4-1:ネトコンVSアイリス《読者目線》
2023年5月1日から7月31日まで開催されていた「第11回ネット小説大賞(ネトコン11)」というコンテストと、2023年6月20日から9月19日まで開催されていた「アイリスIF3大賞」。
同じくらいの時期に行われた、この2つのコンテスト。――面白い作品を多く選ぶことができていたのは、どちらのコンテストだったのでしょうか?
気になりますよね。
というわけで、それぞれのコンテストの結果を分析&考察してみました。
結果といっても、受賞作品ではなく一次選考通過作品が対象です。
なぜ一次選考通過作品を対象としたのか。
それは、私が評価点をつけた作品がひとつもネトコンで二次通過しなかったからです。どうやら女性向け作品は二次選考で非常に不遇だったみたいなんですよね。私は女性向け作品に特化して調べているので、残念ながらネトコンの二次選考の結果は全く参考になりませんでした。
まあ、アイリスも一次通過作品と受賞作品しか発表していないし、ここは一次通過の結果でそろえておきましょう。
今回の結果分析&考察の目的は、受賞作品が面白いかどうかではなく、どちらの審査員さんの方が面白い作品を選び出す能力が高いかを知ることなので、一次選考の結果だけでも充分なのです。
さて、今回も数字がいっぱい出てくるし、やたら長くて大変なので、すぐに結論が知りたいという方は『まとめ』というところまで飛ばして見てくださいね。
* * *
まず、私が評価点をつけたことのある作品の中で、「ネトコン11の一次通過をした作品」と「アイリスIF3大賞の一次通過をした作品」を探してみます。
ざっと確認しただけなので見落としなどもあるとは思いますが、ネトコン11では19作品、アイリスIF3大賞では11作品が見つかりました。
それでは、この一次通過作品の評価点のデータと今まで私が読んだコンテスト応募作品全体(378作品)の評価点のデータを比べてみましょう。
ちょっと気になったので、総合ポイント3000pt以上の応募作品(72作品)につけた評価点の平均も合わせて並べてみますね。
1.『読みやすいか』(5点満点)
ネトコン一次通過作品の平均:3.2
アイリス一次通過作品の平均:2.8
応募作品全体の平均:2.6
3000pt以上の応募作品の平均:3.0
2.『キャラは魅力的か』(5点満点)
ネトコン一次通過作品の平均:3.4
アイリス一次通過作品の平均:3.2
応募作品全体の平均:2.9
3000pt以上の応募作品の平均:3.1
3.『起承転結があるか(クライマックスで一番盛り上がっているか)』(5点満点)
ネトコン一次通過作品の平均:2.9
アイリス一次通過作品の平均:2.6
応募作品全体の平均:2.7
3000pt以上の応募作品の平均:2.6
4.『読後に満足感があるか』(5点満点)
ネトコン一次通過作品の平均:2.7
アイリス一次通過作品の平均:2.5
応募作品全体の平均:2.4
3000pt以上の応募作品の平均:2.5
合計評価点(20点満点)
ネトコン一次通過作品の平均:12.2
アイリス一次通過作品の平均:11.2
応募作品全体の平均:10.5
3000pt以上の応募作品の平均:11.2
ネトコン一次通過作品(19作品)、合計評価点別の作品数
8点:2作品
10点:2作品
11点:4作品
12点:3作品
13点:2作品
14点:2作品
15点:2作品
16点:2作品
アイリス一次通過作品(11作品)、合計評価点別の作品数
7点:1作品
8点:1作品
10点:4作品
12点:1作品
13点:2作品
14点:1作品
16点:1作品
ネトコン一次通過作品、総合ポイント別の作品数と平均評価点(私が読み終わった時点での総合ポイントを基準にしています)
0~99pt:3作品 平均評価点12.3点
100~999pt:4作品 平均評価点12.5点
1000~2999pt:4作品 平均評価点11.8点
3000pt~9999pt:5作品 平均評価点13.2点
10000pt~:3作品 平均評価点10.7点
アイリス一次通過&受賞作品の総合ポイント別作品数と平均評価点
0~99pt:0作品
100~999pt:2作品 平均評価点12.0点
1000~2999pt:2作品 平均評価点13.0点
3000~9999pt:2作品 平均評価点11.5点
10000pt~:5作品 平均評価点10.0点
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Q:一次通過作品の平均評価点は、応募作品全体の平均と比べてどうだったの?
A:ネトコン一次通過作品の平均評価点は12.2点。アイリス一次通過作品の平均評価点は11.2点。応募作品全体の平均評価点は10.5点だったので、一次通過作品の方が点数は高めという結果になりました。
つまり、ネトコンでもアイリスでも、全体の平均よりも質の良い作品を一次通過させているという分析結果が出ました! さすが!
Q:ネトコンとアイリス。より面白い作品を選ぶことができていたのは、どちらのコンテストだったの?
A:圧倒的に、ネトコンです。
私は、12点以上の作品は本屋さんに並んでいそうなレベルという基準で評価点をつけています。ネトコンの一次通過作品は12.2点だったので、これはかなり優秀ですね。逆にアイリスは11.2点なので、少し力不足の作品が多いという印象です。
さらに、応募作品全体の評価点10.5点を超えた作品はというと、ネトコンでは19作品中15作品(79.0%)もありました。なんと約8割の作品が平均以上の面白さという結果に! アイリスはというと、11作品中5作品(45.5%)でした。残念ですが、平均より面白い作品は約5割しかなかったようです。
Q:ポイントが伸び悩んでいても、一次通過させてもらえるの?
A:ネトコンは、ポイント関係なく作品の質が良ければ一次通過させてもらえるみたいです。アイリスはポイントが伸び悩んでいると厳しいみたいですね。
少し気になるのは、どちらのコンテストでも10000pt以上の作品は評価点が低くても一次通過できているというところ。ポイントさえ高ければ作品の質が少しくらい低くても大丈夫ということみたいです。
Q:ポイントが高ければ高いほど、面白い作品が多いの?
A:一次通過作品という範囲内で考えると、実は0~9999ptの作品の方が評価点が高めです。逆に、10000pt以上の作品は応募作品の平均値くらいしかありません。可もなく不可もない感じですね。
これはおそらく、10000pt以上の面白い作品は既に書籍化しているため、コンテストの応募作品として出てこないからだと思われます。
ちなみに応募作品全体で考えると、100pt以上あれば作品の面白さに大差はありません。むしろ10000pt以上の作品よりも100~2999ptの作品の方が面白い作品が多く存在しています。
Q:一次通過作品はどの部分が優れているの?
A:一次通過作品は『読みやすいか』『キャラは魅力的か』という部分がかなり優れているようです。
これは序盤で判断できる部分。具体的に言うと、冒頭8000字程度を読めば大体分かっちゃう部分です。1話2500字程度と考えると、最初の3話に当たります。
とりあえず一次通過を目指すなら、この序盤部分に力を入れるといいのかも?
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『まとめ』
「第11回ネット小説大賞(ネトコン11)」と「アイリスIF3大賞」、――面白い作品を多く選ぶことができていたのは、どちらのコンテストだったのでしょうか?
圧倒的に「ネトコン11」です!
もし面白い作品を読みたいのであれば、アイリス一次通過作品よりもネトコン一次通過作品から選ぶことをおすすめします。
ネトコン一次通過作品はリストから直接作品に飛べるので便利だし、これを見逃すのは非常にもったいないです。特に流行ものに飽きた読者さまには、ランキングよりもおすすめといえそう!
まあジャンルがごちゃごちゃで、連載中か完結しているのかすら分からないところは少し不便ですけどね。
次は、ネトコンとアイリス、どちらに応募するのがおすすめかということについて書いていきます。