外れすぎていて、ガッカリする作品でした。

 きゅんきゅん度は50%、30%、20%。恋愛ものとして読めるものが少ないです。

 うーん、今回の受賞作品は、ランキングが好みに合わない人にはあまりおすすめできません。恋愛要素たっぷりのお話が好きな人にもおすすめできないです。もし買うのなら、絶対に一度読んで確認してからにしてください。



 Q.うさぎ妖精さんが読んで評価した作品で、一次通過したものはある?

 A.今回は1作品ありました。私がつけた評価点は10点、きゅんきゅん度は30%。

 不思議なことに、今回は受賞作品よりも一次通過作品の方が点数が高かったです。といっても、書籍として満足できるのは12点以上なので、もう少し頑張ってほしいレベルかな。

 私の評価はネトコン一次選考の審査員さんとかなり近いので、そんなに変な点数のつけ方はしてないと思うんですけど、おかしいですね。今回のアイリスの審査員さんは真面目に審査してないのでは、と疑問を持つ結果になりました。

 ※(2024.12.1追記)一次通過作品で1作品見落としていたものがあったので、情報を追加しますね。

 私がつけた評価点が5点、きゅんきゅん度40%の作品も一次通過していたみたいです。ポイントさえあれば内容なんて関係なく一次通過してしまうことが明らかになりました。



 Q.そういえば、うさぎ妖精さんのお気に入り作品の結果はどうだったの?

 A.今回うさぎ妖精が発掘したお気に入り作品は4作品。

 アイリスでは受賞や一次通過をしていないのですが、ネトコンでは4作品すべて一次選考を通過していました。良作を見つけ出す能力は、アイリスよりもネトコンの方がやっぱり高いなあと思いました。



 * * *



『まとめ』



 アイリスIF5大賞で受賞するにはどんな作品が有利だったのか、簡単にまとめておきます。


 ①異世界恋愛ジャンルの作品【前回と同じ程度 →】

 ②総合ポイント10000pt以上の作品【前回と同じ程度 →】

 ③完結作品【前回よりも下 ↓】

 ④7万字以上20万字以内の長編作品【NEW!】

 ⑤平均評価点8.8(★4.4)以上の作品【前回よりも下 ↓】

 ⑥流行ワードの要素がある作品【前回よりも上 ↑】


 重要視されていると思われる順番で並べてみました。



【アイリスIF5大賞の結果に関しての感想】


 《良い点》

 これまで通り文庫本1~2冊程度の完結作品が優遇されているところはよかったです。特に1冊読みきりにできそうな長さの作品が多いので、本になったら手に取りやすそうだなあと思いました。


 《気になる点》

 いまだかつてないほど、内容を無視してポイント重視の選考をしたところ。

 10000pt未満の作品を真剣に選考する気がないのなら、応募要項に「ポイント重視の選考をする」と書くべきです。書籍としての完成度が低い作品を受賞させているのも納得ができませんでした。

 短編が全滅しているのも残念でした。


 《一言》

 今回の応募作品は10000pt未満の作品の方が圧倒的に良作が多かったと思います。それなのに、その良作をすべて無視した結果が出てしまいました。10000pt以上の作品に良作が少ないときは、10000pt未満の良作を受賞させてほしいです。




 以上。

 アイリスIF5大賞の結果分析&考察でした。

 何かひとつでも参考にしてもらえるところがあれば嬉しいです。

 私の活動報告(2024年11月01日)で、こっそりとアイリスIF5大賞のおすすめ作品を紹介しています。


https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/1678066/blogkey/3360490/


 どれも文庫本1~2冊くらいの長さで完結しているので、とても読みやすいです。

 ランキングが好みに合わないと感じている読者さまにおすすめ。

 興味があれば、ぜひぜひ読んでみてくださいね♪


 アイリスIF5大賞に応募した作者のみなさま、本当にお疲れさまでした!

 さて、次回のアイリスは今まで通りのペースなら2024年12月20日~2025年3月19日に開催されると思うのですが……その期間に重なるように、新しい女性向け作品のコンテストが開催されるみたいです。


 そのコンテストの名前は、「第1回Ruhuna小説大賞」!


 というわけで、開催時期が重なった場合は、アイリスよりも「第1回Ruhuna小説大賞」の方を優先して読んで分析&考察しようかなと思っています。

 新しいコンテスト。どんなコンテストになるのか、本当に楽しみですね!

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アイリスIF大賞の応募作品を100作品読んだエッセイ。
i646209
(バナー制作/楠結衣さま)
― 新着の感想 ―
詳しい分析ありがとうございました! 今回も読みごたえがありました……ががが。 これはせつないですねー。 ほんと、高ポイント帯ですごく面白い作品はそもそもコンテストの前にとっくに書籍化している、というの…
分析、お疲れ様でした! 今回はちょっと今までと傾向が変わっていましたね。 個人的には読んだことがある六年前の話が受賞して、ウハウハです♪ すっかり最近投稿されたものしか拾ってくださらないのかと思ってい…
詳しくてわかりやすい結果の分析ありがとうございます。 今回もとても参考になりました。 完全にポイント重視の賞になってしまったんですね…… 作者としては発掘してもらう夢がなくなり、読者さまも発掘された…
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