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5-2:【受賞傾向分析】小学館FTノベル賞の結果を分析&考察してみた!

 2024年3月19日。

 小学館ファンタジーノベル&コミック原作大賞(小学館FTノベル賞)の結果発表がありました。

 というわけで、今回も気になった部分を簡単にデータ分析&考察してみました。


 今回も数字がまあまあ出てくるし、少し長くて大変なので、すぐに結論が知りたいという方は『まとめ』というところまで飛ばして見てくださいね。


 ものすごく悲しい気持ちになるお話なので、心の準備をお願いします。



 * * *



 ①受賞作品について。

(結果発表後の2024年3月19日時点の数値をもとに計算しています)


 ※比較しやすいように、アイリスのデータも並べておきますね。アイリスというのは、2023年6月20日~9月19日に開催されていた「アイリスIF3大賞」のことです。



 大賞:1作品

 SEED COMICS&ガガガ賞:1作品

 マンガワン賞:1作品

 奨励賞:4作品

【アイリス銀賞:8作品 審査員特別賞:5作品】


 ・応募総数すべて(3047作品【アイリス:1463作品】)に対しての受賞率:0.2%【アイリス:0.8%】

 ・総合ポイントの平均:43285pt【アイリス:15890pt】

(最高82220pt【アイリス:32584pt】 最低10382pt【アイリス:400pt】)

 ・平均評価点の平均:8.8【アイリス:8.8】

(最高:9.2【アイリス:最高9.6】 最低:8.2【アイリス:最低8.0】)

 ・流行ワードが入っている確率:57.1%【アイリス:76.9%】

 ・完結率:85.7%【アイリス:92.3%)】

 ・連載時期の範囲:2023年4月1日~2024年3月4日【アイリス:2020.12.15~2023.11.30】

 ・文字数の平均:95988字【アイリス銀賞:168607字 審査員特別賞:9448字】

(最高:159780字【アイリス:572257字】 最低:44630字【アイリス:6849字】)

 ・総合ポイントによる受賞作品数の違い

 10000pt以上:7作品(100.0%)【アイリス:9作品(69.2%)】

 10000pt未満:0作品(0.0%)【アイリス:4作品(30.8%)】



 ②一次通過作品について

 一次通過作品の発表なし。【アイリス:40作品の発表あり】



 ③一次通過・受賞した作品について

 一次通過作品の発表がなかったため、分析不可能。



 ④小学館FTノベル大賞の結果分析&考察に関するQ&A。


 Q.応募作品全体のポイント帯ってどんな感じだったの?

 A.

 0~99pt:31.9%【アイリス:43.6%】

 100~999pt:27.4%【アイリス:29.8%】

 1000~2999pt:13.0%【アイリス:9.9%】

 3000~9999pt:15.1%【アイリス:9.7%】

 10000pt~:11.4%【アイリス:6.9%】

(pt非公開などは計算できてません)


 応募作品の88.6%は10000pt未満の作品でした。

 アイリスと同じように、この情報をもとに10000ptより上か下かで作品を2つに分けて受賞率を計算してみます。

 10000pt未満の作品・約2750作品のうち、受賞したのは0作品。アイリスは受賞率が約1%あったのに、小学館FTノベル賞ではまさかの0%。応募作品の8割以上を無視した選考結果が出ました。これはひどい。

 一方、10000pt以上の作品・約290作品のうち、受賞したのは7作品。受賞率は2.4%。ちなみに、アイリスの受賞率は約100作品中8作品で8.0%でした。応募総数と受賞作品数の違いを考えると、これは当然かも。

 とりあえず小学館FTノベル賞は、アイリスよりもひどいポイント重視の選考が行われたといってよさそうですね。とても残念です。



 Q.ポイントで足切りしてそう?

 A.おそらく10000ptで足切りをしていますね。10000pt未満の作品はたぶん読んでもらえてないと思います。



 Q.内容が面白いものが通過してる?

 A.受賞作品の平均評価点を見ると、8.5以下のものは7作品中2作品(28.6%)でした。ちなみに、アイリスは13作品中3作品(23.1%)。ここはアイリスと大差ない感じですね。

(平均評価点8.0以上は普通、8.5以上は面白い、9.0以上はかなり面白いというイメージです)



 Q.受賞するにはポイントがどれくらい必要なの?

 A.最低でも10000ptは必要だったみたいです。

 受賞作品の総合ポイントの平均が43285ptであることを考えると、とにかく高ポイントであればあるほど有利だったといえそうです。受賞を目指すなら30000pt以上を目安にしてください。



 Q.新しい作品の方がいいの?

 A.新しい作品の方がいいです。受賞したのはコンテスト開始の約半年以内に連載していた作品ばかりでした。

 ちなみに、アイリスではコンテスト開始の約1年以内に連載していた作品が有利です。アイリスの方が少し優しいですね。



 Q.文字数はどのくらいがおすすめ?

 A.中編(5万字~10万字)がおすすめ。完結している方が良いです。ちなみに、アイリスでは短編なら2万字未満がおすすめで、長編なら9万字以上20万字未満がおすすめでした。

 コミカライズが一番の目的なのか、書籍にするには少なすぎる文章量のものが多かったですね。

 4万字未満の短編は受賞していません。短編と大長編は不利だったみたいです。



 Q.ジャンルのおすすめは?

 A.異世界恋愛。それ以外のジャンルで受賞するのはおそらく無理。



 Q.流行ワード(『悪役令嬢』『婚約破棄』『乙女ゲーム』『ざまあ/ざまぁ』)が入っている作品が有利なの?

 A.受賞作品の中で流行ワードを使ったものは57.1%でした。そもそも10000pt以上の作品の7割くらいに流行ワードが使われていることを考えると、流行ワードを使った作品はできるだけ排除しようとしたのかもしれません。



 Q.今回の受賞作品で気になることは?

 A.書籍よりもコミカライズに向いている作品が受賞している感じです。正直、文章量が少ない作品が多いので、書籍化はせずにコミカライズだけにしてほしいかも。



 Q.小学館FTノベル賞は優秀な新人さんを発掘する気はある?

 A.残念ながら、ないと思われます。

 10000pt未満の作品の中から優秀な作品を発掘できていない時点で、審査員さんはあまり真剣に選考を行っていないことが推測されます。

 ポイントが伸び悩んでいてもネトコン1次通過できるくらいの作品を書く実力がある作者さまは、他のコンテストに応募する方がおすすめです。



 Q.うさぎ妖精さんが読んで評価した作品で、受賞したものはある?

 A.2作品ありました。

 ちなみにうさぎ妖精がその受賞作品につけた評価点がどのくらいだったかというと――1作品目は20点満点中7点、2作品目は20点満点中6点でした。ちなみに、きゅんきゅん度は20%と40%。心ときめく恋愛ものを期待して読んだら裏切られるレベル。

 うーん、小学館FTノベル賞の審査員さんは、うさぎ妖精の好みとは全く違う好みを持っていたようですね。アイリスの受賞作品が14点と8点だったことを思い出すと、小学館FTノベル賞よりもアイリスの審査員さんの好みの方がうさぎ妖精に近いのかな?

 ランキング作品を楽しめるタイプの読者さまには小学館FTノベル賞の受賞作品はどれも良作に見えるかも。ただ、私のようにランキング作品が好みに合わない読者さまには、残念ながら受賞作品はあまり好みに合わない可能性が高いです。受賞作品を読む場合は、かなり覚悟をしてからの方がいいと思います。



 Q.そういえば、うさぎ妖精さんのお気に入り作品の結果はどうだったの?

 A.今回うさぎ妖精が発掘したお気に入り作品は18作品。残念ながら、お気に入り作品からは受賞作品が出ませんでした。

 お気に入り作品の中には10000pt以上の作品もあったんですけど、連載時期が2017年と2019年だったんですよね。小学館FTノベル賞は新しい作品が有利なようだったので、そこが引っかかっちゃったのかな。

 良い作品にはちゃんと結果を出してくれるアイリスと比べたら、本当に残念な結果です。



 Q.小学館FTノベル賞とアイリス、どっちの方がおすすめ?

 A.作者目線でも読者目線でも、圧倒的にアイリスをおすすめします。

 小学館FTノベル賞は、結果発表が約3週間も遅れたし、受賞作品数がそもそも少ないし、一次通過作品の発表もないし、本当に真剣に選考を行ったのかも謎です。10000pt未満(応募作品の8割以上)の作品を無視した選考結果はさすがにひどいと思います。

 講評も雑な印象を受けました。受賞作品数も多くないのだから、受賞作品それぞれにもっと丁寧な講評を書いてほしかったです。



 * * *



『まとめ』



 小学館FTノベル賞で受賞するにはどんな作品が有利だったのか、簡単にまとめておきます。


 ①異世界恋愛ジャンルの作品【アイリスと同じ程度】

 ②総合ポイント10000pt以上の作品【アイリスは5000pt以上】

 ③連載開始約半年以内の新しい作品【アイリスは連載開始約1年以内】

 ④完結作品【アイリスと同じ程度】

 ⑤平均評価点8.5(★4.2)以上の作品【アイリスと同じ程度】

 ⑥5万字以上10万字以内の中編作品【アイリスは20万字以内】

 ⑦流行ワードの要素がある作品【アイリスの方が流行重視傾向あり】


 重要視されていると思われる順番で並べてみました。



【小学館FTノベル賞の結果に関しての感想】


 《良い点》

 書籍化&コミカライズ、と受賞作品には贅沢なメリットがあるところ。

 完結作品が優遇されているのも嬉しいですね。内容の面白さも考慮したのか、平均評価点8.5以上の作品が多く受賞しているところも良かったと思います。


 《気になる点》

 ポイント重視の選考が行われたところ。

 ポイント関係なく応募作品を読めばすぐにわかることですが、10000pt未満の作品にも面白いものがたくさんあります。個人的に10000pt以上の作品よりも面白いと感じる作品も多い。それなのに、10000pt未満の作品を1つも受賞させなかったという選考結果はさすがにひどいです。

 もちろんポイントで選考しても良いとは思いますが、その場合は、はじめから「10000pt以上の作品が選考対象です」と応募要項に書いておくべきだと思います。あと、重複応募が可能なのかも明記しておいてほしいです。結果発表が予定より遅れたわりに、講評が雑に見えるのも印象が良くなかったです。


 《一言》

 正直、小学館FTノベル賞はあまりおすすめしたくないタイプのコンテストだと思いました。もし第2回が開催されても、連載開始約半年以内で10000pt以上の異世界恋愛の連載作品でなければ受賞は厳しいと考えた方が良さそうです。短編は不利なので注意が必要。

 今回の受賞作品の中にうさぎ妖精のお気に入り作品が1つもなかったのも本当に残念でした。

 小学館FTノベル賞の受賞作品の本を購入しようと考えている人は、買う前に一度お話の内容を確認しておくことを強くおすすめします。




 以上。

 小学館FTノベル賞の結果分析&考察でした。

 何かひとつでも参考にしてもらえるところがあれば嬉しいです。

私の活動報告(2024年2月12日)で、こっそりと小学館FTノベル賞のおすすめ作品を紹介しています。


https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/1678066/blogkey/3257501/


どれも文庫本1~2冊くらいの長さで完結しているので、とても読みやすいです。

ランキングが好みに合わないと感じている読者さまにおすすめ。

興味があれば、ぜひぜひ読んでみてくださいね♪




【2024.4.9 追記】


私、気付いちゃったのです。

小学館FTノベル賞の受賞作品が、実はアイリスIF4大賞にも重複応募されていたということに!

その作品が応募期間中にアイリスのタグを外していることも確認済みです。

というわけで、小学館FTノベル賞は重複応募可だったみたいですね。第2回が開催されるかどうかわかりませんが、その時は遠慮せずに重複応募していいと思います。


小学館FTノベル賞に応募した作者のみなさま、本当に、本当に、お疲れさまでした!

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アイリスIF大賞の応募作品を100作品読んだエッセイ。
i646209
(バナー制作/楠結衣さま)
― 新着の感想 ―
[良い点] すごい分かりやすいまとめ! ありがとうございます! [一言] 3万ポイント!とったことがないです……(チーン) 逆に言えば、それだけ跳ねた作品は胸を張ってコンテストに出してよいということな…
[良い点] 分析と考察、お疲れさまでした。 小学館FTノベル賞の結果発表が遅れたようなので、作品を真剣に読んで、受賞を迷ったのかなと思ったりしたのですが、一次の発表もなく、講評も何だかそっけなくて、そ…
[良い点] 分析、興味深く拝見しました。 大賞受賞作も少しだけ(あらすじ+第一話くらい)覗いてみましたが、うーん。 なるほど……。 これは、私はちょっと不向きなコンテストだということが分かったような気…
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