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両替屋。
彼あるいは彼女は、バケモノではない。
だからといって精霊というわけでもない。
珍しくも日和見の魔力でできた"何か"だった。
「ようこそいらっしゃいました。ご用件をお伺い致しましょう」
両替屋は柔和に笑う。
「ええっと、これを」
客人は逡巡した後、商品をひとつ指す。
「有難うございます。それで、」
「貴方様は何と交換して下さるのでしょうか」
「私共は飽くまでも"両替屋"なので御座います。」
「貨を望むのであれば」
「それ相応の宝が必要なので御座います。」
「ああ、貴方様は良いものをお持ちですね。」
と相手の胸を手で示す。
「それと交換致しましょう。」