不安の仔羊。
「いいんですかー?あなたの可愛い仔羊ちゃんをほっといて」
申が酉と休憩スペースで話をしていると、戌が面白そうににやけた顔で近付いてきた。どうやら今回、未が単身で出撃した話を小耳に挟み、申の様子を見にきたようだ。
「腐っても幹部だぜ、どうってこたねーだろうよ。
それに仔羊なんかじゃ無ェ。アイツは立派な山羊だ」
けっと申は毒付き、顔を顰める。
「……("あなたの可愛い"の部分は否定しないんだねぇ)」
笑みを崩さないまま、内心で酉は呟く。戌が申を未との関係で揶揄うのはいつものことなので、口論が終わるまで口を挟まず待つ事にした。
「何だよ?言いたいことがあるなら言えよ酉」
「別に?」
首を傾げて流す。
「あっ!"あなたの可愛い"の部ぶnぐはッいきなり何痛いッ!」
「可愛くねーし俺のでもねーよッ!」
戌が酉と同じ部分に引っ掛かり素直に指摘すると申は戌を叩く。
その様子を見て、
「……小学生みたいね」
横で優雅に紅茶を嗜んでいた卯は、ねー、とねこと顔を見合わせた。
×
「えへへ〜、みてみて申くーん」
未は抱えるほどの大きさの瓶いっぱいにキラキラを集めて帰ってきた。
「うわーこれぜーんぶ一人で集めたんですか?!」
「うん!申くんががん「言ってねぇよ?」ていったから、がんばったんだぁ!」
よいしょ、と未が可愛らしい掛け声と共に瓶をテーブルに置くと、あまり可愛らしくない重さの音がした。見た目以上に詰まっているのかもしれない。
「凄いねぇ。これ、不安を起因にした"混乱""疑心""恐怖"を昇華してできたキラキラだ。……一体何をしたんだろうねぇ?」
瓶の中身を透視したらしい酉は愉しそうに問う。
「んふふー、ひみつー。あっでも申くんにはおしえちゃうよ?」
「別に教えてくれなくていいってか知りたかねーよ寧ろ」
えへへ、と笑う未から申は目を逸らし、「あ、そうだ」と申は卯を振り返る。
「お前教えてもらえよ」
「……そうね」
卯は、少し震えているねこを両手で握りしめた。
75%妹。
私は地の文を少し足して元の文と馴染ませただけです。
ただ不安に迷えるだけの哀れな仔羊ではないと。