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土佐郷士上編物語
1862年11月9日
小鳥の囀りが今日もえーな、
おでは田畑喜助19歳。
この動乱の時代を生きる若武者や、おでは土佐出身で土佐藩の下級郷士でな。
「喜助、行くんやな…」
すぐ側で涙ぐむ彼女は淺堅沙代おでの幼い頃からの許嫁や。
これから山内豊誉さんのご命令で京都へ向かうんじゃがな、まだ地元の香りがとれねーな。
「おい!喜助!なに立っとんじゃ!はよ行くぞ!」
藩士の辻村さんの声で我に返る。
喜助「それじゃあな、沙代、またいつか戻るからな」
沙代「ずっと待ってるからな…」
沙代の顔をもう見れないのかと思うとな…
見慣れた地元から港で京都へ出港する…
おでは勇気を出し船から
「沙代ー絶対戻るからな!安心せい!!」
と叫ぶ。
笑顔で別れたのがよかったな、