表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/57

瞳の水月


「……何よ、酉」


少し苦しそうに卯は声を上げる。何故なら、両頬と顎、側頭部が固定されて動かないからだ。


直立の状態で少し上を――正しくいえば、目の前に立つ自身よりも上背のある男と目を合わせるように、その男の手によって両頬を挟むように支えられ、顔が固定されていた。


「…………」


固定している酉は無言で、口元に胡散臭い笑みさえも浮かべず感情が読めない。ただ、じっと卯の目を覗き込んでいた。



×



彼女の瞳には、『月』が写っている。瞳の奥の翳り(憂鬱)が、その月を隠しているようだけれど。


その翳りが無くなった時、彼女はどうなるのだろう。


よく見るとその月は、欠けているようだ。


以前見た時と、形は変わっていない。


今日は、前回とは月齢が異なる日の筈。


つまり、月の満ち欠けは関係が無いらしい。


彼女の月は満たされる事はない、ということか。


……考えたってしょうがない。



×



「私を無視しないでくれる?」


段々と苛ついてきた時、ふと酉が意識を戻した気配がした。


「んー……、君の目って綺麗だねって思ったんだよ」


にこ、と胡散臭く酉は微笑む。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ